フォノイコのカソードバイパスコンは4本ともMarantz7純正SPRAGUEの新品に交換しました。

電源回路は高圧セレンと電解ブロックコンデンサーを3本ともオリジナル仕様の新品に交換しました。

2021. 6. 16 検査
2021. 7. 27 修理完了

交換部品です。


★漸く修理完了です。                                       2021. 7. 27

予想通りこちらもかなり手こずり、1ヵ月以上掛かりました。

★最初の試聴です。

真空管が上がって来ると同時にガーとノイズが出て続きます。やはり音は歪み少しキンキン音です。
クロストークの音漏れはありません。

電源回路の不良と、どこかアースが浮いています。結構難儀です。

高圧セレン直後の電圧です。275.2Vと40V程下がっています。高圧セレンの交換が必要です。

高圧初段φ25です。ESRが高く不良です。

★修理後の試聴風景です。


いつものオールバンブルビーの良い音を出しています。












高圧B3です。241.3Vでこちらも良い値です。

一連の修理後の試聴でボリュームを完全に絞っても右から音漏れがあります。この為各部の波形を調べました。結局クラロスタットのメインボリュームの故障です。バランスボリュームの不良や各部のアース浮きや回り込みはありません。

今回故障の症状では、軽く衝撃を与えたら突然音量が大きくなり音もキンキンした音になったと言われています。恐らくアース浮きから回り込みが発生している中での衝撃でボリューム内部に高電流が流れ一部分が剥離故障したと考えます。前記の渡りを掛けてアース浮きを無くした後も後遺症でこのクラロスタットの片側のカーボン被膜が剥がれているようです。

今日では極めて貴重な純正クラロスタットボリュームです。交換するわけには行かないので我慢して頂くしかありません。通常聴いている状態では全く問題ありません。

ボリュームを完全に絞った状態での出力波形です。下が右チャンネルです。

低圧セレン直後の電圧です。27.13Vで良い値です。

ヒーター電圧です。19.48Vでこちらも極めて良い値です。

高圧B1です。282.6Vで極めて良い値です。

高圧B2です。262.9Vでこちらも良い値です。

高圧セレン直後の電圧です。331.6Vを示し良い値です。

低圧セレンも交換しました。

10500〜12000番台辺りに付いている黄色のトーン回路のカップリングコンデンサーです。オーナー様の希望により交換しました。低音の出方が違います。

★修理後の各電圧チェックです。

当工房で外して再取付けしました。バンブルビーのリード線を切って新しいリード線と鎖の様につなげてホめ、少量のハンダで固定しています。こうすることにより少し手間は掛かりますが音の劣化を最小限にくい止めます。これが当工房のやりかたです。
後の試聴でもノイズも少なくなりました。

★裏面です。

以前購入されたショップでバンブルビーを交換されているようですが、ハンダ付けが悪く短いリードをハンダ盛りで繋げてあります。試聴中に音が悪いので調べて判明しました。

見難いですが画像中央の人差し指のような丸い球です。真空管ソケットと上手くハンダだけで繋げています。手抜きです。

Marantz7の音を決める大事なセラミックコンデンサーも純正SPRAGUE野新品に交換しました。

Marantz7ではよくあるリヤパネルのRCAジャックのアース浮き対策として渡りを掛けました。やはり異常の根本原因はアース浮きです。

いろいろありましたが最終形の内部です。

ヒーター電圧です。こちらも16.21Vでかなり下がっています。

低圧セレン直後の電圧です。 23.48Vでかなり下がっています。低圧セレンの交換が必要です。

高圧B2です。224.4Vでかなり低い値です。

高圧B3です。207Vでかなり低い値です。

筐体-コンセントN極間の漏れ電圧です。良い状態です。

高圧B1です。241.4Vでかなり低い値です。

4本とも静電容量が倍くらい膨らんで不良です。

★電源を入れて各電圧を測ります。

高圧2段目φ35です。比較的良い状態ですが少しESRが高く表示しています。

低圧用φ35です。容量とESRは良好ですが、損失係数(リーク)が高くリークしています。不良です。

★カソードバイパスコンです。

★電源を入れる前の各電解ブロックコンデンサーのチェックです。

電源回路も全く手を加えていません。

音量が大きくなり音がキンキンするようになったので検査を依頼されました。

裏側です。こちらは完全オリジナル状態です。横一列の4個のバンブルビーも交換されています。低圧セレンも交換されています。

★いつもお送り頂く時ウッドケースから出して本体のみお送り頂くようお願いしています。今回は先に送られたのでウッドケースに入れた状態でした。

Marantz7はフロントパネルの四隅の4本の小さなビスだけで取り付けられ本体は宙に浮いた状態です。この為運送の途中の振動で本体が揺さ振られ、このビスが抜けてウッドケースのねじ山がダメになります。

今回も右の画像の様にねじが飛び出していました。

★内部です。

ほぼオリジナル状態です。バンブルビーは全て交換されています。

Marantz7 S/N 13000番台 修理レストア依頼 概要