Marantz7 12000番台 レストア依頼機 O.D様 概要

2019. 8. 19 初掲載 検査完了
2019. 8. 27 レストア完了

★ エージング中の本機です。

左右の音もしっかりと出てきれいな音です。

特にフォノの音はバンブルビーに似て極めて煌びやかでしっかりとした調べを奏でてくれます。

良い音になりました。
















交換部品です。今回も電源回路を中心にバンブルビーは全て交換しました。

低圧セレン直後の電圧です。26.72Vを示し良好です。

高圧B1です。276.9Vを示し良好です。

高圧セレン直後の電圧です。328.6Vを示し良好です。

裏面です。新品の低圧セレンが見えます。4本並んだ小さなカップリングは音の抜けの良いGoodAll-TRWの新品です。

基板上のカップリングコンデンサーやカソードバイパスコンは全て新品交換です。

高圧低圧セレンと3本の電解ブロックコンデンサーを交換しました。

レストア後の内部です。全てのバンブルビーは交換になりました。音に重要なところをGolden-Black、それ以外は音の抜けの良いGood-All TRWの新品に交換です。セラミックコンデンサーもMarantz純正SPRAGUEの新品に交換しました。
フォノイコのカソードバイパスコンも純正SPRAGUEの新品に4本とも交換しました。
RIAA偏差のコンデンサーも厳選したマイカコンに交換しました。
電源回路も高圧セレン、電解ブロックコンデンサーは3本とも正規仕様の新品に交換しました。

ヒーター電圧です。18.94Vを示し良好です。

高圧B2です。こちらも265.6Vを示し良好です。

高圧B3です。233.8Vで良好です。

★レストア後の電源電圧のチェックです。

ヒーター電圧です。14.57Vでかなり下がっています。
規定は19.8Vです。

低圧のブロックコンデンサーです。こちらもLeaky表示でリークしています。

★以上の検査の結果、本機はかなり良くない状態です。
これなら音が出なくなるのも無理はありません。

通常聴いているとかなり歪が大きくなっていても耳が馴れて異常とは気が付きにくいものです。

今回のようにどちらか音が出なくなって初めておかしいとわかります。

トーンコントロールも低音を上げてあるので中高音がピーキーに強調されていたのでしょう。
劣化したコンデンサーで聴いていると良くある状態です。

★それでは電源を入れて各部の電圧を計ります。

本機は片側の音が出なくなったので修理を依頼されました。

早速、こちらで試聴するとやはりフォノイコで右側の音がでません。
パイロットランプが切れていたので交換すると点灯し、暫くすると動作が不安定になり点滅を繰り返し、数分でまた消えました。

いろいろいじってみると時折右は小さく音は出るもののかなり歪がひどくガーガー音です。
全体に歪が大きいので、まだバンブルビーがついているのですが全滅のようです。

10分程我慢して聴いていると今度は左側からボソボソと音が出ます。

内部全体を眺めてみると、恐らく本機は数年前にどこかのショップでレストアされて高圧低圧セレンを復刻新品に交換され、バンブルビーも全て交換されています。

こちらでの検査ではこのセレンは2個とも電圧が下がり不良です。バンブルビーも劣化して全滅状態です。
音が出ないのはどれかのバンブルビーが完全に抜け切って信号を通さない状態になっているのでしょう。
ボソボソと音が出るのも少し温まることに依って出力側最終のバンブルビーの絶縁抵抗が下がり、パワーアンプに直流を流している可能性があります。


本機はかなり悪い状態と言えます。


★漸くレストア完了です。                                                                    2019. 8. 27

← こちらの2枚の画像はバンブルビーの漏れ電圧です。両方とも1Vを越えて完全に不良です。
ここは音に重要なところなので画像に残しましたが他のバンブルビーも似たような状態です。

全てのバンブルビーのリードは繋いだ形跡があるので後で交換されたものです。
しかもかなりきれいな状態なので近年交換されたものでしょう。

早くも劣化したのか最初からあまり状態が良くなかったものを付けられていたか。。。

低圧セレン直後の電圧です。23.32Vとかなり下がっています。
通常ここは27V位なのでこのセレンは不良です。
パイロットランプの点滅はこのセレンの温度変化に依るものなので完全に不良です。

高圧B1です。264.2Vを表示しています。こちらもかなり電圧が落ちています。

高圧B2です。245.6Vを表示しこれも電圧が下がっています。

高圧B3です。228.0Vの表示を示し下がっています。しかしまだ200V以上あるので最悪の状態では無さそうです。

高圧セレン直後の電圧です。308.4Vを示します。約30V程電圧が低下して不良です。

← こちらの4枚の画像は表面のフォノイコのカソードバイパスコンです。
4個とも不良です。
この様に表面に粉が吹いているものは計測するまでもなく間違いなく不良と見るべきです。

高圧2段目φ35です。計測不能表示でESRも最大値を示し完全に抜け切っています。

高圧先頭のφ25です。Leaky表示でリークしています。

裏面です。低圧セレンも復刻新品に交換されています。カップリングもバンブルビーに4本とも交換されています。
電源回路は全く手を加えてありませんが配線が妙に雑です。セレンを交換する時に手こずったのでしょうか?
電源コードも交換されています。

★電源投入の前に各電解ブロックコンデンサーのチェックです。

内部上面です。バンブルビーは全て交換されています。セレンも復刻の新品交換されています。