Marantz7k 修理レストア依頼機 U. M様 概要

高圧B1です。284.3Vを示し良好です。

2019.12.12 掲載、検査完了
2020. 1. 30 修理レストア完了

★各部の電圧をチェックします。

★漸くレストア完了です。                                                        2020. 1. 30

Marantz7用の特注電源トランスの在庫が切れて入荷待ちでした。

今年に入り漸く入って来たので電源トランス待ちの#7を順番にレストアしています。
本機は電解ブロックコンデンサーやトランス交換後各電圧を測ると、高圧はすぐに良い値が出ましたが
低圧はやはり少し低い値です。
いろいろ探ると整流用ダイオードが劣化していました。これを新品交換した後の値を後に掲載します。

各電圧も正常になったところで試聴です。
まず、ラインアンプではCDにより、まずまずの音です。しかし、いつも聴いているMarantz7オリジナルとは少し違って丸い音でありながら粗さも目立ち、低音が弱い状態です。
次にフォノイコです。こちらはRIAA偏差は何とか大丈夫ですが音が割れてかなり雑な感じです。
時々ボソボソとノイズも出てきます。

★電源投入前の各電解ブロックコンデンサーのチェックを行います。

内部です。殆どメンテされていないようです。各部の部品に白い粉が掛かっているので加湿器を使った部屋にあったようです。

電源トランスの出力電圧です。AC290.4Vを示し少し高い値です。

最初にコンセント「N」極-筐体間の漏れ電圧です。AC145.8Vを示しかなり漏電しています。
パネルを触るとピリピリ感じます。かなり危ない状態です。

高圧整流ダイオード直後の電圧です。330.4Vを示し良好です。

裏面です。電源回路は殆ど新品交換になりました。低圧の整流ダイオードも4本とも新品交換しました。
横一列の小さなカップリングコンデンサーは4本ともMarantz7オリジナル純正のGoodAll-TRWの新品に交換しました。
これでメリハリの効いたMarantz7オリジナルの音が戻って来ます。

電源回路のラグ板が破損していて大型抵抗がブラブラ状態なのでラグ板を新品交換しました。
電解ブロックコンデンサーは3本とも正規仕様の新品に交換しました。
セメント抵抗も著しく抵抗値が違うものは正規の値に交換しました。

電源トランスも特注トランスに交換しました。

レストア後の内部です。まずラインアンプの音に重要なカップリングコンデンサーをGoldenBlackに交換しました。Marantz7の音を決めるセラミックコンデンサーも純正SPRAGUEのNOS品に交換しました。
フォノイコはカソードバイパスコンを全て純正SPRAGUEの新品に交換しました。
セレクターの接点やボリューム類は全て接点復活剤に依る洗浄注油を行いガリ等を除去しました。

★レストア後の試聴エージングです。

Marantz7オリジナルと同じ澄み切った音です。

低音も雄大に響きます。


良い音が戻って来ました。


いつものビル・エバンス(JAZZ)がノリノリです。

ビバルディーが艶やかな調べを奏でます。






低圧の整流ダイオード直後の電圧です。25.13Vで良い値です。

★各電圧では、ヒーター電圧以外は修理前と余り変りませんが、実際は電解ブロックコンデンサーが全て不良なのでかなり汚い波形の直流電圧になっていました。
特にヒーター回路では整流ダイオードもかなり劣化し、電解ブロックコンデンサーも完全に機能していない状態だったので極端な電圧低下を起こしました。

これが電源トランスを痛め漏電に繋がったと考えます。
ヒューズも2Aが付いていました。やはり電圧低下からかなり電流が多く流れ、正規の0.5A出は飛んでいたのでしょう。
レストア後は0.5Aのヒューズで正常に動作しています。

高圧B2です。241.2Vを示し良好です。

高圧B2です。262Vを示し良好です。

高圧ダイオード直後の電圧です。レストア前より少し下がって321.1Vを示します。良好です。

電源トランスの出力電圧です。AC254.2Vを示し正常な値に戻りました。

ヒーター電圧です。18.54Vを示し良好です。

交換部品です。電源トランスを始めかなりの電源部品が有ります。
ヒューズも2Aのものです。

殆ど新品状態の電源回路です。

★以上のように検査では電源トランスは完全に漏電し危険な状態です。

電源回路の電解ブロックコンデンサーは上記のように3本とも不良で交換が必要です。

ヒーター電圧が異常に低い値です。恐らくこれだけ低いと電流値が上がり電源トランスの漏電を招いているのかもしれません。
ヒーター用低圧ダイオード後の電圧は正常なようなので電解ブロックコンデンサーの不良からヒーター電圧の低下を招いているのかも知れません。

これだけ低いと各真空管の動作も制限されることから様々な影響が出ているのだろうと思います。

各カップリングコンデンサーはおおむね漏れ電圧も無く良好です。

まずは電源回路を正常にし、その後音を聴いてほかのコンデンサー類や抵抗類の良否判断を行います。

高圧B3です。こちらも243.4Vを示し良い値です。

内部は少し配線が雑に作られたようです。

Marantz7kです。左右の音量が違いノイズも出るそうです。漏電なのかボリュームに触るとしびれることがあるので修理を依頼されました。


ヒーター電圧です。14.71Vを示し異常に低い値です。

低圧ダイオード直後の電圧です。27.44Vを示し少し高い値です。

★高圧の各電圧は一見正常に見えますが、電源トランスの2次側が290Vを越えて異常に高い値です。
これはトランスの1次側が漏電或いは一部ショートしている為です。
トランスは1次と2次の巻き数比で2次側の電圧が決まります。

この状態で本来正常な電解ブロックコンデンサーであれば高圧B1は300V位なって異常高圧になっている筈です。
これがブロックコンデンサーの不良で何とか正常な値に留まっています。
高圧B2,B3も同様です。

高圧B1です。283.4Vを示し一応正常な値です。

高圧B2です。こちらも263.3Vを示し良い値です。

フォノイコのカソードバイパスコンコンです。4本とも不良です。

★電源を入れて各電圧を測ります。

高圧初段のφ25です。Leaky表示でリークしています。ESRも最大値40オームを超えて完全に不良です。

低圧用φ35です。こちらもLeaky表示でリークしています。

高圧2段目です。こちらもESRが最大値を超えて不良です。