Marantz7レストア依頼 20000番台 T.M 様 概要

2018. 1.29

右の画像が新規にボリュームを交換した状態です。 →

これまで付いていたA&Bのボリュームです。


★再レストアが完了しました。                                                       2018. 2. 14

先週こちらでレストア完了しましたが、その後オーナー様の要望でボリュームを交換することになりました。
本日部品が入荷しましたのでこちらで少し手を加えて交換完了しました。

裏面ではフォノイコ、ラインとも0.01uF x4をASCに交換しました。
トーン回路の0.33uF/200VもSPRAGUEに交換です。
電源のブロックコンデンサーは3本とも代品の明るい茶色のベークです。
ヒーターセレンも茶色の復刻に交換です。

今回も全てのバンブルビーは交換になりました。
電源の改造基板もあります。

高圧セレンの抵抗値が順方向19.6MΩとかなり高く、逆方向24.5MΩと導通があります。
この為近いうちに改造ブロックコンデンサーも不良になると考えます。

黄色のカップリング4個は前回リストアされた方は何を思ってこのタイプを選択されたのか疑問です。
不良のバンブルビーから発する歪をこの黄色のカップリングがフィルター代わりにこの歪を目立たなくしていたようです。
かなり音が変わっていました。

まず電源は高圧セレンと電解ブロックコンデンサーを交換しました。
回路ではフォノイコではカップリングの0.1uF x2と0.47uF x2をGoodAll-TRWに交換しました。
RIAA偏差用0.056uFも代品に交換です。
ラインでは0.22uF x4をいつものようにGoldenBlackに交換です。
セラミックもSPRAGUEに交換しました。

★レストア後の各電圧です。

まず電源回路の電圧ですが、念のため高圧セレンを交換しました。
これにより各部の電圧は概ね良好です。

  ・電源トランス後 258.5V (AC)
  ・高圧セレン後  312.3V
  ・高圧初段    264.9V
  ・高圧次段    247V
  ・フォノイコ最終 237V
  ・ヒータ電圧   18.7V

電源トランス後のAC電圧は今回もリストア後少し落ちています。しかしセレン後は逆に310V超えです。これにより各部も概ね良好な電圧です。




★レストアの開始です。                                                       2018. 2. 3

★まず電源基板を外し改造されたところを元に戻します。

左の画像はアルミベースから改造基板を外してベースを清掃し、電解ブロックコンデンサー用ベークプレートを取り付けたところです。
この後3本の正規仕様ブロックコンデンサーを取り付け正規の色の配線と抵抗類を取り付けて行きます。

いつもはあまりこういうレストア風景は撮らないのですが、今回は特殊な状態なのでこのような経緯を経て見慣れた状態に戻ったことを残そうと思っています。

この改造基板は前レストア屋さんの努力で良くできています。

← 100V USE ONLYのラベルが貼ってあります。

しかし下の本体印刷には117V 50-60Hz 35Wと通常通りの記載があります。

一般に100V仕様はMarant7kと復刻です。

過去にリストアの時100V仕様に変更したのかも知れません。しかし前回のリストアでは恐らく117V仕様に改造されたのかも知れません。

ビンテージアンプには数々の履歴や経緯があるのです。


背面のRCA端子に渡りを掛けてあります。
前レストア屋さんは恐らく音漏れがあったのでアーズ浮きと判断されて渡りを掛けられたのでしょうが、それでも音漏れが治らなかったので電源回路の改造に踏み切ったと想像します。
大変ですが、部品が無い以上こうしなければ音が出ないので妥当な判断だったと思います。


裏面です。前回のリストアでは横一列の小さなカップリングを交換されています。
ヒータセレンもブリッジのダイオードに交換されています。
後から1000uF/35Vのチューブラコンを追加されています。最初の改造でも電圧が上がらなかったのでしょうか。

内部はびっくり、電源が原型を留めない改造をされています。
前にレストアされた方は大変なご苦労をされたと思います。やはり電源の不良でもブロックコンデンサーを持たなかったので思い切って大改造されたようです。

Marantz7オリジナル20000番台です。

外観は殆ど傷や汚れが無くとてもきれいです。

早速音出しを行いました。
まず、ラインアンプからCDで音を確認しました。低域が弱く中高域がきつい感じです。歪もかなり感じます。
これは典型的なバンブルビーの不良になった音です。

フォノイコはやはり歪がきつくRIAA偏差も崩れて低域が弱い感じです。
本機もオーケストラの盛り上がりの部分では全体にガーガー鳴っている状態で各パートの認識ができません。
しかも歪で全体の音を包み込むような、言い方は悪いのですが音楽を聴いていられない状態です。

前回の19000番台と同じ感想になりますが、内部を見るとオールバンブルビーで殆どメンテされていないので、恐らく殆どのバンブルビーは不良で交換になると思います。しかも前回の19000番台よりカップリングコンデンサーの劣化が進んでいます。

しかし本機は20000番台ですがまだ全てバンブルビーです。この後の21000番台からGoodAllのようです。


★いつもの様にこのボリュームにこちらで手を加えることによって純正クラロスタットのような音に近付けています。


交換した後の音は一段と透明度が増した感じでとても良い音です。

やはりボリュームに依って音がかなり変わります。










今回は大した問題も無くレストアが終わり、ただ今エージングを行っています。

全体にとてもきれいな音です。オール160P程では無いですがフォノイコは少しまろやかな音でラインは軽快な感じです。

全て新品の部品で構成したため今後長期に渡って安定した音が期待できます。


★レストアが完了しました。                                                       2018. 2. 5

今回は電源がかなり改造されていましたがどうにか正規の状態に戻しました。
画像を見る限り以前の改造の跡もなく普通のMarantz7オリジナルです。

電源の組み直し以外は特に問題はありません。元々とても素性の良いものです。
レストア作業も粛々と進みました。

★すぐに検査を行いました。

まず電源回路の電圧ですが、全体に電圧は落ちているものの前レストア屋さんのご苦労により概ね何とか動作できる値です。
ちなみに各電圧は

  ・電源トランス後 264.8v
  ・高圧セレン後  276V
  ・高圧初段    244V
  ・高圧次段    227V
  ・フォノイコ最終 210V
  ・ヒータ電圧   21.3V

ヒータ以外は何とか音が出せる状況です。
ただ、これは1次電圧が117Vの場合です。
この20000番台は下記画像の様に背面に100V USE ONLYと記載されています。
100Vで動作させると各電圧は異常に低い値となり動作不能となります。


カップリングコンデンサーは予想通り全て不良です。
RIAA偏差用コンデンサーも容量が1.5倍程になり不良です。
フォノイコのカソードバイパスコンは交換してあり使えます。
セラミックコンデンサーも容量が抜けて不良です。