電解ブロックコンデンサーは2本ともオリジナル仕様の新品に交換しました。

★電源を入れて各電圧を測ります。

★まずは1台目(Aチャンネル)です。

McIntosh MC60 レストア依頼機 概要

左の白いテスターは高圧B1です。437Vで良い値です。中央のテスターは出力管コントロールグリッド電圧です。こちらもHOT, COLD側とも-50Vを少し越えた値で良好です。右テスターは高圧B2です。363Vで良好です。

★電源を入れて各値を計ります。

★レストア後の試聴エージング風景です。

画像は当工房所有のJJやGEの出力管6550で音の確認を行っています。

とても奇麗で力強いマッキンサウンドが蘇りました。












 

出力波形です。こちらもとても奇麗です。この他、周波数特性は12〜20,000Hzまでフラットです。

こちらも全てのバンブルビーを交換しました。経年劣化した電解コンデンサーも新品に交換しました。

こちらも電解ブロックコンデンサーを2本とも新品に交換しました。

★次はAチャンネルで一般的なMC60と同じ内部です。

出力波形です。とても奇麗です。この他、周波数特性は12〜20,000Hzまでフラットです。

全てのバンブルビーを交換しました。バイアスセレンは整流ダイオードに交換しました。

左の白いテスターは高圧B1です。420Vで良い値になりました。中央のテスターはバイアスC電源です。-154.1Vを示し良好です。右テスターは高圧B2です。335.1Vで良好です。
こちらは修理前はどれも異常電圧でしたが修理後上記のように良い値になりました。

こちらの右テスターは出力管コントロールグリッド電圧です。HOT, COLD側とも-50V近辺で良好です。

まずはBチャンネルの電圧異常について詳しく見て行くと、予想通りバイアスセレンの導通不良です。
右画像はセレンを取外して単体検査をしている所です。画像では順方向でもOL表示なので導通していません。同じく逆方向でもOL表示で導通していません。
これにより出力管のバイアスが異常に浅く、出力管プレートに異常な電流が流れ、高圧B電圧を下げていたようです。

以上の結果、特にBチャンネルに明確な異常は見受けられませんが、チョークトランスのインダクタンスがAチャンネルの半分以下です。

2台とも電源回路を詳しく見て行く必要があります。







 

 ◎電源トランス  Aチャンネル  Bチャンネル(電圧異常側)
  1次  2.65mH  45.1Ω  2.82mH  56.8Ω
  2次 高圧B  HOT側  17mH  0.493kΩ  15mH  0.534kΩ
         COLD側  21.9mH  0.488kΩ  20mH  0.531kΩ
     バイアスC  2.645mH  3.7Ω  3.34mH  3.62Ω
 ◎チョークトランス  1163μH  1.57Ω  476.7μH  1.4Ω

★詳細検査です。                                          2022. 12. 6

今度はBチャンネルの電圧異常が気になったので電源トランスのインダクタンスを測ります。

こちらの右端のテスターはバンブルビーの漏れ電圧です。 1.744Vの漏れがあります。他にもこのような漏れがあるところがあります。

★最初の音の確認です。

今回もケーブルの長さの関係でプリアンプはMarantz7を使っています。

音は、右(A)チャンネルが最初の波形が乱れていたアンプでやはり音が汚く感じます。バンブルビーがかなり不良のようです。
左(B)チャンネルは高圧B電圧が低くバイアスが深い方のアンプです。電圧がかなり低い関係でゲインが低く、いつものマッキンの元気よさが出ていません。こちらも歪っぽい音です。バンブルビーが不良です。

左の白テスターは高圧B1です。 397Vを示し正規の値から50V程低く出ています。何かあります。 右の黒テスターは出力管バイアスC電圧です。 -114.4Vを示し、こちらも通常の倍以上低い電圧です。バイアスがかなり深くなっています。恐らくバイアスセレンが抜けています。

右端のテスターは出力管のコントロールグリッドの電圧です。 -37.9Vで少し浅い値です。こちらも何かあります。

こちらは出力管バイアス電源の整流器です。これまで見た方式とは違いセレンが付いています。

こちらのコンデンサーはESRがかなり高い状態です。

★こちらは全体に静電容量はまだ何とか保っていますが、やはり経年劣化によりESRは高く、何とか機能している状態です。恐らく近いうちに目立ったトラブルが出てくると思います。

こちらのブロックはESRがかなり高い状態です。

★今度は2台目(Bチャンネル)です。

内部です。完全オリジナル状態で、まだ一度もメンテの手が入っていません。

電解ブロックコンデンサーはオリジナルのままです。

2022. 11. 26 検査
2022. 12. 6 詳細検査
2022. 12. 29 レストア完了


★レストア完了です。                                    2022. 12. 29




交換部品です。全てのバンブルビーは不良なので交換しました。この状態でよく音が出ていたものです。危ないところでした。電解ブロックコンデンサーも膨らんで破裂寸前の状態のものがありました。

★各部の電圧測定風景です。

★それでは、今回は電圧異常のBチャンネルから見て行きます。

★測定結果です。

左の白いテスターは高圧B1です。 441Vを示し良好です。
右の黒いテスターは出力管バイアスC電圧です。 -44.7Vを示し良好です。


★電解ブロックコンデンサーのチェックです。

こちらの出力波形は綺麗です。

こちらは少しメンテの手が入っています。バイアス電源の電解コンデンサーや初段管カソードバイパスコンが交換されています。

出力波形が乱れています。恐らく音も悪いと思います。

こちらは奇麗なMcIntosh MC60です。メンテナンスを依頼されました。

LCRテスターを使って電源トランスの各インダクタンスを測定しています。

こちらは順方向です。140kΩで良い値です。




こちらは逆方向です。何と、導通があります。

★電源を入れて各部のチェックです。

2本目の3ブロック目です。こちらは静電容量が抜けてESRもかなり高い状態です。

初段カソードバイパスコンです。少し容量が膨れESRも高い状態です。

他のブロックです。こちらは良好です。

位相反転管のバイアスコンデンサーです。容量が膨れESRがかなり高い状態です。

出力管のカソードコンデンサーです。ESRが高くなっています。

★出力管バイアスの整流ダイオードの検査です。

2本目の2ブロック目です。良好です。

2本目のブロックコンデンサーです。こちらのブロックは少しESRが高いものの良好です。

1本目の最初のブロックです。36.9pFといきなり完全に抜け切っています。

★まずは消耗品の電解ブロックコンデンサーのチェックです。