Marantz 9 修理依頼 概要
2023. 5. 29 検査、修理完了
こちらは出力トランス1次側のHI側です。インダクタンスがかなり下がっています。
こちらは出力トランス1次側のLO側です。こちらもインダクタンスがかなり下がっています。
左テスターはバイアスC電圧です。-40.8Vです。右テスターは高圧B電圧です。421Vでどちらも良い値です。時間が経つともう少し上がります。
劣化の進んだ出力管は、こちらのストック品の同じTelefunken EL34と交換して試聴します。
★出力トランスをチェックします。
同時に、正常なAチャンネル側(右側のアンプ)の電圧チェックです。
左の白いテスターは高圧B電圧です。421Vを示し良い値です。右テスターはバイアスC電圧です。こちらも-41.4Vで良い値です。
★一応インダクタンスの値はいつもとは違いますが、もし出力トランスが逝っていたらこんな値ではなく全くインダクタンスが無いか或いはショートしています。この為今回は個体差と認識して、電源を入れてみます。
用心の為、各出力管のバイアスを下げメーターが振り切れないようドライバーを持って、構えます。。。
2年前に当工房でレストアしたMarantz9オリジナルです。今回は聴いていてノイズが出始め電源が入らなくなったので修理を依頼されました。電源が入らなくなったのは緑の付箋が貼ってるLチャンネルです。
まずは電源トランス1次側のインダクタンスを測ります。まずまずの値です。
今度は同じく電源トランス2次側高圧です。正常です。
同じく2次側ドライブ管B電圧のインダクタンスです。こちらもまずまずです。
抜けると危険な各出力管入口のカップリングコンデンサーのチェックです。4個とも正常です。
各部を注意深く観察すると、出力管の電力供給回路の抵抗が焼け焦げた跡があります。破損に至らずともかなり高温状態が長く続いた様です。これによりどれかの出力管が怪しいと考えます。
左端の×印が廃棄値です。他はまだ使えます。ただ、この程度では本来はまだ使えます。何か他の要件も重なったかもしれません。
こちらは正常な方のAチャンネルの出力トランス2次側です。概ねいつもの値です。
ヒューズを交換し電源を入れると、やはり電源が入りました。すぐさま各バイアス調整を行います。調整しながらACバランスも調整しますが、この調整ボリュームが固着しています。少し動かすとメーターが振り切れ右端をカンカンと打ちます。かなり不安定な状態が続きましたが、そのうち何とか安定してきました。
恐らく原因はこのACバランス調整ボリュームの固着によりHI-LOのバランスが大きく崩れ、そこに出力管の劣化に依るバイアス不良の過電流が重なりヒューズを飛ばしたと考えます。飛んだヒューズも溶け方を見ると何かがショートしたような破裂した切れ方では無く、時間を掛けてゆっくり切れたような状態です。
★試聴エージング風景です。
いつものMarantz9の力強い音が出ています。
2次側です。いつもの値と違います。
右Aチャンネルの出力管です。どれもまだ大丈夫です。
案の定、1本がダメでした。
★真空管試験機で出力管を検査します。