左テスターはバイアスC電圧です。 -41.1Vで良好です。中央のテスターは高圧B2です。381Vで良い値です。左の白いテスターは高圧B1です。こちらも426Vで良好です。

2023. 5. 12 掲載
2023. 6. 5 修理完了

出力の残留ノイズです。AC 0.003Vで良好です。

★いろいろやって漸く電源が入りました。

★メーターが運送途中の振動で壊れています。

何もしない状態で針が左に振り切れています。
外して修理です。

こちらの足も陥没しています。電源コードのブッシングが無事で良かったです。これが破損していたら代品はありません。

中のブロックコンデンサーが飛び出して配線がちぎれていました。

★この他、まだ未確認ですが出力管がそのまま取り付けた状態で送られています。通常出力管のソケットはブラブラなので運送途中のトランポリン状態が長時間続くと真空管内部の線の溶接が外れてショートすることがあります。
出力管の無事を祈ります。






こちらの側面が大きく曲がっています。大きな力で押されたようです。

足の取付けボルトです。4本中3本が曲がっています。この内1本は引きちぎられて短くなっています。

足が取れた側面が曲がっています。

底板です。足の取付け位置が陥没しています。

こちらの足も曲がっています。

Marantz 9k 修理依頼 概要

★今回のヒューズが飛んだのは、長期間出力管のバイアス調整をしていなかった事に依るバイアス異常と、これに伴ってACバランスが極度に崩れていたことが原因と考えられます。

Marantzの真空管パワーアンプは、どれも出力管は固定バイアスなので時折バイアス調整が必要です。特にMarantz9(系)はパラレルプッシュプルなので各出力管のバランスが大事です。

幸いなことに今回はトランス類や真空管に大きな損傷はありませんでした。

★心配していた出力管のチェックです。

★修理後の試聴エージング風景です。

1台のみお送り頂いたので、もう1台はこちらの同じ#9kを使います。

いつもの良い音で鳴っています。






電源トランス2次側C電源です。こちらも大丈夫です。

部品の離脱、配線のちぎれ等を直し、筐体の変形もできる所を直しました。

高圧側の各ブロックです。全て良好です。

電源トランス2次側です。こちらも大丈夫です。

出力管は4本とも少し劣化はしているものの、内部ショートはありません。

★各部の破損状態を修理し、取り敢えず電解ブロックコンデンサーをチェックします。

★電源をいれてみます。

電源トランス1次側です。インダクタンスの数値が変ですが取り敢えず直流抵抗があるのでショートはしていないようです。

★電源を入れる前のトランスのチェックです。

★修理後の内部です。

高圧倍電圧の上側です。良好です。

高圧倍電圧の下側です。同じく良好です。


★修理完了です。                                         2023. 6. 5

ブロックコンデンサーの他に大型抵抗の足の取付けポストが抜け落ちています。基板上の随所に配線ポストが抜けています。

足の取付けボルトが曲がり、足が取れていました。

こちらの足は陥没しています。しかも筐体側面まで曲がっています。

ヒューズが飛ぶようになったので修理を依頼されました。使用状況をお伺いすると、購入して5年余り経っているが一度もバイアス調整をされていないそうです。Marantzのパワーアンプはどれも固定バイアスなので数か月に一度はバイアス調整が必要です。これを怠ると経年で出力管の特性が変わり、バランスが取れなくなって過電流が流れる場合があります。最悪は電源トランスや出力トランスが焼き切れ、その後でヒューズが飛びます。以前も#9オリジナルや#5でこの様な事がありました。特に#9系は出力管が4本もあるので注意が必要です。

先程こちらに届いたので段ボールを開けて見ると、大変なことになっていました。薄い段ボールの中に緩衝材を周りに当ててあるだけでした。恐らく運送途中でアンプの重みで軽い緩衝材が潰れ、アンプが中でトランポリン状態で長時間トラックの床に叩きつけられていたと推測します。
パワーアンプはどれも重量物なので送る場合は中で動かないように固定するようお願いしています。

★筐体の変形を直し、足も付きました。