★次はAチャンネルの各電圧チェックです。

Marantz #5 レストア依頼機 N.Y 様 概要

交換部品です。
丸コードは芯線までどの位置もボロボロです。再利用しても危険なので残念ながら新しいコードに交換しました。

★以上の通り各電圧は左右2台とも電源電圧が低い状態です。
恐らく経年により電源トランスの出力が落ちています。
一応このまま様子をみることにします。

2台とも整流管が温まり電源が上がって来ると電源トランスからうなり音が出ます。
暫く続いてそのうち静かになります。
1時間程エージングを続けていると2台ともスピーカーから微かにノイズも出ています。
恐らく電源の大きな四角いオイルコンが両方とも全く容量が無く機能していないでそのせいかも知れません。
電解コンデンサーを全て新品にしているので残るはこのオイルコンのみです。
幸い絶縁抵抗はあるので機能しないだけで回路に大きな悪影響は出ていません。


★音は電源回路の電解コンデンサーや初段管のカソードバイパスコンを新品にしたことにより、しっかりとした音になり、極めてクリヤーな良い音を奏でています。
Marantz8Bの音と比べると、やはりモノーラルアンプのため左右のクロストークが違います。
低域は少し大人しい感じがしますが中高域は極めて煌びやかに響きます。



これも素晴らしいアンプです。












こちらは出力管バイアス電圧です。-48.0Vを示し少しバイアスが深くなっています。

こちらも高圧B3です。こちらは良い値です。

高圧B1です。DC440Vを示しています。規定より20V程低い様ですが何とか許容範囲です。

高圧B2です。438Vを示しています。

整流管直後の電圧です。DC446Vを示しています。

電源トランス全波整流のもう片側です。AC370.1Vとこちらも少し低い様です。

電源トランス後の全波整流片側です。AC369.5Vを示します。
こちらも少し低い様です。

整流管直後の電圧です。DC450Vを示しています。

電源トランス後の全波整流片側です。AC373.8Vを示します。
少し低い様です。

こちらも電源トランス全波整流のもう片側です。AC374.6Vとこちらも少し低い様です。

高圧B1です。DC444Vを示しています。規定より15V程低い様ですが許容範囲です。

高圧B2です。419Vを示しています。

こちらも高圧B3です。やはり少し低いですが許容範囲です。

ACバランスで、調整後の電圧です。差5V程度を維持し良好です。

★レストア完了です。                                                                          2019. 6. 7


概ね良い状態になったので各部のチェックです。




★まずBチャンネルの各電圧チェックから。



★一応殆どの必要な部品を交換しました。

音もとても明瞭なサウンドを聴かせてくれます。

この後暫くエージングを繰り返しながら最終調整と残っているカップリングコンデンサーの検討を行います。

★ 次にAチャンネルの内部です。

Bチャンネルの交換した電解ブロックコンデンサーです。

こちらはBチャンネルの電源コードをオリジナル仕様のゴムコードに交換しました。

こちらも交換したバイアスセレンと電解ブロックコンデンサーです。

同じく青いカソードバイパスコンと出力管カップリングコンデンサーです。
入力側のバンブルビーは2台とも2個ある中の1個が不良でしたが、もう一個の良品で絶縁をカバーしてくれるので音質の面から今回は2台とも交換しません。

こちらも全てBチャンネルと同じ様に交換しました。

交換した新しい電源コードです。

Aチャンネルの交換した電解ブロックコンデンサーです。

出力管を換えての試聴風景です。

★レストア途中経過です。                                                               2019. 6. 4


最初の検査からかなり時間が掛かっています。


取り敢えず電源回路をきちんと直した後、かなりの時間試聴を繰り返していました。
するとAチャンネルからまたブーンと言うノイズが発生します。

オシロで波形を観察すると真空管初段から後に出ているのでカソードバイパスコンを左右とも交換してノイズは無くなりました。
やはり表面が塩を吹いているような状態なので当然ダメなようです。

次に電源回路の電解ブロックコンデンサーとバイアスセレンを2台とも交換しました。
これでバイアスは完璧の筈でしたが、BチャンネルのA側の出力管のバイアス調整がボリュームを最大に上げても正規の位置まで針が上がりません。

これは真空管が劣化しているので、こちらにあるMarantz8B用のTelefunken EL34に換えて調整するとどれもきちんとバイアス調整ができます。

元の出力管は4本ともゲッターも薄くなっています。そろそろ寿命と推測します。


★以上のように電源回路の要である電解ブロックコンデンサー及びバイアスセレンが完全に不良なので、電源を入れて電圧チェックや音出しは怖くてできません。

特に最初のBチャンネルは全く手を加えていない状態でよく今日まで生きていたものです。
幸いにも異変に気付かれてすぐにこちらに修理に出されたのは良かったと思います。

まずは電源回路をきちんと直してから各部の状態をチェックしたいと思います。


こちらは電解ブロックコンデンサーの2ブロック目です。やはりリークしています。

こちらは真空管初段のカソードバイパスコンです。Leaky表示でリークしESRも最大値を示し機能していません。
よく塩を吹いた状態でもオリジナル状態を誇り交換されないで使われている方がいます。
心配では無いのでしょうか?

こちらの電源コードは付け根がちぎれそうです。これは危険です。
取り敢えず処置をしてから通電になります。

きれいな状態です。

こちらは真空管初段のカソードバイパスコンです。Leaky表示でリークしESRも最大値を示し機能していません。

★電源回路のコンデンサー類の状態を調べます。

Marantz model 5です。
ハムノイズが出始めたので診て欲しいとのご要望です。
Aには電源にチューブラコンを追加されているようです。

外観は年代を考慮するとかなりきれいな状態です。電源コードも両方ともオリジナルの硬い丸コードです。

これは良いですね。貴重な#5です。



同じくバイアス用電解コンデンサー2ブロック目です。
ESRは少し高いもののこちらも何とか機能しています。

バイアス用電解ブロックコンデンサーです。
見辛いですが何とか機能しています。

高圧電源の電解ブロックコンデンサーです。
リークしてESRは最大値を表示しています。
完全な不良です。これだけ悪い状態に後から電解コンデンサーを追加しても、不良コンデンサーが短絡状態では追加されたコンデンサーもすぐに不良になります。

以前どこかで修理されて電解コンデンサーを追加されています。ハムが出るので追加されたのでしょう。

こちらは同じセレンで逆方向です。
何と!恐ろしいことに順方向と同じ抵抗値です。
全く整流されていません。
2台ともこのような状況です。

2台ともバイアスセレンが付いています。
こちらは順方向で9.11kΩを表示しています。

高圧電解コンデンサーの入口ブロックです。
完全に抜け切って計測不能を表示しています。

こちらはバイアス回路のブロックコンデンサーです。
見辛いですが静電容量はあるもののESRが高く不良です。

内部は、これは完全なオリジナル状態です。これで各部が良品なら言うことは無いのですが。。。

2019. 5. 2 初掲載、一部検査
2019. 6. 4 レストア経過
2019. 6. 7 レストア完了

★ まずはBチャンネルの内部です。

青いコンデンサーがMarantz純正SPRAGUEの新品のカソードバイパスコンデンサーです。
左の赤茶のカップリングコンデンサーもMarantz純正GoodAll-TRWの新品です。
ここが抜けたら大変なことになるのでいつも必ず新品交換します。

バイアスセレンと電解ブロックコンデンサーを交換しました。

★こちらはAチャンネルです。

★まずはBチャンネルから見て行きます。

こちらは出力管バイアス電圧です。-45.9Vを示し良い値です。

ACバランスで、調整後の電圧です。差5V程度を維持し良好です。

★こちらも電源のブロックコンデンサーのチェックです。