2017.11.28:
検査終了です。
まずオーナー様より要望のトランスの配線のチェックですが、このトランスはMarantz7用では無いような気がします。
1次側の配線は7k用では100V-117Vの選択のために2本あり、通常どれか1本をヒューズソケットに繋ぎます。
(Marantz7オリジナルは1本のみ)
★レストアの進捗です。(2017.12.8)
結局本機はオーナー様の要望でオールバンブルビー化レストアとなりました。
Marantz#7レストア16000番台 A.S 様 概要
カソードバイパスコンは見たことの無い銘柄なのでアメリカあたりでレストアされたものだと推測します。
ブロックコンデンサーも全て交換されています。やはり数十年前のレストアなのでまだ部品が有った時代のようです。
このトランスはMarantz7kの部品でオーナー様が交換されています。
2017.11.24
今回の交換部品は、、、激しいですねー。
結構頑張りました。
今回はブロックコンデンサーは交換していません。
一応良品と判断しましたが、汚れ具合からするとそんなに長くないかも知れません。
左がこちらの保有機から外した電源トランス
右は問題の本機の電源トランスです。
配線もこちらの気になるところは出来るだけ張り替えました。
いつものオールバンブルビーの風景です。
入力系統はなかなか大変です。なので次回どなたかレストアされるとき頑張って頂くことを期待して今回は見送りしました。
今回の配線の張替えはレストア料に含め、特別な費用は頂かないつもりです。
貴重な個体です。できるだけオリジナル状態に戻ってくれれば良いと思います。
★再度レストアの進捗です。(2017.12.21)
電源トランスをこちらの保有機から外して付け替えてみました。
やはり各部の電圧は正常になり0.5Aのヒューズで問題無く動作します。
★今回オーナー様にもお知らせしましたが、
ただ今、殆どのコンデンサーを交換し配線も、気になるところはできるだけ元通り張り替えました。
音もバンブルビーらしい音で鳴っています。
ただ、どうも各電圧が上がらず原因を調べています。
しかも10分ほど聴いているとトランスがかなり発熱しています。
これだけ発熱するのでおかしいと思い念の為ヒューズを調べると1Aが付いていました。
本来は0.5Aなので正規の0.5Aに取り替えると すぐに切れました。
これまで1Aだから持っていたのです。
恐らくこれまでも普通より発熱量が多い状態で鳴っていたのだろうと思います。
やはりこのトランスはおかしいようです。最初に計った抵抗値といい今回の発熱量と言い、やはりMarantz7の物では無いようです。
配線の手直しにかなりの時間が掛かりました。
一応音もきれいに出ていますがトランスの特性も含めてもう少し各部のチェックを行い電圧低下の原因を探ってみ見ようと思っています。
これからが長くなるかもしれません。。。
一見、普通のMarantz7の裏面です。かなり配線を直しました。
電源回路は全てバラして組み直しました。
ブロックコンデンサーやアルミフレームもピカピカです♪
今回不良だった0.33uF/200Vも黄色の純正SPRAGUEに交換です。
良い音になりました。
テープイコライザー調整ボリュームの配線も、コンデンサー等の交換に邪魔になったので、正規仕様に張り替えました。
基板上の配線も色が気になったので、できるだけ張り替えて正規の配色としました。
電源も全て外して組み直しました。
全体にべっとりと茶色のヤニのようなものが付着していましたが全て取り除き、きれいになりました。
電源回りの配線は全て正規の配置と色に戻しました。
高圧セレンも外して抵抗値を計ると順方向6.5MΩ、逆方向7.9MΩと逆方向にもかなりの導通があり、この値では整流されていないようでやはり不良です。
このため代品の新品に交換しました。
今回の依頼は10年程前に購入され、最近音が良くないので見て欲しいというものです。
購入当時トランスが違う代品に交換され、セレンもダイオードに換えられていたので、購入したショップから代わりのトランスとセレンを受け取り、オーナーの方がご自分で交換されたのですが、このあたりも大丈夫か見て欲しいとの事です。
カップリングは購入時既に全てビタミンQに交換されています。
早速内部を見てみるとびっくり。
全ての配線が交換されています。日本では手に入らない部品も使用されていることから、恐らくアメリカにあったときからのレストアで配線類を交換されたのではないかと推測します。
配線自体は一見なかなか丁寧な作業です。これはかなり手間が掛かったと思います。
しかし、なぜここまでする必要があったのか疑問です。
なかなか良い線材を使用されているので、純粋に音質を追及したのかも知れません。
音だしでは、オーナー様が言われるとおり低域が弱く中高域は歪が出ています。
内部を見た時は、これで音が出るのか心配でしたが案外普通に?音が出ます。
寧ろこれまでのレストア機の中ではまだ良い方です。
★本日朝からこの状態でエージングを行っています。(2017.12.22)
1時間程聴いているといつの間にか左の音が出ていません。
原因を探るとトーンのつまみの低音のロータリースイッチの接触不良です。普通に回しても音は出ないのですが激しく左右に回すとバツン!バツン!と音が出ます。一応接点復活剤の塗布で収まりましたがいずれまたこのような状態になるかも知れません。
ビンテージアンプはしょうがないのかも知れません。
音はバンブルビーの良い音です。ときめくような中高音と透明感、ずっしりと響く重低音。いつもの音です。
(2017.12.23記載)
★しかし変です。接点不良であればこのように頻繁には起こりません。
しかも無信号時では時折左からガサゴソとノイズが出ます。
オーナー様も以前からこのような音が出ていたと言われます。
これはどこかに異変が潜んでいます。
結局再度詳しい検査です。
オシロと低周波発振器で順番に信号の行方を探ります。すると左のラインアンプ初段の真空管が増幅していません。
球を換えソケットの導通も検査しましたが球関係では無さそうです。
しかしプレート電圧やカソード電圧が規定と違います。
いよいよ謎です。
左側真空管初段の各抵抗やハンダ箇所を順番に検査しました。
すると、何と!! 配線の一部に半田忘れの個所があります。ターミナルに巻き付けたままハンダ付けされていません!
これが以前から発生しているガサゴソ音の正体です。
導通はするが時折振動等で接触抵抗が発生していたようです。
しかもカソード抵抗の配線のはんだが、いわゆるイモはんだで電圧やショックで状態が不安定になっていました。
これが左側真空管の初段を機能させていなかった原因です!
今回、電源回路の修正で真空管のプレート電圧が正常な高さまで上がり、トーンつまみを回したショックで接触抵抗が変化していたようです。
この状態で何十年も動作していた訳です。
何とも、呆れたレストア屋です。
なかなか、今回もとんでもない状態でした。
以前のレストアで配線を全て張り替えられています。これは全く必要のない作業でトラブルの元です。
最初の予想通り、嫌な予感が的中しました。
ただ今、再エージング中です。安定した良い音に戻りました。
配線をもう少し直しました。
相変わらず珍しい光景なのでたくさん撮りました。
内部側面のスポンジは張り替えた配線に合わせて朽ちています。これはかなり以前に張り替えられたことを物語っています。