レストア依頼機 McIntosh MC60  A.K 様 概要

2018.12.20 初掲載
2019. 2. 8 レストア完了

2台目です。1台目と同様に改造されていたものを元に戻しています。

カップリングコンデンサーは国産ニチコンのオイルペーパーコンデンサーに全て交換されています。

これが本来のMC60の内部です。

レストア後のエージング風景です。
気になったノイズはかなり小さくなりました。しかし、マランツと比べるとまだ出ている方なのでいろいろ調べると、本機の入力コネクターの位置が電解ブロックコンデンサーのすぐ傍にあります。
しかもプリアンプへの接続コネクターを介して入力ケーブルが徘徊しています。この接続コネクターにはヒーターのハム調整回路まであります。60年前の設計なのでこのような現代では有り得ない構成です。
今回せっかくのレストアなので、この徘徊経路を短縮して入力信号ケーブルを電解ブロックコンデンサーから離し、アンテナと化した接続コネクターへのハム調整ケーブルを撤去しました。
これにより気になるノイズは殆ど出なくなりました。

交換部品です。大物がたくさんあります。
上の黒いブロックコンデンサー3本組は前回他のレストア屋さんが製作したものです。
かなりご苦労されたようです。
中段の電解ブロックコンデンサーはオリジナルで不良です。
下段は国産のオイルコンです。

1台目です。正規仕様の電解ブロックコンデンサーを使用して、改造されていた電源回路を元に戻しました。
カップリングコンデンサーもマッキンオリジナルのSPRAGUE製とコーネルデュブラー製に交換しました。

2台目の高圧電源電圧です。1台目より少し落ちていますが充分な値です。

こちらもB2です。やはり少し落ちていますが充分な値です。

こちらも高圧B2で良い値です。

高圧B電源の電圧です。かなり良い値です。

これも大容量です。
こちらのサイトにMarantz7の電源では低容量のブロックコンデンサーを組み合わせてあの音を出している旨を記述していますが、同様にマランツやマッキンのパワーアンプでも低容量の、しかもマッキンのパワーアンプでは巧妙に段階を分けて容量を低く抑えています。
前にこのレストアを行った方はただ大容量を選択しています。

国産のフイルムコンデンサーが入っています。

★今回は最初の音出しの前に、危ないので中を確認してから電源を入れ試聴しました。


音の感じとしては、メリハリが無くぼんやりしています。
普通マッキンの音としては低音が力強く出るといわれますが、本機は少し低域が膨らみボン付いた歯切れの悪い低音です。
回路図を見る限り高域もシャープに切れる筈です。Marantzよりも。
KT88のビーム管らしい迫力が感じません。

右側の音が割れます。
左右とも入力レベル調整ボリュームを上げるとジーッとノイズが出ます。電源回路を長く引き回しているので入力にノイズが乗っています。
ハムバランサーでは変化は無いのでハムではありません。

メーカーはノイズが乗らないように工夫して配線しますが、本機のように配線を引き回すとノイズが乗りやすくなります。





恐らくオーナー様も感付いていたのでしょう。
特に異常なところはないが久しぶりに聴きたいので見てほしいと言われています。


試聴風景です。

コンデンサーを少し触ると案の定ポロリとビニールテープが剥がれました。

至る所にビニールテープが巻かれています。

国産コンデンサーはサイズが大きくなったのか、何とビニールテープで固定されています。熱のことを考えられていないようです。

電源回路の抵抗類も新規のブロックコンデンサーのターミナルに移動です。

★McIntosi MC60 パワーアンプです。

さすがにKT88プッシュプル 60Wはでかいです。 Marantz#9とほぼ同じ大きさです。

名器 MC275が出る前のマッキンの代表的なパワーアンプで、このモノーラル構成はMC275よりも表現力に優れていると言われる逸品です。

レストア後の試聴が楽しみです。

2台とも正規仕様の電解ブロックコンデンサーに交換しました。
この電解ブロックコンデンサーは低容量から高容量まで純正のコンデンサーの仕様に合わせて特注したものです。
マッキンのパワーアンプの切れや迫力はこのブロックコンデンサーの段階を分けた平滑回路から来るものです。
近年の回路設計者がむやみに電解コンデンサーの容量を上げればよい音と思い込んでも、決してマッキンの音にはなりません。

★レストアは完了しエージング中です。

肝心の音は、前は中高域がぼんやりして低音もボン付いただらしない音でしたが、レストア後はこれぞマッキンの音とうならせる、極めて軽快で重厚な低音とシャープな切れ味の中高音が出ています。

これまでマランツの音を聴く機会が多かったのですが、やはりマランツとは違う色が出ています。

これはいい音です。



これまでマッキンはJAZZ向きと勝手に思い込んでいましたが、極めて透明でしっかりとした音像や音色はクラシックにも合います。

ブラームスの交響曲やビバルディの強烈なバイオリンの演奏は脳天に突き刺さってきます。

なかなかの迫力です。











★漸くレストア完了です。                                                                           2019. 2. 8

特注の電解ブロックコンデンサーの入荷待ちと、最近の多数のレストア依頼や売却機の調整などで本機のレストア完了まで1ヶ月半もの日数が掛かりました。

もう一台の内部です。同じように大改造されています。

このビニールテープはすでに剥がれています。

各ブロックコンデンサーに渡りを掛けてあります。かなり容量アップです。

念のため計ってみると319uFもあります。良品です。

まず1台目の中を見ます。
いきなり大改造です。全てのブロックコンデンサーの配線を取り除き、新規に代品のブロックコンデンサーをフレームを自作して取り付けています。
本来は下の画像のようにシンプルな形をしていますが、本機はチョークコイルを移動させ、ブロックコンデンサー3本を追加されています。