上の黒いテスターはバイアス電圧で、バイアスセレンと電解ブロックコンデンサーを新品交換した為 -47.2Vを示し正常値です。下の白いテスターは高圧B1で471Vを示しこちらも正常な値です。
しかし1分程で右の画像の様に出力管が赤焼してきます。最初に赤くなったのは左手前の出力管と伺いましたがこちらは左の奥の出力管です。恐らくバイアス回路の状態に依ってどれかが赤くなるようです。
この出力管は全て頭のゲッターが薄くなってかなり古いTelefunken EL34 Wリングです。

赤焼している出力管です。

高圧の電解ブロックコンデンサーです。こちらもリークしています。

高圧倍電圧片側の電解ブロックコンデンサーです。Leaky表示でリークしています。

2021. 3. 23 初掲載
2021. 3. 24 検査完了
2021. 6. 11 修理完了

調整の時は新しい出力管(Electro Harmnix)で行いましたが最終的にはやはり音の良いRCAに交換しました。

主なカップリングコンデンサーはマランツ純正GoodAll-TRWの新品に交換しました。初段管カソードバイパスコンもマランツ純正SPRAGUEの新品に交換しました。

★まずは電源を入れるためにバイアス回路のセレンと電解ブロックコンデンサーをオリジナル仕様の新品に交換し、電源を入れて各電圧を計りました。

再度電源を入れ直し筐体コンセント間の漏れ電圧を調べます。AC37.08Vで漏れは無く良好です。

左のデカップリング、バンブルビーです。絶縁不良です。

スピーカー端子とRCAコードが接触した状態で電源を入れてしまいショートして出力管が焼けた、と言われ修理を依頼されました。

中の高圧用電解ブロックコンデンサーも絶縁チューブ付の新品に交換しました。これで高圧回路は全て新品です。




低圧のバイアスC電源です。バイアスセレンと電解ブロックコンデンサーをオリジナル仕様の新品に交換しました。念のため高圧整流ダイオードも4本とも新品交換しました。

★修理後の各電圧チェックです。

トランス直後の出力電圧です。AC145.6Vでやはりかなり下がっています。

★ 最悪の状態を想定してトランス類のチェックからです。

★試聴エージング風景です。

なかなか良い音です。いつものTelefunken (RFT)より繊細で奥行きのある音です。 RCA管を見直しました。

出力管を交換してもバイアスは余裕を持って調整できます。良い状態に戻りました。













元の出力管です。Telefunken EL34 Wリングゲッターのヴィンテージ管です。この内2本が赤焼を起こしています。全体にゲッターが薄く、中にはゲッターが完全に無くなっているものもあります。とことん使い込まれて廃棄レベルを超しているようです。

大量の交換部品が出ました。

15分後の高圧B1です。454Vで良い値に戻りました。

バイアスC電圧です。 -43.6Vで良い値です。

電解ブロックコンデンサーはオリジナル仕様の新品に交換しました。

RCA EL34はなかなか落ち着いた繊細な音が出ます。見直しました。アンプが良いせいもあります。

★内部です。

★漸く修理完了です。                                    2021. 6. 11

電源トランスの巻き替えを行い電源回路の消耗部品を全て交換しました。カップリングコンデンサーも交換しました。

出力管をこちらのストック品RCA EL34に交換しました。




★10分以上経過後にバイアス調整を行いましたが、4本とも既定のレベルまで上がりません。バイアスC電圧は規定に近いのでやはり高圧側の電圧が低い為メーターが振れません。

以前の古い出力管ではすぐに赤焼を起こすので瞬間的な通電チェックのみでした。通常は電源投入後はかなり電圧が上がり、その内徐々に下がって10分位で安定し規定の電圧に落ち着きますが、今回はこの安定状態でかなり電圧が落ちています。

恐らく電源トランスの2次側の一部で巻線がショートしています。

電源トランスの巻き替えと電源回路の各電解ブロックコンデンサーの交換が必要です。

★上の赤焼した古い出力管では時間が経った後の正確な電圧は判らないので、出力管をこちらのストック品のRCAに換えて時間を掛けて測りました。   2021. 3. 24


バイアスC電圧は -43.9Vを表示し、正常のようです。

高圧B1です。374Vと規定より80V程下がっています。
これによりバイアスが正常でもプレート電圧は上がらず、4本ともバイアスメーターは既定の目盛りまで届きません。

高圧ダイオード直後の電圧です。383Vと特にダイオードは問題ありません。

★10分後の各電圧です。

RCAの出力管4本です。

★電源トランスは大丈夫の様です。

この後取り敢えず電源を入れられるようにして出力トランスの出力チェックを行います。

★内部のチェックです。

★現状ではバイアス回路を正常な状態にし、取り敢えず電源を入れる事ができるようにしました。

しかし、出力管がかなり古いWリングゲッターなので回路が正常になっても一度赤焼を起こすと常にこうなります。このため出力管の交換が必要です。

次は出力管を4本ともこちらのストック品に換えて各状態を見て行きます。

右のデカップリング、バンブルビーです。こちらも絶縁不良です。

左側の初段管のカソードバイパスコンです。こちらもLeaky表示でリークしています。

右側の初段管のカソードバイパスコンです。Leaky表示でリークしています。

高圧倍電圧のもう片側の電解ブロックコンデンサーです。こちらもLeaky表示でリークしています。

★各コンデンサー類の検査です。

左の出力トランスの1次側のチェックです。こちらも良好です。
右の出力トランスの1次側のチェックです。良好です。

バイアスC電源の電解ブロックコンデンサーです。ESRが計測の限界値を越えて完全に不良です。

こちらも高圧の電解ブロックコンデンサーです。ESRが非常に高い状態です。

右の出力トランスの2次側も導通があります。

右の出力トランスの2次側も導通があります。

電源トランス1次側は取り敢えず導通があります。

Marantz#8B 修理レストア依頼機 I. N 様 概要