電源回路は電解ブロックコンデンサーを3本ともオリジナル仕様の新品に交換しました。中音域の伸びがきれいです。
高圧セレンも交換しました。これは復刻でも製造されなくなり最近では手に入れることは極めて困難です。
基板上の全てのバンブルビーは良品に交換しました。また、少しでも長く持たせるために特殊なコーティングも施し、表面はとてもきれいです。
Marantz7 10200番台 レストア依頼機 A.Y 様 概要
2020. 7. 17 掲載、検査完了
2020.10. 7 レストア完了
フォノイコのカソードバイパスコンを純正SPRAGUEの新品に全て交換しました。特に200uFでは100uFを2段に積んでいます。これが本来の3桁台始め以前のオリジナルの取り付け方です。恐らく最初の頃は200uFが無かったのでしょう。S/N 300番台あたり以降から長く黒いタイプに変わります。
高圧セレン直後の電圧です。210.2Vで正規の電圧の2/3しかありません。完全にこのセレンは不良です。
上の画像は上面のカップリングコンデンサーの絶縁抵抗値です。片足を外して専用の絶縁抵抗計で計測しました。数字の単位はMΩです。
全てのバンブルビーは不良です。良品は4100MΩ以上無限大なので良品とは程遠い状態です。
右の画像も裏面のバンブルビーです。こちらも不良です。
一般にMarantz7にバンブルビーが付いているとオリジナル状態だと喜んでいる方が多いのですが、ほぼ全て不良です。
60年も経つと消耗品であるバンブルビーはほぼ全て不良だと思って間違いはありません。良品でよい音が出るのは奇跡です。
また殆どのレストア屋さんやマニアは電源を入れて簡易的に漏れ電圧で調べるケースが多いのですが回路によって値は違うので漏れや音を聴いただけでは全く判りません。外して絶縁抵抗計と静電容量計で計測し放電時間の測定も行わないと状態はわからないのです。
★レストア後の試聴エージング風景です。
今回は一緒にレストアをご希望されたパワーアンプ McIntosh MC240と一緒にエージングを行っています。
TANNOY Monitor REDからいつものバンブルビー機 Marantz7 の音が響きます。
相変らずとても良い音です。
(2020.10.23)
後で真空管をTelefunken ECC83<>有に交換を希望されたので
特性の揃った6本組を手配して取り付けました。
側面のスポンジも新品交換しました。
高圧B3です。234.5Vとこちらも良い値です。
高圧B1です。284.4Vとレストア前と100V違っています。極めて良い値です。
低圧セレンも交換しました。これで電源回路は完璧なオリジナルの良い状態です。
電源ケーブルは切られていたのでこちらでベルデンの新品に交換しました。入口に青と茶色の芯線が見えます。
★レストア後の各電圧チェックです。
交換部品です。
低圧セレン直後の電圧です。26.96Vを示し良い値です。
ヒーター電圧です。18.34Vで良い値です。
高圧B2です。262.0Vとこちらも良い値です。
高圧セレン直後の電圧です。335.1Vと極めて良好です。
横一列の小さなカップリングコンデンサーも4本ともバンブルビーの良品と交換しました。
以前はライン側にブラックビューティー(160P)が付いていました。
内部は殆どレストア前と変わりません。良い音に戻っただけです。
★漸くレストアが完了しました。 2020. 10. 7
電源コンセントN極-筐体間の漏れ電圧です。
AC12.38Vを示し、幸いにも電源トランスの漏電は有りません。
低圧の電圧です。21.86Vで規定の2/3です。
ヒーター電圧です。14.49Vで全ての真空管は動作していません。
高圧B3です。こちらも159.0Vで回路が作動していません。
高圧B1です。187.9Vです。規定より100Vも下がっています。
高圧B2です。こちらも175.6Vです。真空管の動作の限界を下回っています。
同じく2段目です。こちらも容量が4.5倍に膨れ不良です。
フォノイコのカソードバイパスコン先頭です。容量が1.5倍に膨れて不良です。
★それでは電源を入れて各部の電圧チェックですが、前のレストア屋さんで電源回路の改造のため電源トランスや低圧セレンを電線を切って外されていたので、その復元を行ってから通電です。
高圧先頭φ25です。計測不能の表示が出て完全に機能していません。
低圧φ35です。Leaky表示でリークしています。
高圧2段目です。幾分良いようですがどれも60年も経っているので交換した方が良いようです。
★電源を入れる前の各電解ブロックコンデンサーのチェックです。
殆どオリジナル状態です。