Marantz7 10400番台 修理依頼機 S. M 様 概要

こちらはV2の4-9ピン間です。7.0Ωでかなり低い値です。

取り外した低圧セレンです。
一部で極めて抵抗値が低くなっています。
表示では12.9Ωでほぼ短絡に近い状態です。

★結果として、真空管のフィラメントが劣化して抵抗値が下がり、その分電流値が上がって電源トランスが発熱し長期の間に内部の絶縁材が溶けてじわりじわりと噴き出し、最後には巻き線がショートして切れたと考えられます。

しかし、全ての真空管をこちらの在庫品に交換して電源を入れ、各部の電圧を計るとやはりヒーター電圧が13V位しか上がりません。以前は10Vにも満たなかったので少しはよくなったようです。
しかも0.5Aのヒューズに交換するとやはりヒューズが飛びます。

まだ何か問題があるようです。

★修理後の各部の電圧をチェックします。

★試聴風景です。

真空管はこちらにストックしていた余り物を装着しています。
この為最高の音ではありませんがMarantz7オールバンブルビーの良い音が出ています。














高圧B3です。 238.7Vで良好です。

高圧B2です。 262.0Vで良好です。

交換部品です。Telefunken ECC83<>有6本です。こちらに余った箱に入れています。
袋入りの絶縁材が噴出した電源トランスです。
破損した手圧セレンとセメント抵抗及び2Aヒューズです。このヒューズは切れてはいないので他の機器に使えます。

交換した低圧セレン直後の電圧です。26.63Vで良好です。

ヒーター電圧です。18.16Vで良い値です。

高圧B1です。 281.1Vで良好です。

★当工房で在庫の真空管のフィラメントの抵抗値を測ってみます。

信頼性の高い軍用管は8.5Ωです。

真空管はTelefunken ECC83<>有の6本組を使用しています。

こちらもV2の5-9ピン間です。6.9Ωでかなり低い値です。

こちらもV3の4-9ピン間です。6.9オームとかなり低い値です。

★各真空管の抵抗値を測ってみました。
意外にも全体に低く、高いものでV4,V5,V6で大体7.5Ω位ですが、下の画像は特に低いものを表示しています。

こちらはV1の4-9ピン間です。他の球と同じく7.4Ωです。

★原因を調べています。                                                                 2020. 4. 2

回路全体をチェックしましたが特に問題の個所はありません。

低圧のブロックコンデンサーです。こちらも全く問題ありません。

高圧のブロックコンデンサーのチェックです。特に問題も無く正常です。

これだけの過電流が流れて 0.5A のヒューズが飛ばないのは変なので、装着されているヒューズを確認すると 2A が付いています。

これでこの電源トランスの異常な状態の原因が判明しました。

★電源トランスを交換して各部の電圧を計ると規定の値に到達しません。
この為、交換したトランスが悪いのかと思ってこちらに有る純正トランスを3個とも交換してみましたが同じです。

電源を入れたまましばらく様子を見ていると、電源回路からパチパチ音が出始めました。

電源トランスも異常にかなり熱くなっています。

調べてみると電圧が上がらないのは特にヒーター電圧で、このパチパチと音がするのもヒーター電圧回路の抵抗からです。高温になって表面に亀裂が入って来る音です。


約1年前に当工房から購入されました。
今回電源トランスから絶縁材が大量に噴出しています。恐らく長時間過熱状態が続いたのでしょう
電源トランスの交換になります。


松下管は概ね8Ω位です。

トランスの上の四角い抵抗が熱で亀裂が入り、その白い粉がトランスの表面に落ちています。






裏側です。トランスの奥で電線に絡まっています。

電源トランスの横のリード線が出ている穴から絶縁材が噴出しています。

取り外した電源トランスです。電線取り出し口から黒い絶縁材が噴出しています。かなりきつい匂いが漂います。


交換した後の状態です。貴重なMarantz7オリジナル純正トランスに交換しました。

2020. 3. 18
2020. 4. 3 修理完了

こちらはV3の5-9ピン間です。6.9オームとかなり低い値です。

ヒーター回路を辿って行くと被覆に妙に一部分で光沢があるところがあります。

この3枚の画像では茶色の線です。

つまり大きな電流が流れて配線そのものが熱を持ち被覆が溶けて光沢が出るようになったと推測します。

恐らくどれかの真空管が不良でヒーターに大きな電流が流れているのかも知れません。

回路で過電流が流れると電源トランスも過熱して内部の絶縁体が溶けて噴出したようです。

★早速電源トランスを交換しました。

★修理完了です。                                                                 2020. 4. 3

原因はやはり真空管の劣化によりフィラメントの抵抗値が全体に下がり、この為低圧の電流値が上がって長時間の間に電源トランスが発熱し内部の絶縁材が溶けて噴出しました。
この時ヒーター用の低圧セレンも過電流から内部が破損していました。
昨日こちらのストックの真空管に全て交換してもヒーター電圧が完全に上がらず0.5Aのヒューズも飛んでいます。これは低圧セレンの破損に依るものでした。
今回この低圧セレンも交換し、高電流で発熱して亀裂の入った抵抗も交換し元通りの状態に戻りました。