出力波形のチェックです。綺麗な波形が出ています。

2023. 8. 5 検査
2023. 8. 18 レストア完了
2023. 8. 21 再調整

★予想とおりバンブルビーの殆どは不良です。

これだけ酷いと最初の試聴をする必要も無かったのですが、下記ヤフオクのコメントを見ると確かめたくなってきます。

音を聴くと、ラインアンプは少しぼんやりした音で高域は歪っぽく感じます。ぼんやり感はバンブルビーの漏れ電圧からです。
フォノイコは、バイオリンがガーガー言っています。オーケストラの盛り上がりはうるさいだけです。歪もかなり感じます。


★ヤフオクのコメントではかなり良いように書いてあります。参考までにそのまま掲載してみます。

・アメリカ在住の人から分けてもらいもらいました。
・中身はオリジナルと聞いていますが、部品にはあまり詳しくないので、画像でご判断をお願いします。
・フロントパネルと、ツマミ(中央の4つのセレクター以外)は当時モノと思えないくらい綺麗です。
・また、中央4つのセレクターは当時のベークライトです。(プラスチックではないようです)
・セレニウム素子(緑のモノ)は消耗品で、もう入手困難ですが、高圧低圧ともにまだまだ十分機能維持しています。
・音だしは、驚くべき音質です。(JBL4333A + MARANTZ 8B + MICRO+ SATEN)
・セレクター類はすべて作動しているようですが、細部までの確認はできていません。
・トーンコントロールは、回すとボコボコ言いますが、この年代では、「お約束」程度と思います。
・ケースは国内で調達したものです。
・オーディオショップ(当年70歳前の方)でバイアスなど確認してもらい、回路は、一部半田のやり直しをしています。


最初から承知で落札をお勧めしました。ヤフオクの出品とはこんなものです。

特に、この出品された方はスピーカーがJBL 4333A なので、恐らくこのぼんやり感や歪音は感じないかも知れません。
3ウエイ以上のネットワークでは、ウーハーとツィーターの間のスコーカーやミッドウーハーには12dB/Oct以上のローパス、ハイパスフィルターが直列に入り極めて複雑になるので、倍音や残響音などかなり大事な微細音を消します。 当工房の殆どのスピーカーはシンプルなネットワークの2ウエイです。
しかも、当工房のTANNOY Monitor REDにはアッテネーターは付いていません。JENSEN A-12もネットワークの通らないフルレンジ使用に6dB/Octのツィーターを付けただけの超シンプル回路なので、どちらもとても良い雰囲気を出しています。
電圧が低いので周波数特性が変わっていますがMarantz8BとこのJBL4333Aなら余り感じないかも知れません。どちらも低音はドンドン出るし、3ウエイのネットワークのつまみを回して音は好みに変えられます。
「トーンコントロールは回すとボコボコいいます」はバンブルビーが不良の証拠です。「お約束」とはどういうことなのでしょうか? こちらで低音のつまみを回すとドカーンと大きなノイズが出ます。
内部のハンダ箇所を観察しても手を入れた形跡はセレン以外は見当たりません。常套の口車でしょうか。
ハンダ位触っても音は変わりません。


それなりにバンブルビーの音かも知れません。世間ではこれが良い音と評価されるのでしょう。


この後こちらで良品バンブルビーに交換するので、良いアンプになります。








高圧B3です。こちらも214.4Vと極めて低い値です。

重要な高圧B2です。236.2Vで極めて低い値です。これではNF型回路では周波数特性が変わってしまいます。

内部です。不良のバンブルビーを良品に交換しフォノイコのカソードバイパスコンは全て純正SPRAGUEの新品に交換しました。セラミックコンデンサーも純正SPRAGUEの新品に交換しました。電源回路は高圧セレンと低圧用電解ブロックコンデンサーを交換しました。


★レストア完了です。                                                 2023. 8. 18

左右とも静電容量が1.5倍以上膨れて不良です。 このコンデンサーが不良になるとフォノイコだけでなく、回り込みで電源回路全体にまで影響します。粉を吹いた状態は、中の電解液が染み出して乾燥したものなので外観を見れば有る程度状態は判ります。

Marantz7オリジナル初期型 S/N 11000番台です。 こちらの方は当工房の売り出し中の#7オリジナルを検討されていましたが、丁度ヤフオクに11000番台が出品されており、こちらの売り出し中のものと比べてどうなのか相談を頂きました。見ると殆どオリジナルで余りメンテもされていない状態です。特に致命傷となる改造はありません。これならこちらでオールバンブルビー化レストアすれば、こちらで売り出し中のものと音は変わりません。まだバンブルビーが付いているので少し高額でしたが、ヤフオクの11000番台を落札されることをお勧めしました。


★エージングを繰り返しながら音の確認を行っています。                                  2023. 8. 21

少し聴き慣れてくるといつもの当工房のMarantz7オリジナルと音が違うことが気になりました。
いろいろチェックすると真空管が怪しいことが判明します。

交換部品です。

内側側面のスポンジも張替えました。

全て良品のバンブルビーで、少しでも長く良い状態を保つためにこちらで特殊コーティングを施しています。

今では貴重な高圧セレンを交換しました。低圧の電解ブロックコンデンサーも交換しました。

★レストア後の試聴エージング風景です。

やはり良品バンブルビーの音は格別です。 不良が混ざっているときの音とは全く違います。

こちらの左テスターは高圧セレン直後です。336.3Vで良好です。

こちらの左テスターは低圧セレン直後です。27.27Vで良好です。

こちらの左テスターは高圧B3です。230.6Vで良好です。

残留ノイズです。左右とも0.0018V程で良好です。 周波数特性も良好です。

左の白テスターは高圧B1です。285.9Vと良好です。右テスターはヒーター電圧です。18.96Vで良好です。

こちらの左テスターは高圧B2です。253.0Vで良好です。

裏面です。低圧セレンは良品だったため残しています。横一列の小さなバンブルビーも良品に交換しました。

低圧セレン直後です。26.90Vでこちらはまずまずの値です。

高圧セレン直後です。312.1Vでこのセレンは不良です。最近交換されているようですが、青い復刻セレンは不良が多いようです。

ライン右の0.22uF/400です。こちらもかなりの漏れです。(1.897V)

裏面の小さな0.01uFです。4本ともかなりの漏れがあります。この画像では1.29Vもあります。

ライン左の0.22uF/400です。かなりの漏れです。(2.34V)

★カップリングコンデンサー バンブルビーの漏れチェックです。

★粉を吹いているカソードバイパスコンです。

不良のブロックの直流抵抗を計ります。少し値が低いようです。

低圧φ35です。1ブロックで画像の様に完全に抜けています。これは危ない。このまま使用すると突然ショートし、大電流が流れて真空管は全滅、電源トランスも焼き切れてしまいます。

★電源を入れる前に各ブロックコンデンサーのチェックです。

高圧先頭φ25です。3ブロックとも良好です。

高圧次段φ35です。こちらも3ブロックとも良好です。

★本機に使用されている真空管はTelefunken ECC83<>有と<>無し、その他のメーカーが混在していました。
特にTelefunken <>有の音が悪い状態です。一般的に音が良いと言われているものなのでとことん使い倒してあるようです。

当工房でストックしているTelefunken ECC83<>有やRCAに交換し、再度音の確認を行いました。
この中でRCAは豊かな低音が印象的です。

やはり、なかなか良い音になりました。
これで安心してオーナー様にお渡しできます。






真空管を外して当工房でストックしているものと交換してみました。

付いていた真空管を真空管試験機で検査します。
画像の通り全ての真空管はかなり使い込まれているものです。




フォノイコ左0.1uF/400です。こちらもかなりの漏れです。(21.98V)

フォノイコ右0.1uF/400です。こちらもかなりの漏れです。(19.98V)

★最初の試聴風景です。

裏面です。こちらも低圧セレンを交換されている以外は完全にオリジナル状態です。

内部です。完全にオリジナル状態です。最近高圧セレンを交換されているようです。

左テスターはヒーター電圧です。18.47Vでまずまずの値です。ブロックコンデンサーが不良ではいつ飛んでもおかしくありません。
右は高圧B1です。260.0Vでかなり低い値です。

Marantz7 S/N 11000番台 オールバンブルビー化レストア依頼 概要

★レストア後の各電圧チェックです。

★電源を入れて各電圧を測ります。