Marantz7レストア依頼 19000番台 T.M 様 概要
2018. 1.16
★最後にエージングを始めたのですが、どうも音がシックリ来ません。
今回はボリュームをオーナー様の希望で代品そのままです。やはり純正クラロスタットとは音の抜けが違っているようで全体に元気が無い音です。
そこで裏の小さなカップリング4個をGoodAll-TRWから小さなASCに交換しました。これが上の画像です。
こちらでは音を聴いて、その時の条件により部品を変えて良い音を目指しています。
今回はこのASCがかなり相性が良くとても元気な音になりました。
低音もしっかりと出て中高音もきらびやかです。
やはり最初のGoodAll-TRWとは違った音です。
これで充分良い音になったと思います。
★裏はブロックコンデンサーを高圧φ25と低圧φ35を交換しています。高圧2段目のφ35と低圧セレンはそのままです。
横に1列並んだ小さなカップリングコンデンサーも交換しました。取りあえずGoodAll-TRWです。
トーン回路の0.33uFも黄色のSPRAGUEに交換しました。
今回ボリュームを交換することにより、より透明度が増して良い音になったと思います。
当工房特製の東京コスモス製改のメインボリュームとバランスボリュームです。
★ 再再レストア完了です。 2018.
2. 27
前回のレストアではボリュームを交換しなかったのですがもう一台所有のMarantz7を当工房でレストアされた時ボリュームを交換し、とても良い音だったので本機も交換したいとのご要望です。
ブロックコンデンサーを交換しアッセンブリーを元に戻しました。
新しいブロックコンデンサーのベークの色は明るい茶褐色です。
最終的には左の様にブロックコンデンサーは3本とも交換になりました。
★ 再レストア完了です。 2018.
1.21
やはり残りのブロックコンデンサーを交換すると音漏れが無くなりました。
ブロックコンデンサーアッセンブリーを取り外したところです。
真中のφ35を新品に交換です。
★しかし、最終チェックではやはり音漏れがあります。
そこで裏のRCA入出力端子を測ると一部でアース浮きが確認できました。
念のために右の画像の様に全ての端子のアースに渡りを掛けました。
これで大丈夫と思ったのですが、やはり小さく音が漏れます。
今回ブロックコンデンサー3本中2本のみ交換しました。
もしかすると良品だと思っていた高圧φ35が音漏れの原因かも知れません。
後は電源回路で交換していないのは低圧セレンです。
★再度カップリングコンデンサーの変更です。
★今回も全てのバンブルビーが交換になりました。
★全てのカップリングコンデンサーは交換しました。
フォノイコでは0.1uFをGoodAll-TRF、最終0.47uFは今回抜けの良いASCです。
ここは余り音には影響が少ないので何でも良いのですが今回特別に取り寄せました。
セラミックは今回SPRAGUEの小さいタイプを選択しています。(2種類保有し音により選択)
某ショップではこれをSPRAGUEの極めて大きいタイプと交換されますが、これは低域の締まりが悪くなりました。
こちらでは過去のレストア依頼でユーザー様が持ってこられて交換してみたので音の感じがわかります。
電源は高圧セレンを交換しています。
ボリュームはオーナー様のご希望で現状そのままです。
★ レストア完了です。 2018.
1.20
★各部の電圧は全てほぼ規定値に達しています。素晴らしい!
これで安定した音が得られます。
次にブロックコンデンサーの状況です。
左から高圧φ25、中央が高圧φ35、右は低圧ヒータ用φ35です。
左のφ25は3ブロック中2ブロックが測定器にLeakyと表示されリークして不良です。
中央のφ35は3ブロックともリークはありませんがESR値が高いので近いうちに不良になる可能性があります。
左の低圧ヒータ用も3ブロック中2ブロックがLeaky表示で不良です。これが音漏れの原因です。
3ブロックともリークすると結構大きな音で音漏れが出ます。
また、ヒータセレンから後の電圧が24.5Vあるのでヒータセレンは大丈夫のようです。
この他、カップリングコンデンサーは予想通り全てのバンブルビーがリークして不良です。
トーン回路のカップリング0.33uFは右が0.38uF、左は0.44uFとなり、特に左が大きく膨らみ不良です。
ここは0.38uF位から低域が膨らみ始め、1.5倍位から歪が出始めます。
トランスから後のAC電圧は上記の通り265.2Vです。ここは330V位必要です。
次に高圧セレンから後の電圧は上記画像右のように203.0Vです。ここでも310V位必要です。
この高圧セレンでかなりの電圧ドロップがあります。
また、電源トランスの1次側巻線抵抗が29.7Ωとかなり低いのが気になります。普通は45〜48Ω位です。
左の画像はヒータ電圧です。既定の19.8Vに対して17.42Vとこれもかなり下がっています。
続いて各部の供給電圧ですが、上記画像左からV3,V6への電圧は176.3V(280V)。画像中央のV4,V5へのプレート電圧165.3V(265V)。画像右のフォノイコV1,V2へのプレート電圧152.3V(245V)です。
ここはそれぞれカッコ内が規定電圧なのでかなり電圧降下が進んでいます。
裏面も殆どオリジナル状態ですが、低圧セレンは代品に交換されています。
バランスボリュームもこれは純正では無いようです。
★ 検査完了です。 2018.
1.17
まず、各部の電圧を計りました。
内部はほぼ全体的にオリジナル状態です。ボリュームは18000番台以降からクラロスタットでは無いのですが本機は後で交換されているようです。
電源も殆ど手を加えてありません。
Marantz7オリジナル19000番台です。
外観は多少の使用感はありますが年代を考えると全体にきれいです。
早速音出しを行いました。
まず、ラインアンプからCDで音を確認しました。低域が幾分膨れて中高域がきつい感じです。歪も感じます。
音に依ってはザザザ音が乗ってきます。全体に音が不安定で或る周波数領域で共振が起こっています。
また、セレクターを回すと全チャンネルから少し音漏れがあります。
フォノイコはやはり歪がきつくRIAA偏差も崩れて低域が弱い感じです。
オーケストラの盛り上がりの部分では全体にガーガー鳴っている状態で各パートの認識ができません。
内部を見るとオールバンブルビーですが殆どメンテされていないので、恐らく殆どのバンブルビーは不良で交換になると思います。
また電源も検査しないとわかりませんが音漏れが発生している以上万全な状態では無さそうです。
★上の画像が最終の裏面です。
★電圧も各部全て既定の値です。ビンテージアンプではなかなか正規の電圧になる物は珍しく本機は極めて優秀な逸品です。
ちなみに各電圧は
・高圧セレン後 326V
・高圧初段 278V
・高圧次段 265V
・フォノイコ最終 246V
・ヒータ電圧 19.7V
見事な値です!
★音も繊細でしかも伸び伸びとした雄大な音に変わりました。
以前からこの高圧2段目のブロックコンデンサーで特に中音が変わることが解っていましたが、今回これが改めて確認できました。
計測では一見良品と思ってもやはり経年劣化は免れず音にかなり影響します。
これでかなり良い音になったと思います。