McIntosh C20 レストア依頼機 概要

左は高圧B1です。244.0Vで良好です。中央は高圧B2です。219.6Vで良好です。右はヒーター電圧です。 7.42Vで少し高いですが良好です。

出力波形です。奇麗ですが少しゲインが低いようです。ギャングエラーも目立ちます。

2022. 9. 22 検査
2022.10.19 レストア完了
2022.10.29 再調整完了

後で交換した電解ブロックコンデンサー2本です。

交換部品も電解ブロックコンデンサーが増えました。


★レストア完了です。                                                  2022. 10. 19

★各電圧を測定します。

もう一つ気になったのが、筐体を手で触ると少しピリピリ感じます。

右画像の様に筐体-コンセントN極間の漏れ電圧を測るとAC61.3Vありました。

電源トランスに漏電が進んでいます。

今回C20用の電源トランスはこちらにも無いので、このまま筐体アースを確実に取ることでピリピリや外部機器への影響は無いと考えます。

また、フォノイコもアースを取ることによりノイズも少なくなりました。


★再調整完了です。                                                  2022. 10. 29


レストア完了後暫くエージングを繰り返していましたが、どうしても小さくブーンのノイズが気になりました。

結局、検査時に良品と判断した電解ブロックコンデンサー2本を交換し、このブーンのノイズは収まりました。

交換部品です。大量のカップリングコンデンサーです。

この中のブラックビューティー(160P)は全て良品で、バンブルビーは全て不良です。

当工房ではブラックビューティーは音が曇り、大事な臨場感が消されるので、音に影響の大きい所には使いません。

全体にゲインが低いのは、以前交換された4連ボリュームが原因でした。特性を測ると1MΩの所、このボリュームは1.6MΩとかなり違います。この為全体の出力も小さくなっています。取り敢えず特にガリも無く問題無く使えます。

イコライザー回路も全ての素子の値を測り、大きく値が違っているものは交換しました。この為、しっかりとした低音が出ています。

各フィルター回路もC20では音声信号が通ります。この為、不良のコンデンサーを全て交換しました。

カップリングコンデンサーを交換していると、予想通り値の違うものに交換されていた所がありました。恐らく丁度良い値のコンデンサーが無かったのでしょう。その時持っていた値の違うもので代用されたようです。コンデンサーの値を換えると抵抗との時定数が変わり周波数特性が変わります。

★レストア後の試聴エージング風景です。

見事にマッキンらしい元気な音になり、C20特有の繊細さと臨場感が充分出ています。

いいアンプです。

部品交換後の周波数特性やイコライズ特性の測定です。全て良い値です。

レストア後の中です。ガラリと様子が変わりました。以前レストアで使われたブラックビューティーは殆ど良品ですが音が悪いので交換しました。また以前のレストアで残されたバンブルビーも殆ど不良なので交換しました。C20のトーン回路はCR型なので全てのコンデンサーに音声信号が通ります。以前のレストアではトーン回路は関係無いと思ってバンブルビーを残されましたが、これの劣化が進み音を悪くし周波数特性まで変えていました。今回のレストアでは全て容量の正確な新品部品に交換しました。これによりほぼフラットな周波数特性を得られています。

フォノイコ左のカソードバイパスコンです。こちらも容量が抜けて内部抵抗が非常に高い状態です。

低圧の2ブロック目です。良好です。

高圧2段目です。3ブロックとも良好です。

高圧先頭の2ブロック目です。こちらも良好です。

4,5年前に神奈川県の老舗ショップから購入されました。最近何となく音のピントが合わなく感じ、レンジも狭くなったように感じるのでレストアを依頼されました。 環境の良い所で使われていた様で極めて奇麗です。
最初の外観の観察ではラウドネスを少し効かせてあります。フォノイコではイコライザーのBASSのレンジがTAPEになっています。かなり上げているのでイコライザーカーブがかなり変化しているようです。

★最初の試聴風景です。

音は奇麗ですが、言われるように元気のない音です。以前レストアされた時にカップリングコンデンサーを全てブラックビューティー(160P)に交換されているので、ある程度こうなることはわかりますが、それでも元気が無さ過ぎです。

特にフォノイコは低音が殆ど出ていません。この為オーナー様はイコライザーをRIAAではなくTAPEのレンジに合わせてブーストして聴いておられたようです。
また、やはり全体にレンジが狭く感じます。恐らく以前のレストア時にどれかのカップリングコンデンサーが合うものが無く値の違うものに換えられたか、抵抗の値が劣化で大きく変化したのかも知れません。細かく確認する必要があります。

一番気になるのが全体のゲインが小さく出ています。何か大きな問題があるようです。

★内部です。

フォノイコの電源最終の電解コンデンサーです。容量が抜けています。

フォノイコ右のカソードバイパスコンです。こちらも容量が抜けて内部抵抗が非常に高い状態です。

低圧の1ブロック目です。良好です。

高圧先頭の1ブロック目です。良好です。

★電源を入れる前に各電解ブロックコンデンサーをチェックします。

裏面です。こちらも低圧の電解ブロックコンデンサーが交換されています。殆どのカップリングコンデンサーはブラックビューティーに交換されています。

上面です。内部も大変きれいな状態です。電源の電解ブロックコンデンサーが1本交換されています。