Marantz7 12000番台 レストア依頼機 S.M様 概要

2018.12.21 初掲載
2019. 1.16 レストア完了

まず電源回路は高圧セレンを交換し、電解ブロックコンデンサーは高圧のφ25とφ35を交換しました。
カップリングは音に影響する所をGoldenBlackに交換し、それ以外はGoodAll-TRWです。セラミックも交換しました。
フォノイコはカソードバイパスコンを4本とも純正SPRAGUEの新品に交換しました。
RIAA偏差のコンデンサーもマイカコンに交換しました。
全ての交換部品は厳選した音の良い部品です。

★電源投入前の各電解コンデンサーの検査です。

本機の試聴風景です。
3台のMarantz7オリジナルと聴き比べています。

オールバンブルビー機と比べても遜色ない透明感です。
全てのカップリングは新品なので上品な音です。

勿論、最初の右側に大きなノイズが出ていた不具合は全くありません。
やはりカップリングコンデンサーの不良でした。


今はとても良い音です。



もう暫くエージングを繰り返し、各コンデンサーの調和が取れて良い音が熟成されたことを確認してオーナー様にお返しします。







交換部品です。今回もバンブルビーは全滅です。

まずはセレン直後の電圧です。333.1Vと素晴らしい値です。

★問題の各部の電圧です。

低圧ヒーター電圧です。19.76Vで充分な値です。

高圧B1です。282.7Vと規定にぴったりの値です。素晴らしい!

高圧B2です。261.2Vとこれも良い値です。

高圧B3です。238.7Vと完全に充分な値です。

裏側です。横一列の小さなカップリングはGoodAll-TRWに交換しました。音の抜けが一際引き立ちます。
今回トーン回路のカップリングは良品で、Marantz7オリジナルの中では一番音の良い12000番台に使われている黄色のSPRAGUEは温存です。

★レストア完了です。                                                                2019. 1. 17


いつものようにカップリングコンデンサーはこちらで音の良い物を組み合わせています。


ヒーター電圧です。正常値に近い値です。これはダイオード直後が正常値よりも3V位高いので正常値に近くなっていますが、上記ブロックコンデンサーの検査でリークしているので3ブロック中1ブロックだけで何とか正常値を維持しています。
このままでは近いうちに不良の2ブロックがショートして残りの1ブロックが支えきれなくなり脈流がヒーターに掛かります。
いきなりブーンと大きなハムノイズが出てびっくりするでしょう。

ヒータ用ダイオード直後の電圧です。
27.55Vです。これは少し高めです。

高圧B3も同様に落ちています。
これが200Vを切ると、真っ先にフォノイコが動作不能に陥ります。

高圧B1の電圧です。259.5Vで少し低い状態です。
しかし、これでもまだ何とか聴けます。

高圧B2です。B1が落ちている分このB2も落ちています。

まず見えにくいですが電源トランス直後の交流2次電圧を計ります。
AC285.1Vでまずまずの値です。
この電源トランスは大丈夫です。
近ごろトランスの交換が多いので気を付けています。

高圧セレン直後の電圧です。通常は320V以上でます。
表示は305.8Vで微妙な値です。
この高圧セレンは最近交換されています。最初からこの状態だったのかも知れません。

フォノイコのカソードバイパスコンの長い1段目です。2本ともかなり容量が膨らんでパンク寸前です。
表示は359.2uFを示していますが、ここは200uFを使います。

こちらもフォノイコ2段目です。本来は100uFですが、表示は256.2uFで倍以上、しかもESRは3.4Ωと完全に不良です。

低圧のブロックコンデンサーです。ここも3ブロック中2ブロックでリークしています。

高圧初段のφ25はご覧のようにLeaky表示で3ブロック中2ブロックでリークして不良です。

高圧2段目は3ブロック中2ブロックで少し容量が膨れていますがESR値が異常に高くコンデンサーの機能が低下しています。
ここは音に一番大事な所です。できれば交換したいものです。

裏側です。殆どのカップリングはオリジナル状態です。
検査では表と同じくバンブルビーは全部不良です。特にライン側の漏れ電圧がひどいのでこれもノイズを発生させています。

中は全てバンブルビーですが、後ほどの検査では全て不良です。特に最終の0.22uF/200Vは完全に抜け切っています。
これが大きなノイズの元では無いかと思います。
電源では高圧のセレンが、恐らく最近交換されています。

裏側もとてもきれいです。全体には殆ど手を加えていない状態のように見えます。

とてもきれいなMarantz7 12000番台です。
右側が大きなノイズが出るので見て欲しいとのご依頼です。


★右から大きなノイズ出ると聞いているので最初の音出しの前にジェネレーターとオシロで波形の確認です。

やはり右チャンネルでご覧のように波形が荒れています。

見辛いですが上が正常波形、下は不安定な状態で最小値を捕らえました。
本来は上の波形と同じレベルの筈ですが、この最小値と標準値の状態を高速で繰り返します。これがノイズとして出力されています。

ミリバルの針が振れています。この振れ方ではそれなりのノイズが出ているようです。

すでにカップリングの検査で右チャンネルの最終出力のコンデンサーが抜け切っています。

音を出すまでもなく全てのコンデンサーを交換してから音の検証になります。



最近高出力のパワーアンプに繋がっているのでいきなり大音量のノイズはスピーカーを飛ばすので注意しています。

★いよいよ電源投入して各部の電圧を計ります。

このヒータ回路はやはりセレンに交換しブロックコンデンサーも新品に交換です。

電源回路の低圧のセレンはダイオードに交換されています。

メインボリュームが交換されています。
見慣れない形状ですが刻印はコスモスです。