横一列の小さなカップリングコンデンサー160Pは良品です。
真空管ソケット周りの抵抗類もきれいになりました。

Marantz7 13000番台 レストア依頼機 S.Y様 概要

交換した高圧セレン直後の電圧です。
332.3Vを示します。すばらしい!

2019. 7. 24 初掲載 検査完了
2019. 8. 7 レストア完了

パネル裏の回路も長年の垢がきれいになりました。

本機は当工房オリジナルのイコライザーアンプEQC-1用真空管を手配している、ビンテージサウンドの社長様のMarantz7です。
暫くメンテしていないので見て欲しいとのご依頼です。
特に右の音が小さくなっているとのご指摘です。

今回も電源回路を中心にいろいろな部品が交換になりました。

高圧B2です。残したφ35がしっかり働いています。
258.5Vで良好です。

高圧B3でこちらも良好です。

最終的な内部の状況です。
フォノイコのRIAA偏差を決める抵抗とコンデンサーを交換しました。
以前他でのレストアで抵抗を2個直列に付けてありコンデンサーもフィルムコンデンサーを並列に付けてありました。
最初から怪しいと思っていましたが前のレストア屋さんの苦労の跡なので尊重して最後まで残してみたのですが、交換するとやはり音は変わります。

漸くフォノイコからの音漏れも極めて小さくなりました。
しかしまだかすかにあります。

良品と思い交換しなかった電解ブロックコンデンサーも交換してみましたが、特に改善しなかったのでまた元に戻しました。

各部の絶縁とアース関係を隈なく測定しどこも問題は無いのですが、どうしても音漏れが微かにあります。
もしかすると全体に加湿器のカルキが付着していたのでどこかで静電容量が発生し電圧が漏れて音漏れが起こるのかも知れません。
特にフォノイコは極めて微弱電圧を扱うのでどうしても拾うのかも知れません。



一応これで通常の音楽鑑賞には問題は無いと思います。



音もレコードはとても煌びやかで繊細な調べを奏でます。



















★ただ今エージングを行っています。

音は予定通り極めてMarantz7らしい煌びやかでダイナミックな音が出ます。
これもかなりバンブルビーに近い音だと思います。

片側の音が小さかったのも治りました。
ただ、フォノイコの音漏れがまだかすかにあります。
一応各RCA端子のアース浮きもチェックし追加で渡りを掛けています。

これでまだ音漏れがあるので、以前もありましたが良品と思っていたφ35の電解ブロックコンデンサーが怪しくなってきます。

もう少し検査してみます。

内部上面です。カップリングコンデンサーで音に重要な箇所にアリゾナキャパシタを使いました。これで曇った音が解消されMarantz7らしい煌びやかな音が戻っています。ただこのコンデンサー本来の音にはかなりのエージングが必要です。
また、その隣のプレート抵抗も巻き線抵抗に交換しました。これにより片側のゲインの減少も無くなり、低音の解像度が良くなりました。
フォノイコのカソードバイパスコンは純正SPRAGUE新品に4本とも交換しました。
セラミックコンデンサーも純正SPRAGUEの新品に交換しました。これもMarantz7らしい元気な音が蘇っています。
電源の高圧セレンを交換しました。

低圧ヒーター電圧です。
19.18Vで良好です。

内部裏面です。明るい色のベークが交換したφ25と低圧用φ35の電解ブロックコンデンサーです。

160Pの取り付け方を変更して揃えています。右隅に赤い純正SPRAHUEのセラミックコンデンサーが見えます。

交換したφ25電解ブロックコンデンサー後の高圧B1です。
280.2Vを示し規定通りです。

交換した低圧セレン直後の電圧です。
26.88Vを示し良好です。

★再度各電圧のチェックです。

低圧セレンも交換しました。

交換した高圧セレンと電解ブロックコンデンサーです。

白い粉が付着していましたがエアーで飛ばし全て取り除いています。
真空管ソケット周りもきれいになりました。

★一通り状態を検査してみました。

電源は上記の通りかなり劣化しています。

各カップリングコンデンサーも特に音に重要な、且つ良く不良になる0.22uF/400Vの160Pが劣化しています。

電源回路を直すと音はかなりすっきりとした音になります。
その他、カップリングコンデンサーは不良個所以外でも音に重要なところを交換すれば、よりオリジナルに近い音になります。

★レストア一部完了です。                                                                     2019.7.26


ヒーター電圧です。16.77Vとかなり低い状態です。本来ここは18.9Vです。

高圧B3です。こちらも同じ様にまあまあです。

内部裏面です。電解ブロックコンデンサーは全てオリジナルです。
横一列の小さなカップリングコンデンサー4個も全て160Pに交換されています。
多分低圧セレンも交換されています。取付けが逆です。

内部上面です。以前どこかでレストアされて、カップリングコンデンサーは全て160Pに交換されています。
フォノイコのカソードバイパスコンは違う容量のものに交換されています。
全体に白い粉が付着しています。特に高圧の所が顕著です。後で聴くと空気清浄機のカルキだそうです。
厳密に言えばコンデンサー類では漏電や静電容量が変わります。

早速音出しをしました。
電源投入後20秒程で音が上がって来ると同時に右側からごぞごぞと音がします。
やはりご指摘の通り右側が弱く感じます。
また、レコードではボリュームを絞り切っても音が漏れます。右が特に大きい感じです。これはテープセレクターをテープモニターにしても漏れています。
AUXからCDの音では漏れていません。他のレンジも音漏れは有りません。フォノイコだけです。
レコードの音はかなりピーキーに聴こえます。CDのAUXの音は160Pらしいまろやかな音ですが低音が膨らんで強調されています。

★レストア完了です。                                                                     2019.8.7

低圧ヒーターセレン直後の電圧です。
24.11Vと少し低い値です。

高圧B1です。273.1Vとまあまあの電圧です。先頭のφ25が不良ですが何とか持ちこたえているようです。
しかしかなりのリプルがカソードフォロア管に掛かっています。

高圧B2です。2段目のブロックコンデンサーφ35がまだ元気なので何とか持っています。

高圧セレン直後の電圧です。315.2Vです。普通ここは330V位なので高圧セレンが劣化しているようです。

気になる表面のカソードバイパスコンですが、容量は370uFまで膨らんでいます。

★それでは電源を入れて各部の電圧を見てみます。

高圧2段目φ35です。こちらは3ブロックとも表示のようにほぼ正常です。

低圧のφ35です。3ブロック中1ブロックのみ表示のようにHi Cとなり正常ですが、他の2ブロックはLeaky表示でリークしています。
音漏れはこのブロックコンデンサーがリークしていると出る場合があります。

高圧先頭φ25です。Leaky表示でリークしています。しかもESRは最大値を示し、完全に機能していません。

渡りの電線です。高圧の線だけが真っ白です。

低圧セレンです。この取り付けは裏表が逆です。逆に付けて線が届かないので傾いています。。。

★電源投入前に各電解ブロックコンデンサーを検査します。

この黄色のコンデンサーはカソードバイパスコンです。これも前のレストア屋さんは手元にたまたま有った余り物を付けられたようです。
ここはレコードの音にかなり影響します。画像では330uFですがここは必ず正規の200uFでなければなりません。

高圧セレンです。半分焼けているのが気になります。

縦に取り付けられたコンデンサーはセラミックコンデンサーが付くところですが、前のレストア屋さんは160Pに交換されています。
ここはMarantz7の音に極めて重要なところで、セラミックでなければマランツの音は出ません。当工房では交換部品には周波数特性を見ながら一番マッチした値のものを選びます。

上面ではこの0.22uF/400Vのカップリングコンデンサーが一番白い状態です。
真空管ソケット周りも全て真っ白です。

電源の抵抗にも白い粉が覆っています。スパークしそうでかなり危険です。

初めて見る光景なのでいろいろ撮っています。真空管ソケットピンの周りも真っ白です。
湿気を含むと高圧のところは漏電します。