Marantz7 S/N 20000番台 検査レストア依頼 概要

★以前他でのレストアでパイロットランプをLEDに改造されていたものを当工房でオリジナルに戻しました。           2022. 6. 8


2022. 4. 27 検査
2022. 5. 20 レストア完了
2022. 6. 8 追加補修完了


★レストア完了です。                                        2022. 5. 20

前のレストア屋さんはヴィンテージのパイロットランプが無かったのか、LEDを基板に乗せて取付けてあります。

★電源を入れて各値を測ります。

また変なところを発見しました。低圧回路の抵抗が換えられています。本来ここは5.1Ω5Wの高耐圧セメント抵抗を使う筈ですが、どういう訳か21Ω 1/4Wの小さな抵抗に換えられています。こちらもどうなったのでしょう?

高圧B3です。 242Vで極めて良い値です。

筐体-コンセントN極間の漏れ電圧です。AC22.27Vと極めて良い値です。漏電は全くありません。

電源の低圧回路の小さな抵抗の抵抗値を測りました。やはり容量不足で焼けて抵抗値が90.1Ωまで上がっています。

点灯状況です。電源投入時はパッと明るく、次第に暗くなって来る色と明るさは完全にオリジナル色です。

パイロットランプに供給する配線の色もオリジナル色に拘っています。

パイロットランプホルダーはオーナー様が手配されたものを供給頂き、ステー及び配線材をこちらで製作し組付けました。これでオリジナル状態に戻りました。

オリジナルのパイロットランプに戻した後の内部です。

前回、他でのレストアで交換された怪しいコンデンサー類はこちらで音の良いものに交換しました。ブラックビューティー(160P)はまだ使えたので余り音に影響しないところに再利用です。前に付いていた所は#7の音の胆の所なので音を曇らす160Pはこちらでは使いません。

★レストア後の音出しエージング風景です。

やはりMarantz7オリジナルらしい良い音で鳴っています。

時間の経過と共に音が良くなってきます。透き通るような音色、良い音です。










高圧B2です。 255.7Vを示し良好です。

高圧B3です。 238.9Vを示し良好です。

フォノイコのカソードバイパスコンはかなり怪しい状態でしたが、こちらでMarantz7純正SPRAGUEの新品に全て交換しました。同じく使われていたバンブルビーは音が悪く偽物が付いていたのでこちらも交換しました。

★裏面です。

ヒーター電圧です。16.36Vでやはり少し低い値です。

交換部品です。

高圧B1です。 272.1Vを示し良好です。

電源回路も基本は変更ありませんが怪しい抵抗が追加されていたので撤去しました。これで完全にオリジナル状態です。

★電源回路はそのままですが念の為、各電圧の再チェックです。

こちらは大きな変更はありません。黄色の小さなカップリングコンデンサーはこちらでも音が良い事は認識しています。この為温存です。

メインボリュームとバランスボリュームは音の良い東京コスモス製に交換しました。

★最初の音出しです。

CDからのライン入力ではまあまあの音と思いますが、少し高域がきつく出ています。30分程聴いているとこのきつさが耐え難く感じてきます。
一般にMarantz7は中高域の伸びが特徴的だと言われるショップの方がいますがそんなことはありません。ミントのMarantz7はまろやかで低音も力強く角の無い音です。
どうも使われているコンデンサー類が合っていないようです。

レコードは益々キンキン音です。RIAAも崩れ、バンブルビーもまだ残っているので恐らく不良でしょう。
上記カソードバイパスコンも影響しています。


本機のオーナー様も何となく他とは違う音に感じられてこちらに検査を依頼されたのでしょう。

結構この様なキンキン音で皆さんMarantz7の音だと我慢して聴いているのでは無いでしょうか?






低圧φ35です。こちらも3ブロックとも良い値です。

高圧2段目φ35です。こちらも各ブロックとも良い値です。

高圧先頭φ25です。3ブロックとも良い値です。

アルプスの2連バランスボリュームです。音は良いと思いますが、よく見ると250KΩとなっています。本来ここは1MΩBタイプです。どうしたのでしょう。
これではラインアンプの入力インピーダンスが大きく変ります。ここは確実に正規の値のものに交換です。

裏側の電源回路はオリジナル状態です。

交換された黄色のカップリングコンデンサーです。

裏面のカップリングコンデンサーも交換されています。

ボリュームを換えてあります。ここは#7オリジナル後期型は東京コスモス製ですが、マランツの推奨通りA&Bに交換されました。コスモスの方が良い音と思いますが。
下のバランスボリュームはアルプス製です。最近は2連のボリュームが少ないので致し方なかったのでしょう。

電源はオリジナルのままです。

こちらでは殆ど使わない部品でレストアされています。気になったのはフォノイコのカソードバイパスコンにパラに新しいコンデンサーを追加されています。完全に新しい物に換えれば良かったのでは無いでしょうか?
ラインアンプでは、音に一番重要な所にブラックビューティー(160P)を使われています。これでは音が曇ってしまいます。

低圧セレン直後です。 239.9Vで良い値です。これならやはりヒーター電圧が低いのは意味不明の小さな抵抗に換えられた事が影響しています。

高圧セレン直後の電圧です。313.8Vで少し低いですがまだ大丈夫のようです。

ヒーター電圧です。 16.25Vと極めて悪く、Telefunken ECC83ではこれ以上下がるとヒーターが点灯しなくなります。

高圧B1です。274.8Vで良い値です。

高圧B2です。 257.8Vでこちらも良い値です。

本来この後、表面のカソードバイパスコンを検査しますが、前のレストア屋さんが意味不明の処置をされているので検査するまでもなく全てマランツ純正SPRAGUEの新品に交換します。ここはレコードの音にかなり影響する所です。

★電源を入れる前に各電解ブロックコンデンサーを検査します。

内部は以前のレストア屋さんがかなりいろいろ交換されています。

とても奇麗なMarantz7オリジナルです。