2022. 12. 4-6 検査
2022. 12. 8 進捗1
2023. 1. 6 修理完了
2023. 1. 8 再調整完了
★本日オーナー様の了解後、修理に取り掛かりました。 2022. 12. 8
修理後の電源投入状況です。
電源を入れるとすぐにヒューズが飛びました。
出力トランス | Aチャンネル | Bチャンネル |
2次側(8Ωタップ) | 49.58mH 0.447kΩ | 40.53mH 0.429kΩ |
1次側 高圧 HOT側 | 65.7H 153.8kΩ | 39.1H 137.5kΩ |
1次側 高圧 COLD側 | 61.7H 154.3kΩ | 40.25H 136.8kΩ |
Bチャンネル出力管のHOT側のスクリーングリッド抵抗が焼けて割れています。
厄介なことになっています。出力トランスと電源トランスが心配です。
★出力トランスのインダクタンスとインピーダンスのチェックです。
★再調整です。 2023. 1. 8
★昨日修理完了後1日ずっとエージングを行っていましたが、本日朝電源を入れると音が出ません。
ヒーターは全て付いているのでヒューズは大丈夫です。
検査すると高圧B電圧が異常に低く、この為出力が両チャンネルとも出ない状態でした。
原因を調べると、上の画像の様に高圧の倍電圧回路のアース側が浮いています。
黒いリード線がラグ端子にしっかりハンダ付けされていません。
この部分は当工房ではこれまで触ることの無いところなので最初からこういう状態だったのでしょう。
長期の劣化でリード線も錆びています。
本機は#8Bkなのでキットです。キットは最初に組み立てられる方の技量に左右されます。
しっかりとした方が組み立てればオリジナルと変らない性能が出ますが、そうでない方では時として思わぬトラブルが発生します。
本機もこれまで運良く何とか鳴っていましたが、何かのタイミングで不安定なところが表面に出てきました。
修理中も何かおかしいと思いながら何とか試聴エージングまで漕ぎ着きました。エージング中の熱で宙ブラ状態のリード線が完全に離脱したようです。
本機がこちらに有る間に大きな問題が見付かって良かったです。
当工房ではキットなどで組み立てミスによる不具合が見つかればできる限り直し、少しでも長く良い音が楽しめるよう努力して参ります。
バイアスチェックです。各出力管ともきちんと調整できます。
★修理後の試聴エージング風景です。
いつものMarantz8Bの音が戻って来ました。
★漸く電源トランスの巻き替えが終わり修理完了です。 2023. 1. 6
出力波形です。両チャンネルとも綺麗な波形です。
巻き替えた電源トランスをこれから装着です。
飛んだヒューズと焼けたスクリーングリッド抵抗です。
交換したオリジナル純正A&Bのスクリーングリッド抵抗です。
焼けたスクリーングリッド抵抗を交換し、各部のチェックを行った後電源を入れました。
★以上の検査の結果、幸いにも被害はトランスまで到達していないようです。
検査前に本体を見ると真空管周りに埃がたくさん掛かっていました。恐らく殆どバイアス調整をされずに使われていたと推測します。マランツのパワーアンプは出力管の経年変化でバイアス値が変わります。これを放置すると2本の出力管のバランスが崩れ、今回のように偏った異常電流が流れ内部が損傷しヒューズも切れます。
また、最悪は出力トランスの1次側の巻線がショートし、これに直接電源を供給している電源トランスまでやられます。過去にこの様な状態になったパワーアンプを何台も修理しています。
この表でわかるように、左右の値は一般的な#8Bとほぼ同じと言えるので、先に心配していた出力トランスの損傷は無いと考えます。
電源トランスの2次側高圧巻線のチェックしています。
どちらも幸いに問題無さそうです。
★ついでに電源トランスもチェックします。
出力トランスの2次側を測定している風景です。
内部です。
Marantz8Bk 修理依頼 概要
電源トランス装着配線後各電圧を計ります。正常に電源が入ります。
左の白いテスターは高圧B電圧です。455Vを示し良好です。中央はバイアスC電圧です。-48.2Vを示し良好です。右はヒーター電圧です。AC6.34Vで良好です。
★測定結果は下記の表になります。