電源回路の電解ブロックコンデンサーを4本ともオリジナル仕様の新品に交換しました。

高圧側の電源回路です。

電源トランスが戻った後早速組み付けて各電圧を測ったところです。

中央の黒いテスターはバイアス電圧を表し、右の白いテスターが高圧電圧を表します。
どちらも電圧が低く特にバイアス電圧は規定の半分です。

この為、あらゆる原因を探っていました。

最終的に判明した原因は、バイアス用セレンの後の電解コンデンサーのプラスがアースに落としていないことでした。単純な配線ミスです。これに気が付くまでいろいろなチェックを行い膨大な時間が経過してしまいました。

McIntosh MC240 検査レストア依頼機 Y. T様 概要

2020. 10. 14 検査
2021. 2. 23 修理レストア完了

★最終的なレストア後の内部の状態です。

★電圧の不具合解消後の各電圧測定風景です。

バイアスセレンや電解コンデンサーもオリジナルです。

★レストア後の試聴です。

漸く普通に聴けるようになりました。入力側のカップリングコンデンサーをフランスのソーレン・ファストに換えたことにより明るく煌びやかな音になりました。








交換部品です。

レストア後の試聴で音が気になったので入り口側のカップリングコンデンサーも交換しました。

主なカップリングコンデンサーを交換しました。左端の初段管カソードバイパスコンもSPRAGUEの新品に交換しました。

高圧倍電圧回路です。

バイアスセレンと電解コンデンサーを新品に交換しました。

こちらの右のテスターは各出力管のプレート電圧を表し4本共456Vを表示し非常に良い値です。

こちらの右のテスターは高圧B3で125.3Vを示しよい値です。

こちらの右のテスターは高圧B2で307.8Vを示しよい値です。

左のテスターはバイアス電圧を表し162.8Vと良い値です。右のテスターは高圧B1で453Vとこれも良い値です。

★漸く修理レストアが完了しました。                               2021. 2. 23

修理のご相談を頂いてから4ヶ月半も掛かりました。
電源トランスの巻き替えも時間が掛かっていますが、トランスが戻ってからが尤も時間が掛かっています。





★以上のように今回は電源トランスの不良により各部に電圧が掛からず、出力が出なかったようです。

原因はやはり長期に渡ってメンテをせずに使用されていたと考えます。
特に高圧の整流ダイオード直後の電解コンデンサーが全く機能していないため、高圧はかなり電圧が落ちた状態で使われていたと思います。
この為電源トランスが異常発熱を起こし、巻き線のエナメルが永年の間に徐々に溶けて最後にショートし焼損に至ったと考えます。

修理では電源トランスの巻き替えと電源回路の全ての電解ブロックコンデンサーを交換し、不良のバンブルビーも代品のコンデンサーに交換すれば元の良い音に戻ります。


カップリングコンデンサーも全てオリジナルのバンブルビーが付いています。
初段管のカソードバイパスコンは劣化して表面に塩を吹いています。

他にも殆ど不良のようです。
特に出力管のカップリングコンデンサーは不良になると出力管が真っ赤に赤焼し、暫くすると出力トランスが飛びます。
この為こちらではできるだけパワーアンプのカップリングコンデンサーは銘柄に拘らず新品に交換しています。

片側の足を外して絶縁抵抗計で検査しています。この画像では163.8MΩで不良です。
良品は4100MΩ以上無限大です。

初段管のカソードバイパスコンの片側です。容量が1.5倍に膨らんで不良です。

こちらはもう片側で同じくかなり膨らんでいます。

バイアスC電源の電解コンデンサーです。こちらは良い値です。

大変きれいなMcIntosh MC240です。
今回音楽を聴いていると、スーと音が小さくなって出なくなりました。この為検査を依頼されました。
真空管は全てヒーターが点いている状態です。

こちらで最初の音出しでも両チャンネルとも全く音は出ません。

整流ダイオードの前の電源トランスからの電圧です。AC13.96Vを示しています。
この為、これを整流して上記23.33Vを出しています。

やはり電源トランスの2次側高圧巻線が焼損しました。

★カップリングコンデンサーのバンブルビーのチェックです。

バイアスC電源は電圧があるものの、高圧は全く電圧が上がりません。表示では23.33Vです。ここは430V程ある筈なので恐らく電源トランスの不良です。

バイアスセレンの逆方向です。導通があり不良です。

バイアスセレンの順方向です。

★電源を入れてみます。

どういう訳か電源サーミスタが新しい状態です。
後で聞くとヒビが入りかなり悪い状態だったのでオーナー様が交換されました。

★電源を入れる前の各電解ブロックコンデンサーのチェックです。

こちらも高圧側で容量がかなり膨らんでいます。

こちらも高圧側の2段目です。こちらもかなり膨らんでいます。

高圧側のブロックコンデンサーです。少しESRが高い状態です。

こちらは倍電圧のもう片側です。こちらも極めて低い容量で使用不能です。

整流ダイオード直後の倍電圧の片側です。静電容量が全く無く計測不能を表示し完全に抜けています。

電解ブロックコンデンサーは全てオリジナルです。

内部です。こちらも奇麗な状態で完全にオリジナルのままです。電解ブロックコンデンサーもオリジナルなので全くメンテをされないで聴かれていたようです。