2018.12.22 初掲載
2019. 1.17 レストア完了
電源電圧が正常になったため右チャンネルも正常に動作しています。
左右とも波形はきれいな正弦波を出力しています。
★修理レストア完了です。 2019.
1. 17
まず電源回路から修理しました。高圧セレンと高圧用初段の電解ブロックコンデンサーの交換、及び抵抗の交換です。
電源修理後の電圧を測定しました。
左側面だけ通常のブラウンです。
裏面です。ラインの小さなカップリングはWEST-CAP、フォノイコはTRWに交換しました。
★音が出なかった右チャンネルも正常に出るようになったので漸く音出しをしました。
すると、出る音は極めてひどい音です。歪が多くキンキン音で低音も全く出ない。
やはり全くメンテしていないオリジナル状態でした。全てのバンブルビーやセラミックなどコンデンサー類が不良です。
本機は3桁台グリーンなのでできればオールバンブルビーにレストアしたいところですが、一部無いものもあるしコストもかなり掛かることから今回は代品でレストアすることにしました。
以下の画像がレストア後の内部です。
フォノイコの最終出力のバンブルビー以外全てのバンブルビーを代品に交換しました。セラミックも交換しました。
フォノイコのRIAA偏差コンデンサーはバンブルビーを残してマイカコンに換えています。
最後の高圧B3です。これも良い値です。
高圧B1です。273.3Vでこれも非常に良い値です。
高圧B2です。 249.1Vで良い値です。
低圧セレン直後の電圧です。25.16Vを示しています。
レストア前は26.99Vで少し高かったのですが、高圧電圧が正規の電圧に上がったためなのか、下がり正常な値です。
セレン直後の電圧が正常値ですが、実際のヒーター電圧は正規の電圧19.8Vに対し17.59Vと少し低い値です。
一応これでも許容範囲内です。
★試聴です。
極めて透明でダイナミックな音になりました。
まるでオールバンブルビー良品で聴いているようです。
← 高圧セレン直後の電圧です。 321.3Vを表示しています。ベストの値です。
★検査の結果、電源の高圧電源の著しい低下により真空管が動作できない状態です。この為左右のバラつきにより先に右側の出力が閾値を超えて停止したものと推測します。
回路的には微細でも出力しているのでどこかが外れたというような単純な不良ではありません。
また、各コンデンサー類は一部を除いて概ね良好です。
RIAAの偏差を決めるコンデンサーにバンブルビーが付いていますが、検査の結果不良です。
レコードの音を聴くまでもない状態です。
この後はオーナー様と相談の上電源回路の修理になります。
きちんと正規の電圧になってから音の確認です。
同じく高圧1段目の3番目のブロックでもリークしています。Leaky表示
高圧2段目は3ブロックとも大丈夫です。恐らく音が出ているとしたらこれだけで持っているような状態です。
その内耐え切れなくなって突然全ブロックがリークし、大音量のノイズが発生します。心臓の弱い方はご用心。
低圧セレン直後の電圧です。26.99Vを示し良好です。
こちらはヒーター電圧です。19.20Vは完璧です。
★それでは電源投入して各部の電圧を測定します。
まずは電源トランスの出力です。
AC282.8Vを表示し良好です。
高圧セレン直後の電圧です。241.7Vとかなり低い値です。
正常値は320V以上です。
高圧の1段目φ25の最初のブロックで計測不能です。(C not measured)
低圧ヒーター用です。
3ブロック中2ブロックでご覧のようにLeaky表示でリークしています。
★早速検査です。
まずは電源投入前の電解ブロックコンデンサーからチェックです。
大変きれいなmarantz7 SN.10400番台グリーンです。
右チャンネルから音が出なくなったので修理依頼です。
恐らくどこかのショップでレストアされたものを高額で買われたのだと思います。
今回は修理なので特にこちらでは余り手を加えないつもりです。しかし、検査だけはしっかり行い致命傷があればオーナー様と相談です。
今回も殆どのバンブルビーが交換になりました。
60年の歳月は決してバンブルビーを生かしてはくれません。メンテ無しで付いていることそのものが異常なのです。
裏面です。完全なオリジナル状態です。
内部上面です。一見オリジナル状態に見えます。
リヤの状況です。天板の色が違います。
高圧B1の電圧です。何と! 200.1V !! これまでレストアした中では一番低い値です。 正常値は280Vなので80Vも低い状態です。
高圧B2です。 B1が低いので当然B2もこうなります。真空管ドライブの限界を大きく下回っています。
B3です。こちらもB2と同じく動作できない状態です。
Marantz7 10400番台グリーン レストア依頼機 T.H様 概要