フロントパネルを外し、ボリュームの内部清掃を行っています。C22のボリュームを外すのはかなり難儀です。
清掃の末、ガリは殆ど無くなりました。

左の黒いテスターは低圧のヒーター電圧です。15.48Vと異常に低い値です。もう少し下がればTelefunken ECC83<>有では動作しないものも出てきます。
右の白いテスターは高圧B1です。294.2Vで極めて良好です。

McIntosh C22 検査レストア依頼機 概要

裏面です。こちらも殆ど状態は変わりません。抵抗類を少し変えて調整を行っています。

★カップリングコンデンサーのバンブルビーのチェックです。

★それでは電源を入れる前に各電解ブロックコンデンサーのチェックです。

2023. 7. 18 検査
2023. 7. 31 レストア完了
2023. 8. 9 再調整完了

新しい基板に組み替えた後の状態です。

★再試聴です

★レストア後の各電圧チェックです。

左右の出力波形です。綺麗に出ています。左右のギャングエラーも少なく、周波数特性も良好です。

左の白いテスターは高圧B1です。294.9Vと非常に良い値です。その右隣は高圧B2です。こちらも275.5Vと良い値です。その右となりは高圧B3です。250.4Vで非常に良い値です。右端はレストア前に異常に低かったヒーター電圧です。17.72Vでかなり良くなりました。これで電源周りは良い状態です。

こちらは高圧B3です。こちらも259.9Vで良い値です。

★各部の検査が問題無さそうなので電源を入れて各電圧を測ります。

★これでノイズが無くなり左の音も普通に出るようになったので、また暫く試聴していました。

全体に問題なく鳴っていると今度はいよいよ音質が気になり始めます。特にフォノイコです。先週のレストア後の試聴でも気になっていましたが少し歪っぽく感じます。この為、改めてバンブルビーの再検査です。

★フォノイコのバンブルビーをUSA仕様の代品に交換しました。

バランスボリュームを分解し新しいカーボン基板とローターに取り替えます。上の黄色い基板のものが新品のCTSのカーボン基板です。

★電源回路を触ったので改めて各電圧チェックです。

裏面の最終的な状態です。

表面の右のグレーの電解ブロックコンデンサーが今回交換したものです。

★当工房で新しい高圧セレンに2個とも交換しました。

交換部品です。

こちらもフォノイコの右側です。やはり0.433Vの漏れがあります。

フォノイコの左のバンブルビーです。やはり0.441Vの漏れがあります。

★最初の検査でバンブルビーに殆ど漏れは無かったのですが、恐らく電源がきちんと良い状態ではなかったのでしょう。

無事に本体に装着しました。

バランスボリュームを外して左右単体での検査です。この画像は右チャンネルの値を計っています。460kΩで少し少ないがまあまあの値です。本来は500kΩです。

こちらは左チャンネルの抵抗値です。390.7Ωと大幅に少ない値です。やはりこちらのボリュームのカーボンが擦り減り、ノイズや音が出ない状態になっていました。

★予想とおりブーンのノイズは消えました。

今度は左の音が出にくくなった原因を探ります。

いろいろチェックしているとバランスボリュームが異常のようです。

バランスボリュームを触ると音が出たりノイズが大きくなったりします。この為、バランスボリュームも外してチェックしてみます。

残留ノイズです。左右とも0.002Vと極めて低い値です。

左の白いテスターは高圧B1です。306.3Vを示し良好です。右テスターはヒーター電圧です。17.53Vでまあまあです。この後時間経過と共に少し上昇します。

こちらの左テスターは交換した高圧セレン直後です。355.1Vで良好です。

2個とも逆方向に導通があり不良です。

★最初のチェックでセレンの値が不安定だったのは電解ブロックコンデンサーの不良から漏れでした。この為前回はセレンは良品と判断しました。
しかし、この不良の電解ブロックコンデンサーを外した単体検査では明らかに高圧セレンは2個とも不良でした。この為、試聴で全体が温まってくると電解ブロックコンデンサーが抜けて不良のセレンから出る脈流が回路に回りブーンと言うノイズが発生しています。

★何台もC22をレストアして最初は今回始めてセレンが良品だと思いましたが、やはり不良でした。ヴィンテージアンプについているセレンは今では純正で良品は無いのでしょう。

高圧セレンです。右側のセレンの胴体が黒く焼けています。

★高圧セレンを取り外して単体チェックです。

高圧セレン1個目です。逆方向にも導通が有ります。テスターの上に置いてある電解ブロックコンデンサーはただ今取り外したものです。このブロックコンデンサーが繋がっていない状態のセレン単体でのチェックです。

高圧セレンの2個目です。こちらにも導通が有ります。


★修理レストア完了です。                             2023. 7. 31

内部です。基本的にレストア前と変わりません。各部の接触等をチェックし接点復活剤を塗布しました。検査で左チャンネルが出なかったのはやはり接点の接触不良からでした。

電源回路は電圧調整の為、抵抗を少し変えました。

★こちらも劣化は進んでいますがバンブルビーはどれも概ねまだ使える状態と判断します。

★この他、バンブルビーの漏れ電圧は殆どありません。ラインアンプのプレート電圧が下がっているところがあるので抵抗類の詳しい検査と交換が必要です。

★最初の試聴風景です。

以上の検査でまずまずの状態なので安心して試聴行ってみました。ところがとんでもないことが起きました。
まずはいつものようにCDから聴きますが、ボリュームを少し回すと左からバリバリ、ドカーンと猛烈なガリが発生します。危うくTANNOY REDを飛ばすところでした。パワーアンプはMarantz9kですが、通常得体の知れないものを繋ぐときは入力ボリュームを絞って少しずつ上げて行きます。しかし今回は不覚にも(C22の状態が良さそうだったので)ボリュームを半分位まで上げていました。

パワーアンプの入力のボリュームをもう少し下げた後、意を決してC22の音量を上げてゆくと8時位の位置から正常に音が出ます。しかし今度は左の音が全く出ません。
いろいろ探ってみるとセレクターが怪しいようです。高レベル入力は全てダメです。フォノイコは左右とも正常に音が出ます。


こちらは高圧B2です。こちらも281.8Vで極めてよい値です。

★画像のように逆方向にも導通が有るように見えますが、時折OL表示を繰り返すので導通は回り込みと判断します。よってこの高圧セレンは2個とも正常です。

とても綺麗なMcIntosh C22初期型です。

★最終的な試聴風景です。

今度は良い音になりました。

これで違和感無く聴けます。








★再調整完了です。                             2023. 8. 9

レストア完了後、試聴エージングを続けていましたが次第に音が荒れて小さくブーンのノイズが出始めます。

また、左の音がガリのようなノイズが出始め、そのうち音が出なくなりました。
この為、再修理を行っていました。

★まずはブーンのノイズを消すために電源回路の再チェックです。
高圧の電解ブロックコンデンサーの先頭を交換しました。最初のチェックで少し劣化が進んでいたものです。
この後高圧セレンを再チェックします。

★レストア後の試聴エージング風景です。

今回は一緒にレストアを依頼され、先に完了したMcIntosh MC240に繋いで試聴しています。

やはり前に出る元気な音と繊細さも感じられます。

特にコントラバスの雄大な響きは圧巻です。

こちらは低圧セレン直後です。25.39Vと少し低いですがまずまずの電圧です。

高圧セレン直後の電圧です。338.6Vで良好です。

★いつものようにこちらは4本とも全くの良品です。

★因みに、ブラックビューティー(160P)の0.47uF 4本も検査してみます。

★概ね全ての電解ブロックコンデンサーは良品です。

★高圧セレンのチェックです。

初期型なので低圧にはセレンが使われています。青い電解コンデンサーはマロリーですが恐らく純正です。

横一列の小さなカップリングコンデンサーは160Pに交換されています。

横一列の小さなカップリンコンデンサーに以前のレストアでブラックビューティー(160P)に交換されています。これ以外は電源回路を含めて全てオリジナル状態です。

電源回路のブロックコンデンサーもオリジナルです。

C22初期型に特徴のカップリングコンデンサーにバンブルビーが使われ、殆どオリジナル状態です。