Marantz7 S/N 14000番台 オールバンブルビー化レストア依頼 概要

2023. 8. 26 検査
2023. 9. 1  継続検査
2023. 9. 7 レストア完了

内部です。完全良品バンブルビーが並んでいます。


★レストア完了です。                                         2023. 9. 7

Marantz7オリジナルの中でも音が良いと言われるS/N 10500〜12000番台に使用されるトーン回路後の黄色のSPRAGUE 0.33uF/200 NOS品に交換しました。純正SPRAGUEのセラミックコンデンサーと共に低音の解像度が抜群に良くなります。

レストア後の出力波形です。綺麗な波形です。周波数特性、歪率、申し分ありません。

電源回路です。低圧セレンを交換しました。抵抗類もオリジナル純正A&Bの新品に交換し、一部は容量の大きいものを使いました。音のスピード感が増します。

横一列の小さなカップリングコンデンサーも良品バンブルビーです。

電源回路です。高圧セレン、電解ブロックコンデンサーは全て交換しました。

こちらの左白テスターは低圧セレン直後です。27.45Vで良好です。

こちらの左白テスターは高圧B3です。235.6Vで良好です。

こちらの左白テスターは高圧セレン直後です。334.1Vで良好です。

★各電圧チェックです。

交換部品です。珍しい部品が並んでいます。

残留ノイズです。 右は0.6mV、左は何と0.3mVです。

左の白テスターは高圧B1です。281.5Vで極めて良好です。右テスターはヒーター電圧です。こちらも18.99Vで良好です。

こちらの左白テスターは高圧B2です。258.3Vで良好です。

怪しい抵抗が繋がっていた線を外し元の状態に戻しました。

裏面です。

右上の赤いコンデンサーは純正SPRAGUEの新品に交換しました。低音に影響します。

★継続検査です。    (2023. 9. 1)



ボリュームのガリが心配なので検査しました。
白化した真空管を交換して電源を入れてみます。出力波形には特に大きな乱れはありません。この為、スピーカー飛ばすほどの大きなノイズはボリュームではなく真空管の不良からのようです。

内部です。いろいろなコンデンサーでレストアされています。よく見るとブラックビューティー(160P)は違う値のものが使われています。これでは周波数特性が変わります。恐らく電圧低下から音がキンキンするので(この理由が解らず)敢て違うコンデンサーで高域を落としているのでしょう。これがベテランの匠の技??なのかも知れません。他にもこういう誤魔化しを見たことがあります。
この160Pは筒型の珍しいタイプなので、こういうことをするのはブラックビューティーをたくさん持っているレストア屋さんなのでしょう。今ではMarantz7に使えるブラックビューティーも殆ど手に入りません。

相変わらずセレンにダイオードをパラに繋いであります。これもベテランの匠の技なのです。

私も当時ヤフオクを見ていました。勿論これにも気が付きました。

これはビタミンQでしょうか。よくわからないコンデンサーに換えられています。

★一応試聴できるようなので、白化した真空管をこちらのストック品に換え、電源を入れて各電圧をチェックしてみます。

こちらは最近ヤフオクで落札されたものです。これはオークションストアからの出品で、このストアのコメントでは基本動作は確認できたものの、HIGH FILTER 5KC切替時にノイズが混入するなどの理由により難ありの商品として出品されています。恐らくこのショップでは一般的な動作のみのチェックで、内容までは詳しく認識されていないのでしょう。普通に音が出るので無理も無いことです。
落札後オーナー様は一応試聴されましたが、ボリュームのガリが大きいのとオリジナルの音が聴きたいのでレストアを依頼されました。

★レストア後の試聴エージング風景です。

一発で抜群な音になりました。 どうよー!! これがオールバンブルビーの音だ!
ちょっと感動で吼えています。

イヤー・・・Marantz7はいいですねー♪♪


ただ今、グリークのピアノ協奏曲を聴いています。スカーンと鳴り響くピアノ。おどろおどろしい重低音。普通こんな解像度の高い低音は出ません。これがMarantz7オリジナルなのです。










通常の音量での波形です。激しく乱れています。

電源が相当悪いようです。

低圧セレン周りです。青色と黄色のチューブの中にダイオードを仕込まれてセレンにパラに繋がれています。まだセレンが付いているように見せかけているのでしょう。ご苦労なことです。
こういうことをするので貴重な電解ブロックコンデンサーがやられるのです。

前のレストア屋さんは部品を持たないので全てのブロックコンデンサーに電解コンデンサーをパラに繋がれています。よく見ると高圧先頭φ25が仕様の違うコンデンサーに交換され改造されています。当然同じ仕様のブロックコンデンサーは(当工房以外には)無いので改造するしか方法はありません。

★以上の様に電解ブロックコンデンサーは3本とも不良です。何とか追加されたチューブラコンのみで動作しているようです。
この為、近いうちに何らかの異常が音に出てきます。

こちらも容量不足です。

こちらは低圧φ35です。良い値です。

こちらも低圧φ35ですがOL表示で計測できません。完全に抜けて不良です。この端子に電解コンデンサーをパラに繋いでありますが全く効果はありません。この状態でセレンにダイオードをパラに繋いだまま使用し続けると、内部が突然ショートして大電流が流れ電源トランスがやられます。一般的には電源トランスの代品が無いのでこの固体は終わりです。

こちらは高圧2段目φ35です。容量が3分の1以下です。前のレストアで交換されていますが不良です。

こちらも高圧先頭φ25です。良い値ですが繋がれた電解コンデンサーの値です。

裏面です。電源回路に苦労の痕があります。

★この後最初の音出しを行います。恐らくそれなりの音が出るでしょう。
心配なのがボリュームのガリです。多分、分解修理になりますが、修理しても直らない場合があります。

電源回路は早急に元の正規の状態に戻さないと危険です。






こちらの白いテスターは高圧B2です。248.5Vで少し低い値です。

こちらの白いテスターは高圧B3です。229.0Vで少し低い値です。

左テスターはヒーター電圧です。18.66Vと少し低いものの何とか動作できます。右の白いテスターは高圧B1です。こちらも269.0Vと少し低い値です。





バランスボリュームの陰にも怪しげなチューブがあります。恐らく抵抗が仕込まれています。後でばらしてみます。

高圧先頭φ25です。仕様の違うコンデンサーに交換されています。一応良い状態です。

★電解コンデンサーがパラに繋がれているので、ブロックコンデンサーをチェックしてもしょうがないのですが、念のためできるところをチェックしてみます。

こちらに到着して梱包を開けてみるとV6の真空管が白化して真空ではなくなっていました。ガラス管に亀裂が入ったのでしょう。Telefunken ECC83 <>無しです。