McIntosh C22 修理レストア依頼機 S.M 様 概要

上の画像は代表的な物を表し、右は6本全部の4-9間と5-9間の抵抗値です。
今回も全体に抵抗値が下がりその分の電流が多く流れます。
これは少し前に同じような症状のMarantz7 S/N 10400番台の前例がありました。
しかし、この程度でこれだけひどい焦げ具合になるとは考えにくく、改めて各部を隈なく探り原因を調べました。

高圧セレン直後の電圧です。369.8Vと良好です。

2020. 3. 24 検査中
2020. 4. 28 修理完了

修理後の検査状況です。破損した低圧セレンと電解ブロックコンデンサー1本を交換しました。

★ 修理完了です。                                                  2020. 4. 28

4月初め頃に漸く特注電源トランスが入って来たので早速交換しました。
何とか各部の電圧は正常になりましたが少し安定しません。。

この為、真空管のフィラメントの抵抗を計ってみました。


★修理後各電圧を測定しながら2日間約12時間のエージングを行いました。

特に問題はありません。











★状況としてはやはり電源トランスの1次側と2次側ヒーター巻き線側の一部ショートにより2次側高圧の電圧が高くなり、低圧側は低く出ています。
また電源トランス内のショートによりアースに漏れが発生し高圧側回路にアース浮きが発生しています。
電源トランスの交換と燃えた電源回路の修復が必要です。

今回破損した部品です。

破損した電解ブロックコンデンサーです。
低圧1200uF/35Vのタップで4.97MΩの絶縁不良があります。

★これらの真空管のピンの状態から使用中にヒーター回路と高圧間で漏電が起こった可能性があります。
また経年の腐食によるアース浮きから回り込みが発生し、大きな電流がヒーター回路に流れた可能性もあります。
この為ヒーターの電源回路のラグ板が徐々に焦げ、抵抗が焼けて低圧セレン、低圧の電解コンデンサーが絶縁不要を起こし最後に電源トランスが飛んだと考えます。


異常接近している各ピンをチェックして矯正し、アース浮きの可能性がある個所を増し締めしました。



こちらはヒーター配線のアースポイントです。ソケットからアースを取っていますが、このソケットの腐食からアースが浮いた可能性もあります。
アースが浮けば高圧から回り込んできます。
Marantz7ではよくこの様なことが起こります。カシメ部を追加で圧着しアース浮きを無くしました。

電源トランスを特注品に交換しました。


焼けた抵抗類を新品に交換しました。(白色)

★修理後の各部の電圧チェックです。

高圧B1です。311.4Vを示し良好です。30分程時間が経つと少し下がり丁度良い電圧になります。

高圧B2です。295.4Vで良好です。

高圧B3です。267.0Vで良好です。

ヒーター電圧です。17.19Vでまあまあです。

低圧セレン直後の電圧です。25.43Vで良好です。

目視観察を行うと、真空管ソケットピンの遊んでいる9番ピンがアースと極めて接近しています。
このピンは通常配線されず浮いているので真空管の差し込みに依って角度が変る恐れがあります。
この9番ピンはヒーターの並列コモンで、C22は直列なのでこのピンは使いません。

全体にかなり低い値です。通常は8.5Ωから10数オーム位あります。
Telefunken <>有 でもいろいろ不具合があるので今回もこのうちのどれかが異常かも知れません。

こちらは入力グリッドピンとヒーター(右のオレンジ色の丸いコンデンサーのハンダ付けしてあるピンとその裏のピン)が極めて近い状態です。通常ヒーター回路の配線はレストアでは触らないので最初からこの状態で、運送途中や何らかの振動或いは真空管の抜き差し等で状態が変ったのかも知れません。

低圧セレン直後の電圧です。19.46Vとこちらもかなり下がっています。

電源トランス直後の高圧電圧です。AC126.9Vでこちらも高い値です。

約2か月前にこちらでレストアしたmcIntosh C22です。
今回突然音が出なくなったので修理を依頼されました。前回レストア前は異常に低い電圧だったので電源トランスを心配していました。
この時は電源回路のレストアで何とかなったので電源トランスの交換はしていません。
レストア前に異常に低い電圧で長期に渡って使用されていると、よくレストア後暫くして電源トランスの焼損があるので今回もこれを疑っています。

ヒーター回路の抵抗が焼けてラグ板や電線が焦げています。
前回こちらでのレストア後の画像ではこれ程焦げていないので使用中で起こったものと推測します。

高圧B1です。370Vと異常に高い値です。B2、B3も同様に高い値です。

高圧セレン直後の電圧です。こちらも少し高い値です。

こちらはヒーター回路の抵抗間の電圧です。8.2Ωで4.14Vを示しているので計算すると0.5A程ヒーターに流れていることになり、良好です。

ヒーター電圧です。異常に低い値です。今回音が出なくなった直接の原因は各真空管のヒーターが点かなくなり音が出なくなったと推測します。