当工房所有機 Marantz9オリジナル  概要    セブン再生工房

★ Marantz9オリジナルはSN.1000番から約1000台余り製造された極めて希少性の高いモノーラルパワーアンプです。
本機はこの中でもそれぞれ1100番台の超初期型です。ペアで数えると50台(セット)目あたりになります。

以前当工房で所有していた#9k(改)の音を聴き極めて良い音に驚いていましたが、
何れは#9オリジナルを持ちたいとも思っていたので欲しい方がいてお譲りしました。

今回#9オリジナルの初期型が手に入り、少なからず心が躍っています。
これだけ良い状態のものです。できるだけこのオリジナル状態を保ちつつベストな音を再現したいと考えています。


★パワーアンプの回路は最初に開発された1950年代から徐々に新しい回路が開発され音が良くなってきました。
Marantzでも最初は#2から始まり#5、#8、#9と続きます。その後価格面から#8Bも出されました。

私が聴いた音の感じではやはり#9オリジナル及び#9k(改)が最も良い音です。
何が違って来たかと申しますと電源回路。しかも整流方法です。

昔のアンプは整流には整流管を使っていました。この整流管は出力インピーダンスが高く、要求される電力に対して応答性が悪いのです。
(この応答性とはロードレギュレーションという言葉で表現されますが、「Marantz7の何が良いのか?」の項で少し説明しています。)

音で言うと、きれいだが幾分元気の無い音になります。Marantzでは#2,#5ですがウエスタンなども同様です。
勿論、音だけでなく私はこれ等の超ビンテージアンプには存在そのものに魅力を感じるため価値をどこに置くかは好みになります。
(以前レストアしたALTEC 1570Bは整流管を4本も並べ、さすがに音は強烈でした。4本パラではインピーダンスも1/4になります。)

この整流方法は#8になると高圧はダイオードに変更になりました。俄然、元気な音になります。
ダイオードはインピーダンスが低く、音楽の変動に応えて瞬時に必要とされる電力を楽に通します。
(セレンはもっとインピーダンスが低いのでプリなどはやはり音の煌びやかさや臨場感が違ってきます)

しかし、残念ながら#8(B)はステレオになりました。(普通はステレオが当り前です)
大きな容量のデカップリングコンデンサーで左右の干渉を減らす努力をしていますが、電源が共通なのでやはり左右の音は影響します。

そこでモノーラルアンプなのです。それが9番です。
#8(B)と比べると左右の音がバラバラに聴こえ、その分音の輪郭と臨場感が際立って感じます。

しかもMarantzでは最初の頃(#2)から出力管はEL34に拘っています。
#9からはシドニー・スミス氏が設計されていますがマランツ氏の拘りは踏襲され、出力が足りないなら4本並べれば良い。

この細い華奢な風体から湧き出る重量感、繊細さ。

どうしてもEL34が外せなかったのですね。 音を聴くと気持ちはわかります。













2019. 12. 25 更新

★ Marntz9オリジナルの初期型です。かなりきれいな状態で内部もメンテが行き届いて良い状態を維持していました。

2台とも全く同じ状態の内部です。消耗品である電解コンデンサーはきちんと純正SPRAGUEに交換してあります。
初期型のカップリングコンデンサーやデカップリング、フィルター回路のコンデンサーは赤茶色筒型のGood-Allです。
こちらの検査では全て良品です。

後期型では中央のデカいコンデンサーに黒いSPRAGUEのブラックビューティー161Pが使われ、出力管カップリングその他にGood-Allのこげ茶色モールド型コンデンサーが使われています。(下記参考画像)
(当工房では筒型やモールド型の純正Good-Allの良品を多数確保しています)

抵抗も初段管近辺は後期型に比べ音の良いものが使われています。

本機は初期型としてはかなり状態は良いのですが電解ブロックコンデンサーは検査ではもうだめでした。
暫く時間が経つとハムノイズが少し乗ってくるのでこの電解ブロックコンデンサーは新品交換が必要です。
(勿論、当工房には正規仕様の新品を保有しています)

初期型は出力管グリッド抵抗の電流容量が小さく、結構焼損した物を見かけます。これも後期型の様に容量の大きい純正A&Bに交換予定です。これを換えておかないといずれ出力管の赤焼を招きます。前オーナー様も何度か出力管が真っ赤になったそうです。
後期型でも出力管のカップリングコンデンサーが劣化するとこのグリッド抵抗が焼けて飛びます。
(以前レストアした#9オリジナルや#8Bなど)

当工房ではMarantz純正A&Bの高容量グリッド抵抗をたくさん確保しています。

初段管前に四角いプレートがビス止めされています。
後期型は丸いキャップが嵌め込んであります。(下の画像)

Marantz9オリジナル後期型の内部です。(参考画像)
入口側に160Pが使われています。音が少し丸くなることが推測できます。
#9を余り良い評価をされない方もいました。NFBを掛け過ぎるとか、開発の意図が判らないとか。。。??
入口側カップリングに160Pを使っているからかも知れません。
初期型のようにGood-Allであればもう少し抜けの良い華やかな音になり、、、バンブルビーだと。。。

この参考画像の電解ブロックコンデンサーは純正のまま交換されていません。
当然もう抜け切っています。前回こちらでレストアした#9オリジナル後期型では電解液が滲み出て破裂寸前でした。

消耗品をオリジナルに拘ると後でとんでもないことになります。

トランス類にも傷や錆は殆どありません。

こちらが後期型です。(参考画像)
シリアル番号のラベルが後面に貼ってあリます。

#9オリジナル初期型はゴールド感が強いパネルです。殆ど傷はありません。

オリジナル後期型と違ってシリアル番号の貼り付け位置が上面です。