Marantz#7レストア10600番台 N.S 様 概要

レストア後です。

超初期型の10600番台です。
本機は以前こちらの11000番台を購入された方が、その音質に大変満足頂き既に所有の本機もレストアするように依頼されたものです。
こちらでは11000番台の音は一番気に入っていたので、これに近付けるよう気合を入れてレストアに取り組みます。

最初の音出しをすると全体的に歪が多く感じられ低域が膨らんでいます。殆どのカップリングコンデンサーは交換になると思います。


見た目は大変わりしませんが、バンブルビーを2本換えています。全て絶縁抵抗無限大で良品のように見えますがこの2個は静電容量が増えています。このため高音が強調され低域が弱くなっていました。(回路のこの部分では)
この個体は以前都内のビンテージショップから購入されたようですが、そちらの検査ではコンデンサーの足を切らずに検査されていたようです。そのため漏れ電圧が無ければ良しとしていたのでしょう。
音的には裏の0.33uFが不良なため異常に気が付かない状態です。
フォノイコのカソードバイパスコンデンサーは全て正規の値の純正SPRAGUE新品に交換しました。上記ショップでのレストアで容量の違うものに交換されていました。
セレンもよく見る青色の外品に交換されていましたが所有者の要望で茶色のNOS正規品に交換しました。
セラミックコンデンサーも純正SPRAGUEに交換です。

裏面のバンブルビー4本もほぼ良品でした。(絶縁抵抗無限大)

下の黄色い0.33uFは1本が完全に抜けて歪が出てもう1本は容量が倍位になって抜ける前の状態でした。このため最初の音出して歪っぽく低域が膨らんで聴こえたのです。
一般にレストア時はこの代品が無いので「大丈夫のつもり」として、見て見ぬふりで済ませます。
今回も純正SPRAGUEに交換です。

低圧セレンも青色から茶色のNOS正規品に交換です。
電源の高圧電圧は正規の280Vには達せず260V近辺です。殆どのレストア機がこの位ですので一応OKにしています。ブロックコンデンサーの経年劣化です。もう20V位下がれば交換か追加になります。本来は今追加した方が音は安定すると思いますがせっかくの3桁台の品位が落ちるので見送りです。1次電圧117Vでこんな状態ですが100Vですとかなり電圧不足です。

現在調整中ですが、場合によってこの裏のバンブルビー4本は全て交換になります。静電容量が誤差15%ぎりぎりのため微妙に音に影響しています。
表の0.22uF400Vと裏の0.33uFとこれの相性の問題です。
こちらでは誤差5%以内を多数所有しているのでいつでも交換できますが、基本的には必要の無いものはなるべく交換しない方が良いので迷っているところです。
臓器移植と同じでよそ者が入ることによる全体のバランスが変わります。これをエージングでどれだけなじませられるか、時間なのです。

もうしばらくエージングを繰り返してみます。





10月26日:
最終的には表の0.22uF 400Vをもう一度交換して一先ず完了です。
交換した物は放電時間ができるだけ長い物を再度選びました。
絶縁抵抗無限大は勿論ですがこの放電時間が音質にとても重要です。

新品のコンデンサーはとても放電時間は長いのですがBumble Beeに新品はありません。
絶縁抵抗無限大の物でさえ超激レア枯渇状態で、NOSもこの場合新品では無くただの不良品です。不良だから使われずにOld Stockです。
つまりBumble Beeの状態で音が変わるわけです。エージングでもこの時定数(トキジョウスウ。私等は昔この言い方で教わりました)が変わります。コンデンサーと抵抗との放電時間の事ですね。

また、コンデンサーの容量は温度と通過する電力で容量が変化します。
このため或る程度の音量でエージングすることがとても効果があります。 
プリで上げてパワーアンプで落として周りに迷惑にならないように。。。

これで先の11000番台との音の比較でどう評価されるか、電源がいまいちなので微妙です。
多分少し音の雑さが感じられると思います。電源が弱いと特に中低音の押し出しが弱く雑に聞こえます。
それを0.22uF400Vと裏の0.01uF400Vで頑張らせているのですが。。。

Marantz#7のブロックコンデンサーは低容量で組合わされていますが、これがへたると脈流が出ます。
容量を上げると逆にMarantz model 7 らしくない、その辺の普通のアンプになってしまいます。
低容量の電解チューブラコンデンサーを追加すると品位が落ちるし、難しい所です。