★今度はC-8Sです。
McIntosh C-8s レストア依頼機 概要
こちらも不良のバンブルビーを良品に換えました。低圧回路も良品セレンと電解コンデンサーを交換しています。こちらも極めてオリジナル状態になりました。
右の電源ユニットは当工房製作のものです。手前の電源コードも当工房製作で、AC点火機にも使えます。
結局オリジナルの電源コードには3種類あるようです。パワーアンプ接続用、電源ユニットD-8接続用、AC点火用です。どれも互換性はありません。
高圧B3です。171.6Vと若干高いですが良好です。
前のレストア屋さんは低圧セレンを外してダイオードで新規に整流回路を製作されました。 高圧回路にも電解コンデンサーが追加されています。この追加された電解コンデンサーの位置はフォノイコのブロックになります。フォノイコに何か気になる点があるのでしょうか?
後日レストア後の調査で、前のレストア屋さんは何故かフォノイコにハムが出るのでこの電解コンデンサーを追加されたようです。これを外しても余り変わらないので、気休めでした。
ハムの原因は上のように製作された電源ユニットですが、良い音には整流管とハムバランサーと思い込み、原因がわからなかったのかも知れません。
高圧側です。この後も含めて3ブロックとも良好です。
低圧の電解コンデンサーです。何と!2本とも完全に抜けています。
(OL表示は計測不能を表します)
フォノイコのカソードバイパスコンです。オリジナルですが正常です。
★まず初めにC-8の内部です。
C-8のLチャンネルをC-8SのRチャンネルに接続した状態です。特に音質の劣化も余り感じずRチャンネルのボリュームで左右ステレオの音量操作ができます。
交換部品です。
当工房製作の電源ユニット D-8M です。McIntosh D-8 に似せて作りました。電源トランスはオリジナルの倍の容量で、高圧の整流方式はMarantz7に使うセレンです。セレンは整流管よりインピーダンスがかなり低いので音のスピード感がハンパ無く、極めてレギュレーションが良くなります。1次側の入力電圧は117Vです。
マッキンの歯切れの良い音は電源で決まります。
電源コードでは高圧直流ラインにシールド線を使い、ヒーター線や外部からのノイズの混入を防いでいます。オリジナルの電源コードは交流直流の混在した多芯ケーブルなので交流ヒーター線の誘導起電力の影響からハムノイズが高圧直流線に混入します。
この為、敢てオリジナル線を使わず特別に製作しています。
裏面です。抵抗類を少し換えました。左隅に青い綺麗な抵抗があります。ここは値が正確でなければなりません。純正のA&Bは値が不定なのでここには使えません。ここ以外の不良個所は純正A&Bに換えているところもあります。
★取り敢えず電源は元のものを使って試聴です。
スッキリとしたバンブルビーの音になりました。
不良だったバンブルビーを良品に交換しました。ダイオードに改造されていた低圧回路をオリジナル状態の良品セレンに戻しました。
低圧セレンと新しい電解コンデンサーです。これでオリジナル状態に戻りました。
左テスターは高圧B1です。347.0Vで良い値です。右テスターは今回セレンに交換した低圧ヒーター電圧です。レストア前は2V程高かったのですが、レストア後は11.05Vと丁度良い値になりました。
★電源を入れてみます。
左テスターは高圧B1です。348.3Vで良い値です。右テスターは低圧ヒーター電圧です。こちらも10.9Vで良い値です。
低圧の電源回路は良品セレンと電解コンデンサーに交換しました。
こちらもイコライザー回路を中心に抵抗類を交換しています。
★電源を入れて各電圧チェックです。
★レストア完了です。 2023. 2. 9
★まずはC-8からです。
★最初の音出し試聴風景です。
取り敢えずまあまあの音が出ています。普通はこれでも充分良い音と言われると思いますが、、、
暫く聴き込んでみると、バンブルビーの音ではありますが、当工房のC-8と比べると全体に少しぼんやりとした丸い音で、特にC-8sの方はやはりフォノイコに歪が感じられます。
本来のバンブルビーの音は、抜けるような透明感が味わえ、特にC-8(S)はCR型回路なので臨場感も抜群です。
当工房の完全良品のオールバンブルビー機と比べるのも酷ですが、ついつい辛い評価をしてしまいます。
★一般にヴィンテージアンプでまだバンブルビーがついていても殆ど不良です。音は普通に聴けますが全体に丸い感じになるだけで、いつも聴いていると音に慣れて不良かどうかわかりません。当然本来のバンブルビーの音とはかけ離れた音です。
この絶縁不良が進んで行くとその内歪が出てくるようになり、これで漸く音が悪く感じます。
ラインアンプ最終の0.47uFです。何と!24.58Vで、この後のパワーアンプに直流が漏れ出しています。
ラインアンプ中間の0.1uFです。375mVの漏れがあります。
こちらも高圧のブロックコンデンサーに電解コンデンサーを追加されています。
こちらはセレンが残してありますが、またダイオードをパラに繋いでゴマ化してあります。
★電解ブロックコンデンサーのチェックです。
ウッドケースに入れてお送り頂きました。運送途中の振動でフロントパネルのビスが4本とも飛び出しています。
アンプ本体も前に飛び出ています。
とても珍しいMcIntosh C-8sです。通常のC-8と組んでステレオで聴けます。以前読んだ雑誌のヒストリーの記事を思い出します。当時Marantz model 1にステレオアダプター(model 6)が追加されたのでマッキンはこのC-8sでステレオにしたそうです。皆さんよくご存じだと思いますがこちらは今回初めて見ます。興味津々です♪
カップリングコンデンサーには殆どオリジナルのバンブルビーが残っています。
★試聴風景です。
これは良い音です。当工房のC-8と殆ど変りません。
ただ今、グリークのピアノ協奏曲を聴いています。極めて透明感のある音です。 いいですねー♪
使用機器は
カートリッジ: Ortofon SPU-GE
MCトランス: WE 618B
ターンテーブル: LINN SONDEK LP12
プリアンプ: McIntosh C-8 (本機)
パワーアンプ: MKe-124A ( WE 350B pp )
スピーカー: TANNOY USA GRF Monitor RED 15
フォノイコ中間の0.47uFです。1V近い漏れがあります。
ラインアンプ入口の0.47uFです。こちらも何と!48.5Vの漏れがあります。この漏れ電圧はテープレコーディング出力に出ています。またトーン回路にまともに掛かり、最終段のグリッドにも掛かります。
★2台ともヒーター電圧が高いのは、電解コンデンサーが両方とも完全に抜けて平滑せずリプルが目立って電圧が高く表示するのでは無いかと思います。
このままでは2台とも真空管の寿命に影響します。
ヒーター電圧です。13.1Vでこちらはかなり高い値です。
★バンブルビーの漏れ電圧です。
高圧1です。339.3Vで良好です。
高圧B2です。203.5Vで良好です。
こちらも低圧は完全に抜け切っています。
フォノイコのカソードバイパスコンデンサーです。以前どこかでレストアされた時に違う値のものに交換されたようです。値が既定の3倍以上になっています。これは音が変わります。
こちらも高圧のブロックコンデンサーは3ブロックとも良好です。
★電源を入れて各電圧を測ります。
ラインアンプ中間の0.1uFです。1Vの漏れです。
ラインアンプ最終0.47uFです。639mVの漏れがあります。不良です。
★今度はC-8sをチェックします。
低圧です。12.82Vでこちらも高い値です。
★バンブルビーの漏れ電圧チェックです。
高圧B1です。359.7Vを示し少し高い値です。
高圧3です。184.9Vでこちらも少し高い値です。
高圧B2です。215.3Vとこちらも少し高い値です。
こちらは電源ユニット直後の高圧電圧です。2台とも共通です。406Vを示し良好です。
★電源を入れて各電圧を測ります。
2023. 1. 19 検査
2023. 2. 9 レストア完了
2023. 2. 13 エージング調整完了
★まずは電解ブロックコンデンサーのチェックです。
以前どこかで作られた電源です。一応C-8 AC点火用5Y3の整流管が使われています。
内部を観察します。普通によくできていますが、整流の後に高容量電解ブロックコンデンサーで平滑しています。気になります。
本来ここは10uF位の低容量のオイルコンが使われます。ウエスタンアンプなども同様です。高容量にするとレギュレーション(応答性)が悪くなります。
当工房オリジナルのC-8用電源ユニットは10uFです。
後日、レストア後の試聴でノイズが気なったのはこの電源ユニットが原因でした。整流管に拘り、AC点火用のハムバランサーを付けられています。本体は2台ともDC点火です。アースがバランサーに回り込みフォノイコにノイズが乗りました。設計ミスです。
C-8の手造り電源ユニットにはこのようなものがたくさん見受けられます。C-8を理解しないで作られているようです。
★当工房製作の電源ユニットです。
★レストア後しばらく前の電源ユニットで聴いていましたが、フォノイコにノイズが乗ります。 2023. 2. 12
この為、再度各部の点検を行っていました。
今回当工房製作のC-8用電源ユニットも要望頂きましたので、繋いで電源を入れてみました。すると電源が入りません。調べると画像のようにオリジナルの電源コードの丁度スイッチ回路のピンが付いていません。元々そのピンの場所には穴も開いていないことから、このオリジナル電源コードはパワーアンプから電源をとるタイプのものではないかと思います。