★やはり右の出力トランスが異常のようです。

多少のインダクタンスの違いは個体差として容認できますが1/4となると明らかに異常です。

出力トランスの巻き替えが必要です。

今回はまだ暫くは聴けると思うのでこのままお返しし、少し我慢して聴いて貰います。
恐らくそのうち音が出なくなりますから、そのときトランスの巻き替えを行います。



★マランツやウエスタンも同じですが、古いトランスは巻き線が経年でぼろぼろになりプツプツとノイズが出ることがあります。トランス内部で小さなショートを起こしてその音が出力として出ているのです。そのあと最後には大きなショートが起こり音が出なくなります。
内部の巻き線の、特に高圧1次側は極めて細い線です。使われている銅は殆ど経年で色が変わって、そのうちぼろぼろになります。

このような変色した巻き線のオリジナルのトランスより、巻き換えたり新品のトランスに交換した方が電流の通りは良いので音は良くなります。










こちらは問題の無い左チャンネルの1次側上下のインダクタンスと巻き線抵抗値です。39H程と18.9kΩを示しています。

念のため交換された先頭のECC83を真空管試験機でチェックしてみます。

1日経ってから先頭のECC83をこちらのストック品と交換し電源を投入してみます。

左右からは特にノイズは出ません。大変良い音で鳴っています。

恐らくこの先頭の真空管のピンの腐食が原因で電気が通った直後にピンとソケット間でスパークし、それ以後普通に聴けていると推測します。

もう数日電源投入を繰り返してみます。









McIntosh MC240 修理依頼機 概要

2023. 8. 23 検査
2023. 8. 24 検査
2023. 9. 4 継続検査完了

★1kHzの周波数を掛けて出力トランスのインダクタンスと交流抵抗を測ります。

1ヶ月程前に当工房でレストアしたもの【283】です。最近電源を入れるとバリバリと数秒程ノイズが出るので再修理を依頼されました。

こちらで音出しの確認するとやはり右側からパツパツとノイズが出ます。今回のレストアでは電源の電解ブロックコンデンサーが検査で良品の為交換していません。時折他のレストアで電解ブロックコンデンサーを良品判定で交換せずにお返しすると暫くしてノイズが出始めることがあります。検査で良品でもレストアで他の所が良くなると電源のノイズ等が目立って来る場合もあります。

今回は片側のみのノイズが発生することから電源ではないことがわかります。

1ヶ月前のこちらでのレストアでは最後に音質面から真空管の特性も測りました。特にドライブ管の消耗が進んでいましたが、全てのドライブ管のピンを磨いて検査をしています。今回お送り頂いた真空管で先頭のシールドケースに入ったTelefunken ECC83は前回こちらでピンを磨いたものではないので交換されたようです。これ以外のドライブ管は前回と同じです。

こちらは問題の右チャンネルです。上下ともインダクタンスは左の1/4程です。巻き線抵抗値は上下とも少し高い値です。部分的に少し切れている可能性があります。

★先月末からいろいろチェックしていました。                                  2023. 9. 4

特に真空管周りが中心で、ソケットの洗浄及びピンの磨きや入れ替えです。
真空管に関してはこれ以上することは無い位徹底的にやって、尚且つ電源投入時にはプツプツ出ます。

次は出力トランスのチェックです。


★この真空管は試験機でチェック開始ですぐにヒーターが真っ赤に輝きすぐに消えて普通の状態で徐々に赤くなってきます。この真空管は不良のようです。

他にもストックされている真空管を一緒に送って来られたようですが、恐らくどれも似たり寄ったりの状態だと推測します。
現在出回っているTelefunken ECC83<>有はセット品として売られているものでも特性を測ると残念なものが多いようです。
余りTelefunkenに拘らないで最近製造された新品の方が余程まともな音がすると思います。


この他にも問題があるかも知れないのでもう少し様子を見ます。



もう片側です。何とかまだ使えそうです。

片側は廃棄値手前です。