高圧セレン直後です。332.8Vを示し極めて良好です。

こちらは裏面の初段管後の0.01uFカップリングの後です。右のオシロの波形の様に殆どノイズはありません。

2021. 5. 25 検査初掲載
2021. 6. 9 レストア完了
2021. 6. 15 再調整完了

★レストア後の各電圧チェックです。

★電源を入れる前の各電解ブロックコンデンサーのチェックです。

筐体とコンセントN極間の漏れ電圧です。AC46.4Vと(ぎりぎり)良い値です。漏電はありません。

高圧セレン直後の電圧です。311.2Vと少し低い値です。

交換部品です。

★レストア後の試聴エージング風景です。

これぞまさしくバンブルビーの音です。

メリハリの効いたダイナミックで透明感溢れる音が部屋中に広がります。
以前の、奇麗だがぼんやりとしたブラックビューティー(160P)の音とは全く違います。


★再調整完了です。                                              2021. 6. 15

本機のレストア完了から1週間弱の間ずっと音を聴いていました。
最初はこんなものだろう思いエージングを続ければ良くなると思いましたが、エージングを続けても変らない感じがします。

具体的には、音が何か汚く感じるのです。

恐らくこれまでブラックビューティーでもやっとしてベールに包まれた音だったので意識はしなかったと思います。
これがバンブルビーに変り途端に明瞭な音になりました。真空管もTelefunken ECC803sです。極めて繊細で明瞭な音です。これをこちらのMullardに換えると幾分治まりました。やはり何か原因がある筈です。

一応一通りバンブルビーを交換してみましたが変りません。

最後に真空管を全部外してピンを磨きソケットの中を(当工房特性)専用ヤスリと洗浄剤(3M Novec)で磨きました。
するといつものMarantz7オールバンブルビーの明瞭な音が出ます。しかもこちらはTelefunken ECC803sです。明瞭さはより鮮明に感じます。

やはりソケットでした。恐らくかなり以前に接点復活剤などを塗布されて数年経過後これが固まってソケットのピンホルダにこびり付いていたのでしょう。
下記に汚れているソケットの画像を掲載します。

今回のホルダの清掃によりザーと言うノイズも殆ど聞こえなくなりました。



使用した洗浄剤は完全揮発性ですぐに乾き、後には何も残りません。
ソケットのホルダ内をやすりでこすり汚れを水の代わりにこの洗浄剤で洗い流すイメージです。 アンプは電気製品なので水洗いはできません。

オシロの波形です。上が左で下が右です。波形でもノイズが確認できます。
スピーカーに耳を当てるとジーと小さく出ます。これがこのノイズの正体です。

★フォノイコです。

★残留ノイズを測定してみます。

上と同じく右が赤針で左が黒針です。左右共2mV弱を示しています。恐らく値が大きいので驚かれると思いますがMarantz7ではこの位は上等の部類です。

音を聴くとボリュームが1時頃でザーと結構なノイズが出ます。Marantz7を持っている方にはお判りだと思いますが、これが普通です。

ヴィンテージアンプでは多少のノイズは有っても音は抜群です。この音質を犠牲にして特性を良くしたのが現代のアンプです。特性値を良くしないとメーカーは売れないと思っているので仕方のない事です。

こちらはザーと言う音です。この程度であれば通常は余り気にならないかも知れません。
レストア前はかなり大きな波でした。

指針より、右(赤針)は0.16mVで左(黒針)は0.08mVを示しています。両方とも少しノイズが乗っています。特に右が大きいようです。これはバンブルビーの特徴でヴィンテージ物としてはまだ良い方です。
当工房のMarantz7オールバンブルビー機ではこの倍位あるものがありますが、音は抜群です。また若いシリアルほどこのノイズが大きい傾向にあります。時代が過ぎるに従い線材や部品が変りノイズの改善を行っています。
本機はS/N 3桁台なのでまだ改善前の初期の機種になります。

高圧B2です。266.2Vでこちらも極めて良好です。

高圧B3です。243Vでこちらも極めて良好です。

2段目後のカップリングコンデンサーの後です。こちらは右が大きくノイズが検出できます。
恐らく2段目のプレート抵抗270KΩのA&Bから発していると考えます。

この他、各カソード抵抗からはノイズは検出されません。

低圧セレン直後です。26.57Vで良好です。

ヒーター電圧です。18.8Vと規定に極めて近く良好です。

高圧B1です。285.5Vでこちらも極めて良好です。

横一列も良品バンブルビーです。

裏面です。低圧セレンも交換しました。これで電源回路の消耗品は全て新品になります。横一列の小さなカップリングコンデンサーも4本とも良品バンブルビーに交換しました。ラインアンプのカソード抵抗を音の良いAMRGに交換しました。

電源は高圧セレンの交換と電解ブロックコンデンサーをオリジナル仕様の新品に3本とも交換しました。

ずらりと並んだ良品バンブルビーです。右上の赤く丸いセラミックコンデンサーも純正SPRAGUEの良品に交換しました。低音の張りが違います。

内部です。オールバンブルビーフルレストアになります。 こちらではいつもの見慣れた光景ですが、普通はこれが全て良品はあり得ない事です。 特に音に一番重要なラインアンプの0.22uF/400 (右から3,4本目)は既にどこも持っていない筈です。

RIAA偏差調整用高域側コンデンサーをマイカコンに交換されています。前のレストア屋さんは正確さを気にされています。

★各カップリングコンデンサーの160Pは検査の結果どれも良品です。

フォノイコ最終出力段のカップリングコンデンサー後です。やはり右のオシロの画像の様に激しくノイズが出ています。

上段は左チャンネルで下段は右チャンネルの出力波形です。

各ポイントの波形を測定します。

高圧B3です。230.8Vと少し低い値です。

高圧B2です。250.2Vと少し低い値です。

★それでは電源を入れて各値を計測します。

フォノイコのカソードバイパスコン1段目です。良い値です。

高圧2段目です。3ブロックとも良い値です。

低圧φ35の先頭ブロックです。静電容量がかなり高く膨れています。

以前どこかのショップで全てブラックビューティー(160P)に交換してレストアされました。

フォノイコの左からジーとノイズが出るので修理を依頼されました。画像の真空管はこれまで付いていたTelefunken ECC803s 3本です。
真空管からの可能性も有るため同じTelefunken ECC83に交換して同梱で送って頂きました。


★レストア完了です。                                              2021. 6. 9

今回はフォノイコのノイズ対策と以前レストアの時ブラックビューティーに換えられたのをバンブルビーに戻すフルレストアになります。

結局フォノイコのノイズは2段目後のカップリングをバンブルビーの良品に交換したら出なくなりました。やはりカップリングコンデンサーの不良でした。

★早速、最初の音出しを行いました。

やはりフォノイコの左からジーと言うノイズが小さく出ています。
レコードの音は少し荒くブラックビューティー(160P)にも拘わらず中高域がきつく感じます。ちょっとこれまでのMarantz7とは違う音です。

しかも同じイコライザーのTAPE HEADにセレクターを合わせる(通過させる)と大音量でピーと発振を起こしています。
Monitor REDが飛ぶかと思いました。。。

全体の音はやはり160Pの音です。きれいな音ですがぼんやりと丸みのある音です。

★フォノイコのノイズの源泉を調べてみます。

低圧セレン直後の電圧です。23.88Vとかなり電圧が下がっています。

ヒーター電圧です。16.91Vとこちらも少し低い値です。気になるのが最初かなり不安定な状態が続くので低圧セレンがダメかも知れません。

高圧B1です。266.7Vと少し低い値です。

フォノイコのカソードバイパスコン2段目です。良い値です。

高圧先頭φ25です。静電容量が落ちてESRが非常に高い状態です。完全に不良です。

裏面です。横一列のカップリングコンデンサーも4本ともブラックビューティー(160P)に交換されています。これ以外はオリジナルのようです。

リヤパネル裏のRCA端子に渡りを掛けてあります。奇麗な仕事をされています。

RIAA偏差調整コンデンサーも交換されています。抵抗はそのままのようです。

Marantz7 S/N 10600番台 修理レストア依頼 概要

★ラインアンプです。