検査レストア依頼 mcIntosh MC275 A.S様 概要
2019. 3. 11 掲載
2019. 3. 19 レストア完了
★以前こちらでMarantz7をレストアされた方が、mcIntosh MC275からノイズが出ているので見て欲しいとのご依頼です。
外観はあまり手入れされていませんが、オリジナルとしてはかなり状態の良いものです。
感覚的には何度か簡単な修理をされただけで、どこかのショップできれいにして売られたものでは無さそうです。
それだけオリジナル性が高く、非常に良いものだと思います。
★検査です。
電源投入前の各コンデンサーのチェックです。
レストア後のエージング風景です。 →
★音は当初ノイズが乗っていましたが、レストア後は余り目立たなくなりました。
スピーカーに直接耳を当てると微かに両方から出ていますが通常聴いている場合は特に問題はありません。
これまでMarantz8Bで聴いていましたが、試聴のため本機に繋ぎ変えると途端に力強い音が飛び出してきます。
ダイナミックで雄大な響きはさすがに名器McIntosh MC275です。
ずっしりと重みのある重低音、煌びやかな中高音。
やはりこれでJAZZを聴くと格別です。何というかそれぞれの楽器が前に飛び出してきます。
Bill Evans PORTRAIT IN JAZZ-1960 を聴いています。
とても良い音です。
これでまた当分は安心して良い音を堪能できると思います。
不良だった紙巻電解コンデンサーを青のSPRAGUE新品に交換しました。
バイアスセレンです。元は不良でダイオードを併設されていましたが、代品の良品セレンに交換しました。
電解コンデンサーは一応静電容量はあるのでオリジナル状態を尊重して交換しませんでした。
不良だった電解ブロックコンデンサーを隣の空いている端子に繋ぎ変えています。
これで全ての高圧用ブロックコンデンサーは良品です。
★最初の音出しです。
右チャンネルからジーとブーンが混ざったようなノイズが出ています。
音は特に違和感なく聴けます。マッキンらしい元気の良い低音や鋭い中高音が響きます。
ただ、いつもマランツのパワーアンプを聴いているので少し感じが違います。
恐らくカップリングがブラックビューティー(160P)なので少し丸い音です。
低音も少し増強されています。
これがマッキンの音なのでしょう。JAZZを聴くとやはりいいですね。
音的には余り違和感は無いのですが、気になるのがSPRAGUEの紙巻電解コンデンサーです。
できれば交換したいのですが、交換するとてきめんにオリジナル性を損ねます。
しかしノイズの音源はこの紙巻コンデンサーかも知れません。
低圧C電圧です。-149.8Vでこれも充分な値です。
高圧B電圧です。432Vで大丈夫です。
高圧B3です。130.6Vでこれも大丈夫です。
★電源投入で主要各部の電圧測定です。
残念ながら前回のレストア屋さんはセレンを持っていなかったのか、ダイオードを併設されています。
整流基板です。セレンの間にダイオードが見えます。
低圧バイアス用電解コンデンサーです。
何とか容量はありますが、ESRが高い感じです。
逆サーミスタです。前回交換されていますが、何とか大丈夫のようです。
こちらも右出力のバイアス系統のコンデンサーですが容量抜けのエラーです。
これはチョット危ない感じです。前回のレストア屋さんはわかっていたのでしょうか?
こちらは左出力管バイアス系統のコンデンサーですがESRが計測最大値40.0Ω超えを表示しています。
殆どのブロックコンデンサーは交換されているので良品でしたが、ここだけオープンサーキットのエラーで容量が抜けています。
ここは隣のブロックコンデンサーが使用されていないのでこちらに回路を回せば交換しなくても済みます。
内部は以前他でのレストアで電解ブロックコンデンサーをマロリーに交換されています。
バイアス関係のセメント抵抗も交換されています。
逆サーミスタも交換されているようです。
その他は目立った変更はありません。
カップリングコンデンサーはオリジナルのブラックビューティーです。
バイアス制御用電解コンデンサーもオリジナルのSPRAGUEの紙巻タイプです。
★レストア完了です。 2019.3.19