Marantz7 S/N 19000番台 レストア依頼 概要

GoodAll-TRWの白いコンデンサーです。音の抜けがよく最近のフィルムコンデンサーのように薄くもなくコクのある良い音を出します。他の回路マニアもTRWは好評です。

トーン後のカップリングです。Marantz7オリジナル S/N 10500〜12000番台に付いている音の良い純正SPRAGUEに交換しました。

2022. 11. 24 検査
2022. 12. 20 レストア完了

いろいろ換えてみましたがこちらが最終形です。一番右の赤いコンデンサーはMarantz7オリジナル後期純正GoodAll-TRWのWE仕様です。前に付いていたこの位置のバンブルビーは絶縁抵抗は良品でしたが音が悪く敢て交換しています。他はいつも使う音の良いUSA製です。この他フォノイコのRIAA偏差の抵抗やコンデンサーを交換し、カソードバイパスコンも全てMarantz7オリジナル純正SPRAGUEの新品に交換しました。ラインはセラミックコンデンサーも純正SPRAGUEの新品に交換しています。この他にもいろいろ換えています。

当工房のノウハウ(?)が詰まっています。。。


裏側の最終形です。初めは余り音に影響の無いところなので付いていた160Pで暫く音を聴いてみました。しかし、やはりいつものようにパッとしない音なので純正GoodAll-TRW(白)に交換しました。よく言われるようにブラックビューティー(160P)は奇麗な音だがパッとしない、曇った音です。
他のレストア屋さんはバンブルビーと同じSPRAGUE製なので同じ音だと言って全て160Pに交換されますが、とんでもない!全く違う音です。

こちらの白テスターは高圧セレン直後の電圧です。333.3Vで良い値です。

出力側が不安定だったのでアースの渡りを掛けました。

★レストア前の最初の試聴です。

普通に音は出ます。これならメンテ済としてヤフオクに出しても文句は言われないでしょう。
しかし、一般にヴィンテージアンプを聴かれる方は皆さん耳が肥えています。この様な音がMarant7オリジナルの音として満足される訳はありません。

全体に音が痩せて雑な感じです。一応バンブルビーの音ではありますが躍動感や透明感はありません。ブロックコンデンサーがオリジナルのままなので想像は付きます。

相変らずセレンにダイオードをパラに繋いであります。騙そうとするインチキなレスト屋の手口です。

このレストア屋は、曇った音しか出ないブラックビューティー(160P)に換えて満足しているのでしょう。Marantz7オリジナルが泣きます。

こちらのオーナーの方は遠く岩手から車で来られて、当工房の試聴機#7-10070番台グリーンの音を聴かれました。これが昔聴いたセブン・オリジナルの音だと懐かしんで、この音に近付けるようレストアを依頼されました。

綺麗な波形が出ています。

ボリュームが中国製に換えられていたのでこちらで東京コスモス製に交換しました。

高圧セレンと各電解ブロックコンデンサーを全てオリジナル仕様の新品に交換しました。電源は良い音の要です。

今回の交換部品です。結構あります。
この中の0.22uF/200Vのバンブルビーは2本とも絶縁抵抗は無限大で一般には良品です。しかし静電容量が膨らみ音が歪んでいます。他のバンブルビーはどれも絶縁不良です。シルバーの小さなコンデンサーはSPRAGUEのビタミンQです。ハーメチックの優れものですが音は最悪です。ミドリの大きいコンデンサーはマッキン純正のコーネルダブラーで音はまあまあ良いのですが見た目がチョッと、、、です。

★少し時間が掛かりましたが漸くレストア完了です。                          2022. 12. 20

一通り電源廻りとカップリングコンデンサー等を交換してから音の調整に時間を掛けていました。

★レストア後の試聴エージング風景です。

Marantz7オリジナルのオールバンブルビー機とまでは行かないものの、かなり近い音になったと思います。















こちらの白テスターは高圧B3です。239.1Vで良い値です。

白テスターは高圧B1です。282.9Vと極めて良い値です。黒テスターはヒーター電圧です。こちらも18.08Vと良い値です。

こちらの白テスターは高圧B2です。258.8Vで良い値です。

電源回路です。純正部品を使いながらレギュレーションをより良くする為に少し手を加えています。

★レストア後の各電圧測定です。

高圧B3です。 こちらも255.9Vとかなり高い値です。

高圧B2です。 こちらも277.1Vとかなり高い値です。

同じく低圧2ブロック目です。こちらも完全に抜けています。

フォノイコのカソードバイパスコンです。良好です。

最近ヤフオクで落札したが、ショボい音なのでレストアを依頼されました。

こちらもフォノイコのカソードバイパスコンです。良好です。

★電源を入れて各電圧を測ります。

同じく左です。20.30Vの漏れです。

フォノイコの先頭右です。21.45Vの漏れがあります。

よく壊れやすいラインアンプです。2.215Vの漏れがあります。このバンブルビーは不良です。

こちらも1.848Vの漏れがあり不良です。

高圧の各電圧が高いので電源トランスの2次側の電圧を測ります。AC308.3Vでやはり少し高く出ています。

筐体-電源コンセントN極間の漏れ電圧です。AC33.93Vで極めて良い状態です。電源トランスの漏電はありません。
しかし2次側の電圧が高いので1次側のショートが懸念されます。

★本機にはまだバンブルビーが残っているので、このコンデンサーの漏れチェックを行います。

ヒーター電圧です。 こちらも20.43Vと少し高い値です。

高圧セレン直後の電圧です。 361.4Vでかなり高い値です。

低圧セレン直後です。 28.95Vで少し高い状態です。

高圧B1です。 300.7Vとかなり高い値です。

こちらは低圧φ35です。こちらも5.068uFと完全に抜け切っています。

高圧先頭φ25の最初のブロックです。4.743uFと完全に抜けています。

同じく2ブロック目です。こちらも4.529uFと完全に抜けています。もう一つのブロックも同じです。

高圧2段目φ35です。こちらは3ブロックとも良好です。しかし先頭と同じの年数が経っているので今のうちに交換です。

★電源を入れる前に各電解ブロックコンデンサーのチェックからです。

裏面です。横一列の小さなコンデンサーはブラックビューティーに交換されています。トーンのカップリングもビタミンQに交換されています。

電解ブロックコンデンサーはオリジナルのままです。

高圧セレンの下にダイオードが隠されています。

内部です。いろいろ手を加えてあります。