Marantz#7k 通常レストア A.M 様 概要

2016.11.30

裏面では各カップリングもGood-Allを予定していましたが、これもこちらからの提案でラインアンプ部のみバンブルビーにしました。
所有者の要望でヒーターセレンも交換しました。
トーン回路のカップリング0.33uF200VもSPRAGUEに交換しました。


真空管はラインアンプ部が全てmullard、フォノイコ部は全てTerefunkenにしました。


本機は元々結構良い音を出していましたが、今回のレストアではやはり一部バンブルビーと160Pの効果でとても美しく伸びやかな中高音が光っています。
Good-Allの特徴であるまろやかさもありとても良い音に仕上がったと思います。

最近イコライザーを気を付けて診るようにしています。RIAA特性は勿論ですがMarantz model 7にはold 78とold col LPの切替ができるようになっています。両方ともコンデンサーの値を確認しています。
こちらにはイコライザーカーブがcolumbia/LPで録音されたレコードがありましたのでこのレンジで確認しました。
とても繊細で良い音がします。


最初の所有者の要望でしたクラロスタットのバランスボリュームをメインボリュームに改造する件は、その部品を見るとボディがグリーンの怪しいものでした。以前某ショップに所有者が本機のレストア依頼で手付を渡したそうですが、このショップはレストアできないためこの手付返還の代わりにこの怪しいボリュームをクラロスタットだと言ってくれたそうです。

こちらのサイトで言っている怪しいクラロにお気を付けくださいの内容そのものでした。
このショップは見るからに経費の掛かりそうな派手なショールームを抱えているのでなりふり構わず何でも売りつけるのでしょうか。
前回レストアした600番台を所有されている方もこのショップで買われたのですが似たようなことを言っていました。

結局この怪しい物に交換しても意味が無いのでボリュームはそのままにしました。

私は以前から部品で純正クラロスタットを見たことはありません、とこちらのサイトで言っていますが一度写真で見ました。
以前レストア依頼で2桁台を検討しましたが、この方が40年程前に予備品としてクラロスタットを準備されています。
写真を拝見しますと間違いなくポッチが付いた純正クラロスタットでした。これが部品として見た最初で最後のものです。

恐らくかなり早い時期に部品も出尽くしてしまって、現在は世界中で完全に枯渇しており、純正クラロは#7本体に付いている物しか存在しないと思います。






2016.12.7:
一応レストアは完了しましたがセレンに交換するとヒーター電圧が異常に高く長時間の動作は危険なので、部品の交換のためもう暫く時間が必要になりました。
このアンプのヒーター用ブロックコンデンサーは画像の様に国産のコンデンサーを3本束にして使われていました。
これはこれで良い発想だなと思ったのですが、この表示を見ると4700uFでこれが3本です。正規の容量は1400uFx3ですからとても高い容量です。
恐らく以前の修理の方はセレンからダイオードに交換された後電圧が落ちたので敢てブロックコンデンサーを高容量に換えたのだろう推測します。普通はここまで大胆な変更はしません。

このブロックコンデンサーを正規の物に交換します。かなり探さなければなりません。



中を見るのは初めてなので珍しく、いろいろ撮りました。
随所に手を加えた後が有り好感が持てます。これまでのレストアや所有品はオリジナルが殆どで、何か骨董品を扱うようなイメージを壊してはいけない思いに駆られ自由に扱えなかったのですが、この#7kは元々使用者の手作りですから何をやってもある程度許される訳です。こう云うのを1台持っていろいろ試してみるのも悪くないかもしれません。

Marantz #7k です。通常レストアと言うことでバンブルビー化ではなくGood-Allやオレンジドロップなどで安価に仕上げます。
音に直接影響する所はバンブルビーや160Pも使う予定です。
部品でクラロスタットのバランスボリュームをお持ちなので、これをメインボリュームとして使用したいとの要望です。
またセレンにも交換したいとの要望です。

最初の音出しは、なかなか良い音を出しています。これが#7kの音なのだなと思って聴いています。
どちらかと言うと復刻よりは良く、オリジナル後期とよく似ています。普通の真空管アンプの音です。
オリジナル初期型の様に強烈な存在感は無く、かと言ってぼやっとした音でも無く。。
真空管が東芝製なのでこれをテレフンケン等のヨーロッパ管に換えるとこれだけでかなり音が違ってくるはずです。
細かい感じとしては、歪は無いものの、低域が弱く超高域もきらめきがありません。幾つかのカップリングコンデンサーがへたってきているようです。

通常レストアなのでオールバンブルビーでは無く、主にGood-Allで構成しています。
音質に重要な0.22uF400Vの所はこちらからの提案で160Pにしました。
所有者の要望で電源もセレンに交換しました。電圧は正常です。
セラミックコンデンサーは検査では特に問題は無いのでそのまま使用します。
フォノイコのカソードバイパスコンデンサーは一部仕様の違うものが付いていましたので純正SPRAGUEに交換しました。
RIAA偏差は問題ありませんでした。

漸くヒータ電圧が20V以下に落ちました。

ブロックコンデンサーを探しましたが残念ながらありません。世の中にこんな変わったコンデンサーは生産されていません。
1400uFの単体ならあります。しかし3個入ったブロックコンデンサーが無いのです。

Marantz #7オリジナルは前記クラロスタットとこれらブロックコンデンサーがダメになって他の物に交換されていたら致命傷と考えてください。
特にこの1400uF+1400uF+1000uF 30Vとφ25の高圧用20uF+20uF+20uF 350Vです。絶対に世の中にありません!探すとφ35はありますがここには入りません。


仕方なく電圧を抵抗で落とそうと思って現在使われている物を見ると、何と!これも正規の値の物ではありません。
セレンからダイオードに換えた時、よほど電圧が下がったのでしょう。なりふり構わず何でも施してあります。
実はこのブロックコンデンサーの配置も違います。よくご存じの方はわかると思いますが、高圧B電源用の位置と低圧の位置が逆です。
このため正規のブロックコンデンサーが仮に見つかったとしてもここには収まりません。現状のように醜い3本束を押し込む方法しか無いようです。

今回正規のセメント抵抗に交換しそれでも少し高かったので(3本束のコンデンサーが高容量のため)低容量のセメント抵抗を追加して漸く正規の電圧になりました。



2016.12.14:
エージングを続けていて何か変な感じを受けます。フォノイコの出力が両チャンネルとも低く、時間が経つと時折パツッと言う音が出ます。
この音は恐らく真空管から出ているのでしょう。聞くと以前からこの音は出ていたそうです。
今回は所有者がお持ちの真空管でラインアンプ部が全てmullard、フォノイコ部は全てTelefunkenで構成していますが、どれもかなり使用されたもののようです。
こちらに新しいゴールドライオンの6本揃っている物が予備で有ったので換えてみました。
何と、フォノイコの出力は通常通りのレベルが出てライン部も安定したきれいな音が出ています。
やはり真空管はあまりTelefunkenに拘らず新しい物を使った方が良いかも知れません。


これで漸く落ち着いて聴くことができました。
音に直接関係するところはバンブルビーに換えてあるのでかなり良い音になったと思います。








★ 再レストア完了です。

2016.12.13

★ レストア完了です。

2016.12.6