2021. 5. 13 検査初掲載
2021. 6. 13 レストア完了
2021. 6. 17 コンデンサー変更

★最初の試聴風景です。

電源投入後、真空管が上がってくると同時に大音量のハム音が出てきます。
びっくりして思わずパワーアンプの入力ゲインを絞りました。

最初に本体を見たときボリュームのつまみの角度が2時くらいを指していたので変だと思いましたがこのハムノイズが原因です。

パワーアンプの入力ボリュームを絞ってプリのボリュームを上げればハムノイズは相対的に小さくなって何とか聴けたのでしょう。


これは大変重症です。



低圧φ35です。こちらは容量はありますが損失係数がかなり高く不良です。

★電源を入れる前の各電解ブロックコンデンサーのチェックです。

内部はかなり汚れています。殆どオリジナル状態で全く手を加えられていません。

カップリングコンデンサーの漏れ電圧です。1V以上の漏れがあります。まだ高圧電圧が低いのでこの程度ですがレストア後正規の電圧になるとこの倍以上の漏れになると予想します。
概ねバンブルビーは殆ど不良です。

筐体とコンセントN極間の漏れ電圧です。AC22.52Vで良い値です。
電源電圧が極めて低い割には電源トランスは今の所大丈夫なようです。
しかしレストア後電源が正常になったらスパークして焼損になることがこれまでたびたびあります。

低圧セレン直後の電圧です。26.20Vでまあまあの値です。

ヒーター電圧です。18.33Vで良い値です。

高圧B1です。こちらも175.1Vと規定の100V以上低下しています。これで鳴っていたとは驚きです。

高圧B2です。こちらも160.8Vで100V近く下がっています。

高圧先頭φ25です。3ブロックとも完全に抜け切っています。不良です。

高圧2段目φ35です。こちらも静電容量が抜けて不良です。

★電源を入れて各電圧を測ります。

Marantz7 S/N 13000番台 検査レストア依頼 概要

高圧セレン直後の電圧です。328.1Vで良好です。

こちらもバンブルビーを外してマランツ純正GoodAll-TRWの新品に交換しました。(白色4本)
低圧セレンも新品に交換しました。

フォノイコの0.1uF/400とラインの0.22uF/400をバンブルビーに交換しました。この2種類は音に影響の大きい所です。特に0.22uF/400は高圧が直接掛かり壊れやすいので昔から品薄で、今は殆どどこも持っていない状態です。

交換した部品です。

バンブルビーも全て外しました。

★レストア後の試聴エージング風景です。

クラシックのレコードをずっと掛けています。

良い音に戻りました。












高圧B3です。 229.9Vで良好です。

高圧B2です。 254Vで良好です。

高圧セレンと電解ブロックコンデンサーです。

★裏面です。

相変らずセレンにダイオードを接続されています。こうすることにより一時的に良くなったと思いますが後で全体に悪影響を及ぼしました。

★内部です。

高圧B1です。 275.8Vで良好です。

今回は電解ブロックコンデンサーのベースに取り付けてある配線用ラグ板が朽ちて配線できない状態だったので新しいラグ板を付けたアッセンブリの交換になりました。

★レストア後の各電圧チェックです。

電源回路は電解ブロックコンデンサーを3本ともオリジナル仕様の新品に交換しました。高圧セレンも交換しました。バンブルビーは全て不良のため代品に交換しました。代品のコンデンサーはマランツ純正GoodALL-TRWの新品と音の良いフランス製です。フォノイコのカソードバイパスコンもマランツ純正SPRAGUEの新品に4本とも交換しました。ラインのセラミックコンデンサーもマランツ7純正SPRAGUEのNOS品に交換しました。


★レストア完了です。                                       2021. 6. 13

まず最初に、初めの音出しで大音量のハムノイズの原因が下の低圧セレンでした。
画像は低圧セレンを外して拡大したものです。何とダイオードがパラに接続されています。よく見るとブリッジ回路で必要なダイオード4個の内1個が欠落しています。以前のレストア屋さんはこの状態で修理されたようです。恐らくこの部分のセレンはまだ大丈夫だったのかも知れません。しかし後に全てダメになり1個足りない状態で整流していたものと推測します。この為ヒーターの脈流がアースを介して高圧側に大きなリプルをもたらし大きなハムノイズとなって出ていました。
当工房で低圧セレンも新品交換を行いました。

高圧B3です。こちらも144.9Vと90V近く下がっています。

昨年ヤフオクで落札されたものだそうです。当初からノイズが出て最近では低音が幾分弱くなったのでレストアを依頼されました。

真空管がかなり汚れていて外すとピンが油で汚れていました。こちらで洗浄剤と特殊工具でソケットとピンの洗浄を行いました。
ついでに真空管カバーも緑色に腐食していたのでこちらに有るバレル研磨機に掛けて研磨洗浄を行いました。





残念ながら元の光沢には及びませんが奇麗になりました。


★ご要望により主要カップリングコンデンサーをバンブルビーに交換しました。             2021. 6. 17

低圧セレン直後の電圧です。26.87Vで良好です。

ヒーター電圧です。 19.07Vで良好です。

高圧セレン直後の電圧です。何と!209.8Vしか出ていなく規定より100V以上低下しています。

電源トランスの高圧出力です。AC286.1V出ています。良好です。