2018. 11. 7 初掲載検査完了
2018. 11. 13 レストア完了

内部上面です。電源回路は3本のブロックコンデンサーを高圧セレンを交換しました。
バンブルビーもラインは0.22uF/400V 2本、セラミックもSPRAGUE製交換。
フォノイコはバンブルビーは0.47uF/200V 2本、カソードバイパスコンは4本ともSPRAGUEに交換しました。
RIAA偏差のコンデンサーはマイカコンに交換しました。
ボリュームもメキシコクラロスタットから東京コスモス改に交換です。

外観はとてもきれいです。ウッドケースには殆ど傷がありません。当時物では無さそうですが造りからすると結構年代物です。

早速音出しをしました。オーナー様には申し訳ないのですが非常に悪い音です。
中高域に歪が目立ちます。低域はだらしなく膨らみボン付いた音です。
クラシックではオーケストラの盛り上がりがガーガー響きます。JAZZではドラムのシンバルの音が控えめでジンジンと鳴り、ベースの音が本来のMarantz7ならドンドーンの音がボンボンと聴こえます。
5分と聴いていられなかったので早々に音出しは終了です。

裏面です。横に一列の小さなカップリングコンデンサー4本がブラックビューティー(160P)に交換されています。
トーン回路の0.33uFが恐らく容量が膨れ上がって不良でしょう。ボン付きの原因の一部がこれです。
低圧セレンがダイオードに交換されています。

交換してこちらでいつもの音量でCDを聴いている時のボリュームの角度です。
純正クラロスタットとほぼ同じ角度で聴けます。

メインとバランスボリュームをこちらで少し手を加えた東京コスモス改に交換しました。
以前のメキシコクラロスタットより澄み切った良い音になりました。
メキシコクラロスタットはギャングエラーがひどく、周波数特性も変えられ特に高域で元気のない音になります。
メキシコクラロは復刻#7の純正のボリュームですが、復刻#7がオリジナルの音と別物と言われる原因の一つが本機の交換前に付いていたメキシコクラロスタットなのです。

(2018. 11. 14)
★昨日レストアが完了し、本日も続けてエージングを行っていました。
とても透明で明瞭な音ですが、聴き慣れてくるとどうも中高域がきつく感じるので本日バンブルビーを4本交換しました。
どれも良品ですが相性があるのです。

周波数特性も少し調整しました。


イヤーッ! とても良い音になりました。
こちらの500番台よりも良い音です。

先程、ショップ仲間にもメールしましたが

ボリュームが純正クラロよりもコスモス改の方が良い音だと言っておきました。

純正クラロは2kHzあたりが強調されるので変な音になります。

それよりもコスモスの率直な音で抜けを良くした方が良い音です。

私もこれまで聴いていたレコードにこれまで聴こえなかった音をこの1600番台で発見し、聴いていてあれ?っという感じです。
低音もドドーンと轟く良い音です。



さすがにオールバンブルビーです。良い音です。





内部裏面です。横一列の小さなカップリングコンデンサー4本は160Pからバンブルビーに交換しました。
低圧セレンも復刻新品に交換しました。
トーン回路のカップリングも黄色の純正SPRAGUEに交換しました。

電源回路のブロックコンデンサーは全て正規仕様の新品代品に交換しました。
高圧セレンも復刻ですが新品に交換しました。
これで各部の電圧は正常な値です。

★レストア完了しました。                                                                         2018. 11. 13

本機はオーナー様の要望でオールバンブルビー化にレストアになりました。

また、ボリュームもこちらで少し手を加えた東京コスモス製に交換になりました。




今回もたくさんの部品を交換しました。

完璧な電源回路です。

★レストアが完了し、ただ今試聴とエージングを行っています。

やはりオールバンブルビーの音です。
中高域が煌びやかでJAZZではシンバルの高音が通ります。
音の解像度が増しています。殆ど純正クラロスタットの音です。

暫くエージングを繰り返し、各特性を計ります。

★以上のように本機は大変良くない状態です。
特に電源回路は瀕死の状態で、これ以上放置するとトランスや真空管までダメになります。

音も、取りあえず普通に出ていますがMarantz7の音ではありません。








高圧B1の電圧です。セレンと初段ブロックコンデンサーの不良なので175.9Vしか出ていません。ここの正常値は280Vです。
こちらで限界値とみているのは240V位なので、限界をかなり下回っています。

ヒーター電圧です。18.51Vを示しています。
正常値は19.8Vです。



ヒーター用低圧ダイオード直後の電圧です。正常値です。

高圧B2です。163.7Vです。通常は250V位必要です。

高圧B3です。153.1Vです。通常は230V位必要です。

トランスからの2次側高圧はAC278.1Vを示します。
まあまあの値です。

高圧セレン直後の電圧です。DC202.8Vです。
この正常値はDC320V程なので完全にセレンは不良です。

高圧初段φ25のブロックコンデンサーです。
3ブロック中2ブロックで画像のようにLeaky表示でリークして不良です。ESRも高い値です。

高圧2段目のブロックコンデンサーです。
3ブロックとも画像のように少し容量が膨れ上がっています。

低圧のブロックコンデンサーです。
3ブロック中2ブロックで画像のようにLeaky表示でリークし不良です。

裏側の小さなカップリングコンデンサーです。以前のレストアで160Pに交換されています。
全て良品でしたが、よく見ると4本とも耐圧200V仕様です。
本来は耐圧400V仕様のものが使用されています。本機の現状の高圧B電圧は全体に低いので何とか音は出ていたでしょうが、正規の電圧では特に左側2本のライン部はこの200V耐圧ではパンクします。
この為、今回電源を正常に戻すとこのカップリングコンデンサーも正規の400V仕様に換えなければなりません。

バランスボリュームもメキシコクラロスタットに交換されています。

内部上面です。ボリューム類とフォノイコのカソードバイパスコンが交換されています。
カップリングコンデンサーはBumbleBeeのままです。

私はこういうところが気になり画像に撮っています。
前のレストアされた方は無頓着な方です。
なぜ部品交換もしないところの配線を崩し、そのまま放置されるのでしょうか。

★電源投入前の各ブロックコンデンサーの検査です。

カソードバイパスコンが交換されています。

カップリングコンデンサーの検査です。

左の画像は漏れ電圧ですが1Vを超えています。

この様なところが随所にあるのと、音出しでひずみがかなり感じられたのでやはり全てのBumbleBeeは交換になるかも知れません。

★電源回路各部の電圧測定です。


★すぐに検査しました。

セレンはオリジナルのままです。外観は塗装が焼け焦げています。
ここまで焼けると余り良い状態では無さそうです。

メインボリュームと下のバランスボリュームがメキシコクラロスタットに交換されています。

何と!出力レベル調整ボリュームもメキシコクラロスタットに交換されています。

以前レストアされた方は少しガリなどの不都合があれば安易に全ての音の通るボリュームを交換されたことになります。

この出力レベル調整ボリュームまで持っているレストアショップは大手有名ショップに限られます。

何てことをしてくれるのでしょうか!?

このオーナー様は本機をとても大切にされているようで、こちらに送るときには真空管に番号を付けて、1本1本丁寧に緩衝材に包み送ってこられました。

真空管は全てTelefunken<>有のスムースプレートです。


全体で言うと外観はとても良いのですが。。。

Marantz7 16000番台 レストア依頼機 S.Y 様 概要