右の画像はまだ外す前の状態で逆方向が22.3KΩを表示しています。
これを本体から外してセレン単体で計ると順方向0.9KΩ逆方向5KΩになります。

Marantz#7レストア10400番台 S.M 様 概要

今回は思いがけなくいろいろ交換になりました。
特にバンブルビーを再検査するとフォノイコ最終の0.47uF/200Vが不良です。
勿論前回は大丈夫だったので交換していませんでしたが、今回は全体的にも少し劣化が進んでいました。
特にこれが数メガオームで絶縁不良に陥っていました。

もう良品バンブルビーは完全枯渇に近いので、本機の様に良品バンブルビーの音が聴けるMarantz7はとても貴重です。
































★最後に本機の残留ノイズを測定しました。
フォノイコ入力をアースに落とし、ラインアンプ後の最終出力端子の電圧をミリバルで測定しています。
ボリュームを最小に絞った状態で左右とも0.3mVを示しています。
その下の画像はボリュームを最大に開いた時の出力電圧です。 8mVを計測しています。

前回のレストア後の画像です。








左は通常のクラロスタットの最小時の値です。
このMarantz7オリジナルは0.3Ωを表しています。

★今度は音漏れの原因究明です。
通常はブロックコンデンサーの不良かRCA端子のアース浮きを考えるのですが、今回フォノイコだけ音漏れし他のチャンネルは正常です。
普通はアース浮きや電源不良の場合、全チャンネルで音漏れが発生し左右とも漏れて聞こえます。

今回は右が特に感じられ、モード切替でも右だけに出てきます。もしフォノイコ回路で異常があればモード切替でリバースに切り替えると左から出てくる筈です。
このため最後にはボリュームを疑い抵抗値を測定しました。
やはり9時半くらいの角度まで12Ω位の抵抗値が続き、それから上がってきます。

こちらにあるMarantz7オリジナルのクラロスタット3台を調べると、どれも1Ω以下です。
このため今回の音漏れの原因はクラロスタットにあることがわかりました。

本機のクラロスタットの最小に絞った時の抵抗値です。
12.1Ωが読み取れます。

ボリュームを最小に絞った時の値。 左右とも0.3mV

★低圧もブロックコンデンサーを交換したのですが、電圧を計ると16.8Vしか上がりません。
おかしいと思って低圧セレンを外して測定すると順方向0.9KΩ逆方向5KΩと、完全に不良で整流していません。
通常低圧セレンは順方向10KΩ逆方向150K〜無限大です。
このため低圧セレンも交換しました。電圧は19.4Vとほぼ正常です。
これでフォノイコのノイズはかなり軽減しています。

★今回の検査状況です。                                                 2017.12.12

今回レストアの状況です。

今回高圧セレンを交換することになりました。
右の画像が今回こちらが用意した代品の高圧セレンです。

これまでの青い代品復刻セレンはよく不良に成りやすい物です。
こちらでも以前よく使いましたが結構初期不良がありました。

低圧のブロックコンデンサーを交換しています。

交換したブロックコンデンサーを見ると3ブロックとも容量がかなり膨れていました。このまま使用すると恐らく近いうちに破裂するところでした。
裏面のベークの中央部分がかなり盛り上がっています。爆発の一歩手前です。

爆発すると回りに茶色い電解液が飛び散ります。
これまで何台ものレストア機が飛び散った跡でブロックコンデンサーの周りやケース側面が茶色く汚れていました。

前回高圧のφ25ブロックコンデンサーを交換して正規の電圧になりましたが、今回再度計ると245Vと何とか音が出せる電圧です。。
改めて前回交換したφ25と2段目φ35を検査すると両方とも正常です。
そこでセレン後を計ると264Vでかなり落ちています。
ここは330V位必要です。
このためセレンの導通を調べると順方向9.5MΩ、逆方向12.3MΩと逆方向にも導通が有ります。

このまま使用するとせっかく前回交換した1段目のφ25と2段目までが不良になります。

★ こちらの依頼も以前当工房でオールバンブルビー化レストアを行ったものです。

今回は、フォノイコのSN比をもう少しどうにかならないかと言うことと、音漏れです。

前回電源回路のブロックコンデンサーの高圧φ25と低圧φ35が不良と判断しましたが、当時低圧φ35がまだ手に入らなかったので高圧φ25のみ交換しました。
今回の音漏れはいよいよ低圧が異常になったのかと思いました。今はこのブロックコンデンサーも在庫があります。

こちらに本体が到着すると同時に早速音だしと確認を行いました。

音は特に以前と同じ良い音です。しかし、フォノイコは無信号時ボリュームを12時半くらいの角度からブーンと言う音に混ざってザーと言う音が聞こえます。
Marantz7オリジナルは大体この位置からブーンと言うハム音が耳に付きます。本機はこれにザーが混ざっています。やはり少しノイズが多いようです。
また、音漏れはフォノイコから小さく聞こえます。他のレンジでは出ません。

ボリュームを最大に回した時の出力電圧。 左右とも8mVを示している。

オシロの波形も大きくなっています。