2019. 8. 8 初掲載 検査完了
2019. 8. 20 レストア完了

100uFのところ423.2uFと規定の4倍以上膨らんでいます。
こちらも200uFのところ322.1uFと1.5倍に膨らんでいます。

★電源投入前の各電解ブロックコンデンサーのチェックから始めます。

交換部品です。
電解ブロックコンデンサーの刻印部分がどれも膨れています。
このまま使用し続けていると破裂する所でした。

高圧B1です。やはり抵抗の膨れからベストな値とは言えないものの273.2Vと充分な値です。

高圧B2です。254.3Vを示し充分な値です。

高圧B3です。こちらも232.8Vと良い値です。

高圧セレン直後の電圧です。332.4Vを示し良い値です。

レストア前に付いていたヒーター用電圧調整抵抗は撤去しました。

これが正規の電源回路の状態です。

★レストア後の電圧チェックです。

裏面です。低圧セレンも交換しています。カップリングの160Pは良品のためそのままです。
電源回路の抵抗も一部で容量が膨れていますが、後の電圧チェックでは何とか許容範囲なのでそのまま使用しています。

★レストア完了です。                                                                           2019.8.21

検査の結果カップリングコンデンサーのバンブルビーは全て不良でしたが、オーナー様の希望でバンブルビーはこのまま残すことになりました。
一応不良なので完全にバンブルビーの音では無いにしても、まだ歪やノイズに大きく影響してはいないのでもう少しこのまま聴かれても良いのかも知れません。

最終出力のバンブルビーも4V程の漏れがあり、これはこのままパワーアンプに直接直流電圧が掛かることを意味しています。
トランジスターアンプやマッキンのパワーアンプでは問題になりますが、この方はMarantz8Bをお使いなので#8Bは入力側に2段のフィルター回路があるため直接直流を増幅することはありません。

今回のレストアでは電源回路を中心に、各周波数特性やフォノイコのバイパスコン、RIAA偏差等の調整を行いました。

バンブルビーはそのまま残し、電源回路の電解ブロックコンデンサーは3本とも交換し、高圧低圧セレンも交換しました。
フォノイコのカソードバイパスコンも純正SPRAGUEの新品に4本とも交換しました。
RIAA偏差のコンデンサーもマイカコンに交換しています。
セラミックコンデンサーも純正SPRAGUEの新品に交換しました。

★裏面の小さな160Pは4個とも数mVの漏れ電圧なので良品です。

こちらはフォノイコ初段後の0.1uFです。何と44.7Vの漏れがあります。

★各カップリングコンデンサーの漏れ電圧です。

ヒーターセレン直後の電圧です。23.61Vを表示しています。
こちらも3Vほど下がっています。

★フォノイコのカソードバイパスコンです。

高圧初段φ25です。表記の通り計測不能を表し全く機能していません。

高圧2段目です。こちらは静電容量はありますが規定より膨らんでいます。73.48uF。これが進むと破裂して惨事になります。

低圧のブロックコンデンサーです。Leaky表示でリークしています。

最終出力側カソードフォロア後のカップリングです。
4.21Vと大きな漏れがあり不良です。

ラインアンプ2段目後のカップリングです。1.342Vの漏れで不良です。

フォノイコ最終です。4.15Vもの漏れがあり不良です。

ヒーター電圧です。17.72Vを示し2V程下がっています。

高圧B1です。241.8Vと40V位下がっています。

高圧B2で226.0Vとこちらも40V程下がっています。

高圧B3です。208.5Vを表示し、こちらも30V程下がっています。

高圧セレン直後の電圧です。292.7Vとかなり下がっています。
ここは普通330V以上あります。

上記と同じく100uFのところ335uFと3倍に膨らんでいます。

こちらも上記と同じく200uFのところ306.4uFと1.5倍に膨らんでいます。

★それでは電源を入れて各部の電圧を計ります。

裏面です。こちらの小さな4個のカップリングコンデンサーは前回のレストアで160Pに交換されています。

高圧セレンにダイオードが並列に取り付けられています。

内部上面です。殆どのカップリングコンデンサーはオリジナルのままです。
その他のパーツも概ねオリジナルです。

★レストア後の試聴エージングを行っています。

やはりバンブルビーの良い音です。

ただ、特にフォノイコではRIAA偏差は直したものの、中高域がピーキーです。
初段後の0.1uFバンブルビーがかなり漏れているので静電容量もかなり膨れています。これが周波数特性を変えます。

当工房3桁台の完全良品バンブルビー機と比べるとラインアンプのCDからの音が少し曇り気味です。

カップリングコンデンサーに漏れがあると言うことは、その電圧分音声信号が直流にかぶさり消されて、全ての音が増幅されないことなので、音に曇りが出ます。
また、裏の160Pも音を曇らせる要因の一つです。

それでもトランジスターアンプよりはマシな音かも知れません。

電源回路が良くなったのでバンブルビー独特の音の広がりや特に低音の抜けは充分感じられます。






ヒーターセレン直後の電圧です。26.76Vを示しまあまあの値です。

ヒーター電圧です。18.64Vで少し低いですが充分な値です。





★以上の結果、電源回路のセレン、電解ブロックコンデンサーは全て不良で交換になります。

カップリングコンデンサーもバンブルビーは全て不良で交換です。

フォノイコのカソードバイパスコンも全て不良です。

暫くメンテしていないのでオーバーホールを依頼されました。本機は10700番台の3桁台です。残念ながらフロントパネルは4桁台に換えられていますが全体にとても良い状態です。


Marantz7 10700番台 レストア依頼機 T.E様 概要