★電源を入れて各部の電圧を測ります。

2022. 1. 5 検査
2022. 1. 15 レストア完了

★最初の音出しです。

右の音が少し割れた音です。恐らくバイアス回路のバンブルビーの不良が原因です。

全体に音に粗さが目立ちます。バイアス電源の脈流が乗っています。入口側バンブルビーも音に悪影響しています。

奇跡的にノーメンテで辛うじて鳴っていますが、このまま聴き続けると近いうちにまず右側出力管のバイアス不良を起こし出力トランスの焼損を招きます。

電源回路は何とか持っていますが、既に音に出ているので60年経った消耗品は全て交換されれば良いかと思います。

左のアナログテスターはバイアス電圧です。-44Vを示し良好です。白いデジタルテスターは高圧B1です。421Vを示し少し低い値です。

筐体-コンセントN極間の漏れ電圧です。AC29.31Vを示し良好です。

各出力管のバイアス調整です。4本とも画像のように正常な状態になります。ただ調整前は4本とも振り切れる状態でした。関東50Hz圏内で恐らく100Vで使われていた可能性があります。こちらは60Hz圏内なので効率が良い為、低く設定して丁度良い値になります。

バイアスC電源の電解ブロックコンデンサーです。電解液が噴出しています。恐らく機能していません。

★電源を入れる前の各電解ブロックコンデンサーのチェックです。

10分経過後の状態です。左上の黒いデジタルテスター2台は左右の出力の残留ノイズです。左右とも0.003Vを示し、ほぼノイズはありません。

左入力側のバンブルビー0.022uFです。ESRが極めて高く不良です。

こちらは左チャンネルの出力管バイアス回路です。このバンブルビーは何とか計測できますがESRがかなり高く不良です。

右の出力管バイアス回路のコンデンサーです。このバンブルビーはOL表示で計測不能です。完全に不良です。この右側の出力管はかなり危ない状態です。

右側初段管カソードバイパスコンです。完全に不良です。

高圧倍電圧片側のブロックコンデンサーです。良好です。

内部です。完全なオリジナル状態でメンテの形跡がありません。これで鳴っていれば、よくぞ今日まで生き延びていたものです。

Marantz 8 検査レストア依頼 概要

★レストア後の試聴エージング風景です。

極めて良い音です。













こちらは左右の出力の残留ノイズです。0.004Vと0.006Vを示し以前より少し多いですが全く問題はありません。

バイアスチェックです。4本とも余裕できちんと調整ができます。


★レストア完了です。                                        2022. 1. 15

大きな問題も無く比較的楽なレストアでした。

今回の交換部品です。消耗品である殆どのコンデンサー類を交換しました。

デジタルテスターは高圧B電圧です。451Vを示し良好です。

こちらはバイアス電圧です。-50Vを示し良好です。

入り口側のカップリングも音の良いUSA製とMarantz純正GoodAll-TRWの新品に交換しました。

初段管カソードバイパスコンもMarantz純正SPRAGUEの新品に交換しました。(青)

★レストア後の各電圧チェックです。

高圧の倍電圧片側もオリジナル仕様の新品に交換しました。

バイアスC電源用セレンと電解ブロックコンデンサーもオリジナル仕様の新品に交換しました。

不良であった0.22uF/200のバンブルビーを左右2本ともMarantz8純正GoodAll-TRWの新品に交換しました。出力管のカップリングコンデンサーも抜けると危険なので同じく新品のGoodAll-TRWに交換しました。

これで普通のMarantz8に戻りました。

これまで出力管は左右で違うものが付いていましたがレストア後の音が心配なので、こちらにストックしてあったTelefunken EL34 (RFT)の程度の良いものに4本とも交換しました。

★レストア後の内部です。

表の電解ブロックコンデンサーを2本ともオリジナル仕様の新品に交換しました。バイアス調整のツマミもヴィンテージ品を付けました。

右入力側のバンブルビー0.022uFです。ESRが極めて高く不良です。

同じく右入力側のバンブルビー0.1uFです。こちらもESRが極めて高く不良です。

同じく左入力側のバンブルビー0.1uFです。こちらもESRが極めて高く不良です。

左側初段管カソードバイパスコンです。こちらも完全に不良です。

高圧B電源の3ブロック目です。こちらはESRが高い状態です。

高圧B電源の2ブロック目です。こちらもまあまあです。

高圧倍電圧のもう片側のブロックコンデンサーです。静電容量がかなり膨らんでいます。。

高圧B電源です。まあまあです。

バイアス調整ツマミが付いていなかったのでこちらでMarantz7用の余った物を付けてみました。これでバイアス調整ができます。

Marantz 8 です。 全体に年代の割には程度の良い個体です。左右の出力管が違います。左のTelefunken EL34はピンが曲がり中央のガイドも1本折れていました。右の出力管はロシア製で比較的新しいものです。バイアス調整ツマミが欠損しています。バイアス調整はできていたのでしょうか?