★結局今回ヒューズが飛ぶ原因は電源トランスの2次側高圧の巻き線がショートしているためです。
前回こちらでレストアする前はかなり高圧電圧が下がっていたので電源トランスを心配していました。
なぜこのようなことが起きるかと言うと、こちらのサイトの「改造例」の稿にも詳しく書いていますが、
電源電圧が低下すると、負荷が同じなので電圧低下分電流が余計に流れます。この電流増加がトランスの異常発熱を引き起こし、巻き線の絶縁体であるエナメル被服を溶かし巻き線間でスパークして銅線が焼き切れます。
これがレストア後に良く発生するのは、これまで長期の異常高温状態でエナメルが溶けて巻き線の芯線どうしが近くなっているところへレストア後正規の高い電圧に戻ると、電圧が高いのでスパークして焼き切れるのです。
こちらでこれまで電源トランスの交換に至ったMarantz7,8BやMcIntosh C22の全てはこの経路を辿っています。
電源電圧の低い状態のまま長期に渡って使われ続けた場合この様になる事が多いようです。
McIntosh C22 修理依頼機 K. K 様 概要
2020. 4. 8 検査
2020. 4. 18 修理完了
2020. 5. 11 再修理完了
★トランス交換後各部の電圧チェックです。
試聴中に各部のツマミを回してチェックするとトーンの低音側が左右とも幾つかの個所で音が小さくなります。
上の画像の様にマッキン C11, C22ではトーン回路のたくさんの抵抗とコンデンサーを1個の集合ユニットに収めています。この中のどれかが不良です。
★再修理後の試聴エージング風景です。
しばらく鳴らして様子をみます。
前回のレストアで交換した電解ブロックコンデンサーを3本とも取り外し検査しました。
画像下のブロックコンデンサーが13.27MΩと少し絶縁不良を起こしています。
因みに【126】のC22は4.97MΩで、かなりの電流が流れていたようです。
★再修理完了です。 2020.5.
11
先月修理完了しお送りしたのですがまたヒューズが飛びました。こちらでも確認しています。
いろいろ調べると前回交換した新品の電解ブロックコンデンサーが絶縁不良を起こしていたことがわかりました。
最近修理した同じC22【126】と同じ電解ブロックコンデンサーの個所で症状も同じです。
こちらは電源トランスを前回新しいものと交換しているので幸いトランスまで逝くことは無くラッキーでした。
今回も真空管のヒーターのエレメントの抵抗値がどれもかなり低い値です。特に最近本機で交換された新品のJJはどれも抵抗値が7Ωです。
これは前回【126】のC22や【125】のMarantz7と同様にヒーター全体の抵抗値が低くなり、その分電流がたくさん流れていたことになります。
これが原因かは特定し難いので、破損したブロックコンデンサーを交換し、取り敢えず少し電圧が下がっているので抵抗で調整して様子を見ることにします。
★修理完了です。 2020.4.18
電源トランスを特注品に交換しました。
また、電源トランスの不良で高圧セレンの2個の内、片側も飛んでいたので交換しました。
高圧セレン直後の電圧です。355.3Vを示し良好です。
高圧B1です。302.7Vで若干高いですが良好です。
★片チャンネルの音が小さいと言われていたのでラインアンプのプレート抵抗を計測しました。
こちら側が110.5Ωと1割程膨らんでいます。
こちらは106.3Ωで5%程膨らんでいます。マッキン純正のA&Bの抵抗は普通1割以上膨らんでいるので今回同じA&Bで1割膨らんでいるものに左右を合わせます。
試聴エージング風景です。
天面の左右のボリュームを両方同じ様に最大に上げても左右の音量は同じ様に聴こえています。
漸くマッキンの元気な音が甦りました。
今回の交換部品です。
トランス2次側の高圧の抵抗値です。183.2Ωとほぼ短絡状態です。
こちらも高圧B1の抵抗値です。5.34kΩと表示されます。通常ここは30MΩ以上あります。
通常通電前の回路の短絡チェックで必ず抵抗値を測ります。
本機は2ヵ月程前に当工房でレストアしたものです。 今回は音楽を聴いているときに突然音が出なくなりヒューズが飛んだようです。
こちらの試聴でも電源投入と同時にヒューズが飛びました。
電源投入前に一応1次側の直流抵抗を計ると通常の倍の37Ω位出ているのでおかしいと思っていました。
低圧セレン直後の電圧です。24.14Vを示し良好です。
ヒーター電圧です。18.62Vを示し良好です。