Marantz 8 修理依頼  概要

大変綺麗なMarantz8です。 本機は1年半前に当工房でレストアしたものです。最近ポツ、ポツとノイズが出るようになったので修理を依頼されました。各真空管には下記の様に真空管試験機でチェックした値をラベルに貼って装着しています。

2023. 10. 18 検査
2023. 10. 19 完了
2023. 11. 30 再検査

こちらの右端とその隣は出力管のカソード電圧です。左右の表示単位と電圧は少し違いますがまあまあの値です。

左端の白いテスターは高圧B1です。425Vで良い値です。左から2番目は高圧B2です。こちらも393Vで良い値です。その隣の右から2番目はバイアスC電圧です。-44.0Vで良い値です。右端はヒーター電圧です。AC6.18Vを表示し良い値です。

★音出し中の温度のチェックです。

最初に各出力管のバイアスをチェックしましたが、メーターの針がかなり高く振れているところがあります。高熱はこれが原因かもしれません。

きちんとバイアス調整して特に問題なく聴けます。

隣のMarantz7は、こちらも再調整に来ている#7kです。 2台同時の調整です。






★電源を入れて各電圧を計ります。

2023. 10. 19
★昨晩2時間と本日早朝から6時間ほど試聴を行いましたが、昨晩の最初の30分位で左チャンネルから2,3回パツ、パツと微かなノイズが確認できた後は殆ど検出できません。

これは最初に予想していた電源トランス内の小ショート音とは違うようです。電源トランスからであれば両チャンネルから同時にそこそこの音量でポツ、ポツ音が出るはずなので、その後注意深く聴いていても両チャンネルからは出ていません。

恐らく最近ノイズが出始めたのは真空管ソケットの接触不良が原因です。こちらに到着して最初にピンを磨いているときピンの表面に所々ねばねばの物がついている事に気が付きました。多分以前どこかでレストアした際に接点復活剤を塗布されたのではないかと推測します。
これが経年で固着し、ソケットの中で膜を作り接触不良を起こしていたと考えます。

こう云う事もあるので、念のため最初にソケット内部を洗浄しピンの曲がりも矯正した後ピンを磨いて装着しています。この地味な作業が功を奏して接触不良を改善しノイズが無くなったと考えます。



★再検査を行っています。                                             2023. 11. 30


今度は異常に真空管が熱くなるので再検査を依頼されました。

念のため電源トランスのインダクタンスと交流巻き線抵抗を測ります。こちらは1次側です。良さそうです。

こちらは2次側高圧B電源の巻き線です。こちらも良さそうです。

梱包を開いて真空管を装着する前に、念のため全ての真空管の足の曲がりを矯正し、ピンを全て磨いてから各ソケットに装着しています。 それから最初の試聴を行っています。バイアス調整も良好です。

最初の試聴の前に各真空管のチェックです。 全ての真空管は良好です。