Marantz7 19000番台 レストア依頼機 A.T様 概要

レストア中に発見しました。
上記電圧計測では高圧は大丈夫と思いましたが左の画像のようにセレンにダイオードが並列に繋いで有りました。

よく他のレストア屋さんはセレンが無いとこの様にダイオードをつなぎます。

電気屋ならわかる事ですが、セレンが不良の場合は殆どが逆方向にも導通があります。
この逆方向の導通に依ってマイナスの電荷が掛かりブロックコンデンサーがやられます。

この様にダイオードを並列に繋いでも不良のセレンから逆方向の電流が流れるのは同じなのです。
一時的に電圧が上がるので良しとするのでしょうが、結局貴重なφ25電解ブロックコンデンサーが不良になっていました。

このままダイオードを付けて聴いていると近いうちにまた折角交換した先頭のブロックコンデンサーがダメになります。

★カップリングコンデンサーはレストア前も概ね良品でしたが、音が余り良くない物を使われていたのでこちらで音の良いものに交換しました。

これでいつものとても良い音になったと思います。



電源回路も殆どの部品を交換しこの後も安心して聴けます。













交換部品です。

ヒーター電圧です。18.82Vと充分な値になりました。

高圧B3です。232.5Vでこれも良好です。

★レストア後の各部の電圧です。

レストア前はセレンにダイオードが並列に繋がれていたので高圧セレンを交換しました。

ヒーターセレン直後の電圧です。27.04Vを表示し良い値です。





セレン直後の電圧です。321.9Vと良好です。

l高圧B2です。251.7Vでこれも良好です。

高圧B1です。272.6Vとこれも良好です。

赤茶色の低圧用セレンです。

内部裏面です。低圧セレンも交換しました。
横一列4本の小さいカップリングコンデンサーもMarantz純正Good-Allの社名が変ったTRW新品と交換しました。

内部上面です。殆どのカップリングコンデンサーを交換しました。
電解ブロックコンデンサー2本と高圧セレンも交換しています。
フォノのRIAA偏差を決めるコンデンサーもマイカコンに交換しました。

★全体に以前レストアされているのできれいな音は出ます。
しかしMarantz7本来の音とは少し違って、他の方の言葉を借りれば艶と張りの無い音のようです。

その要因が使われている代品のコンデンサーであり、最後の調整の仕方です。
できるだけこちらで手を加えてみたいと思います。


電源回路の高圧は追加されているコンデンサーが頑張っていて、何とか正常な電圧を確保しています。
このままでも暫くは持ちます。しかし所詮不良のコンデンサーに足された電解コンデンサーは不良品に足を引っ張られ、すぐに共倒れとなります。

低圧は交換された復刻セレンがもう不良になり、電解ブロックコンデンサーの不良も伴いヒーター電圧は非常に危険な位低い値です。
このまま聴き続けていると近いうちに極めて貴重な電源トランスが焼損します。
ヒーター回路は消費電力が大きいのでトランスにとっては重荷です。

今回こちらにレストアに出されて良かったと思います。

高圧B3です。こちらも248.1Vと良好です。

★電源投入後の各部の電圧を計ります。

高圧セレン直後の電圧です。
334.1Vを示しこのセレンは良品です。

高圧の先頭、φ25です。3ブロックとも全てLeaky表示でリークしています。
次のφ35は前回のレストアで交換されて、チェックでも良品でした。

低圧のφ35です。3ブロック中2ブロックでLeaky表示でリークしています。

★電源投入前の電解コンデンサーのチェックからです。

低圧セレンも交換されています。

内部裏面です。横一列のカップリングコンデンサーはビタミンQに交換されています。これも音を曇らす要因です。
電源回路にたくさんのチューブラコンを追加されています。

★Marantz7オリジナル SN.19000番台です。

音は特に問題は無いが以前のレストアで電源回路がいろいろ改造されているようなので元に戻したいのと、悪い所があれば直してほしいとのご要望です。

真空管はMullerdのビンテージ管を使われています。

最初の音出しでは、やはりレストア済みのきれいな音です。
しかし、いつもこちらで聴く音とは違って少しまろやかで透明度が劣ります。
音の輪郭も余りはっきりしません。


★レストア完了です。                                                                      2019.4.22

ヒーター電圧です。13.89Vと極めて低く危険な状態です。

低圧セレン直後の電圧です。
20.97Vとかなり低い値なのでこのセレンは不良です。

高圧B1です。285.4Vを示し良好です。

高圧B2です。266.4Vを示し、こちらも良好です。

内部上面です。フォノに音の良いコーネルデュブラーを使われています。
ラインの、音に重要なところは残念ながら古い160Pを使われています。これが音を曇らす原因です。
電源はセレンが交換されています。電解ブロックコンデンサーも中央のφ35が交換されています。

外観はとてもきれいです。

2019. 4.17 初掲載
2019. 4.22 レストア完了