Marantz#7レストア11000番台 K.T 様 概要

残念ながらすべてのバンブルビーは不良でした。セラミックも容量不足で不良です。
唯一、裏の黄色の0.33uF SPRAGUEは無事です。

殆どのカップリングコンデンサーは交換になります。

電源も全てのブロックコンデンサーとセレンは交換です。



オーナーの方は半年ほどこの#7オリジナルは使用されていないそうです。
音も出せない状態だったので納得しました。

今回もたくさんの部品を交換しました。
交換した部品には検査値を記入してお返ししています。

バンブルビーに貼ってあるラベルの数値の単位はMΩです。殆ど1桁2桁台ですね。全て完全に不良です。

このセレンは逆方向でも数MΩ、低圧セレンでは200KΩと抵抗が無いに等しい値です。電圧は19.8Vのところ11Vと真空管ドライブの下限値を下回っていました。

本機のセレンは高圧低圧とも純正でまだ一度も交換されていませんでした。
両方とも逆方向に導通があり整流されていません。
特に低圧セレンは逆方向が200kΩと全く抵抗値が無く、正弦波のマイナス方向が直接ブロックコンデンサーに掛かっていたことになります。
コンデンサーに逆の極性の電流が流れることになるため大変危険です。

今回もこの低圧用のブロックコンデンサーを含め全てのブロックコンデンサーを代品の新品に交換しました。

漸くレストア完了です。電源回路の低圧用ブロックコンデンサーの入荷に時間が掛かりました。
ごらんの様に内部はあまり変わっていませんがカップリングのバンブルビーは全て交換になりました。
電源も全てのブロックコンデンサーと低圧高圧セレンは交換です。
セラミックもSPRAGUE製の新品に交換しました。フォノイコのカソードバイパスコンデンサーも容量が3倍になり不良なので交換です。

★レストア完了です。                                                          2017. 9.26

★検査完了です。                                            2017,7,7

★ こちらの依頼では、L,Rバランスが悪く、時間が経つとR側でピーとハム音が出ると言うことです。

いつものように電源の漏れ電圧を確認しコンセントプラグの方向を確認した後早速音だしを行いました。
真空管が温まったと同時にビーと言う大きな音が両チャンネルから出たのですぐに電源を切りました。

電源回路が殆どダメなようです。

暫く時間を置いて,
まずブロックコンデンサーを調べると高圧B電源のφ25の先頭のブロックのみ何とか正常な値が出ましたが、これ以外は全て抜けていました。
しかもヒータ用のブロックコンデンサーも全て抜けています。

セレンも純正のままなのでこれもダメでしょう。

内部は全くのオリジナルで殆どこれまでメンテナンスがされていない状態です。
もはや限界だったのでしょう。

オールバンブルビー化レストアを行った結果、漸く本来の Marantz model 7 の音が聴けました。


凛として煌めく中高音、奥深い雰囲気を醸し出す中低音、そしてこれが model 7 と唸らせる歯切れの良いダイナミックな重低音。
これがバンブルビーの音なのです。

また、こちらの秘蔵機とは少し違った味わいが本機にはあります。
この違いは、実はまだ秘蔵機2台はブロックコンデンサーの全てを新品には交換していないのですが、このブロックコンデンサーにあるのかもしれません。
そのため本機ほど重低音に軽快さが出ていなく、ぼんやりとした低音の感があります。


やはり良い音は電源がしっかりしていなければ出ないようです。