Marantz#7k 再レストア A.M 様 概要

2017.3.31

★ 修理完了です。                                            2017.5.24

大変な作業となりました。これまでのブロックコンデンサーの配置を全てバラして正規の配置に直し配線も正規に張替えました。
ヒータ用ブロックコンデンサーは相変わらずどこにも無いので前回と同じく国産のコンデンサーを使用し、静電容量を正規の値に合わせるため全部で5個の電解コンデンサーを組み合わせました。
セメント抵抗も焼けていたのですべて交換しました。

1次側の抵抗値が23.7Ωを示しています。
普通はこの値は28Ω位です。







奥の青い3本束が以前他でレストアされたときに交換されて今回不良になった電解コンデンサーです。
正規品と同じ形状のブロックコンデンサーは極めて皆無なのでこのように違うコンデンサーを流用するしか方法はありません。

以前こちらでレストアした#7Kです。突然音が出なくなり修理の依頼を頂きました。
症状はパイロットランプも真空管のヒータも点かないそうです。
こちらで検査すると、ヒータ電圧が1V位しか上がらず、これが真空管を動作させていません。また#7はこのヒータ電圧によってパイロットランプを点灯させていますが、電圧が上がらないために点かなかったのです。

原因は、こちらでレストアする前に他でレストアされたときに交換されたヒータ用ブロックコンデンサーが抜けて短絡状態となりヒータ回路の電圧降下を引き起こしていました。画像では水色の3本束になった国産のコンデンサーです。

また、高圧B電源の電圧が異常に高く、原因と探ると電源トランスの1次側の抵抗が通常の値より低く、恐らく内部の巻き線が経年劣化で部分ショートし抵抗値が下がったと推測します。
この1次側の抵抗値の低下が2次側の電圧を上げます。これがヒータ電圧も上昇させブロックコンデンサーの耐圧不良を招いたと考えています。
この、以前他でレストアされた際に交換された国産のコンデンサーの耐圧は35Vでした。
正規のブロックコンデンサーの耐圧は50Vなので耐圧不足が急激な電圧上昇で不良を起こしたようです。
普通、真空管アンプでは電源投入時の数分は電源電圧が規定の3割程上昇していますのである程度十分な耐圧のコンデンサーが必要です。

修理としては電源トランスの交換とヒータ用ブロックコンデンサーの交換になります。


上記画像は交換した部品です。








★今回の修理は大変な作業でした。通常では有り得ない状態です。これを発見するために2回も煙を上げてブロックコンデンサーを飛ばしました。
恐らく以前のレストアされた方もこうなったので貴重な低圧用ブロックコンデンサーを交換されたのでしょう。
その時はまだ根本原因が特定できなかったのかも知れません。40年以上こういう状態でした。信じられないことです。


これで全ての電圧は若干高いものの、何とか正常値と判断し良い音が出ました。





★しばらくエージングを繰り返し、最終的には電源の抵抗等を調整して既定の電圧に下げました。
今回はいろいろありましたが全ての電源回路のブロックコンデンサーは新品に交換しています。
このため特に中音域で伸びのあるきれいな音が堪能できます。






今回いろいろ探っていると、何と!配線の一部がシャーシーケースの合わせ面に挟まっています。
これが約50年間この状態でいたわけです。今回偶然にもいよいよショートしたようです。
このため電源回路全てが破壊されました。

やはりキットは最初の組立する方の技量でとんでもない事になります。

2017.4.6:
いよいよトランス交換です。
このトランスは某有名ショップから本機所有者が手に入れたもので大変貴重なオリジナル用です。
1次側巻き線抵抗は24.5Ωとかなり微妙な値です。

ヒータ用電解コンデンサーが耐圧不良で内部がショートし、ラグ端子が高熱で焦げています。危うく火災になるところでした。