(2021.12.19 追加更新)
★最近カンノのWE300Bシングルアンプの修理が入り、この音と回路をじっくり観察しています。

さすがにWE300Bシングルは良い音です。このアンプは全段トランス結合なので位相のずれるカップリングコンデンサーは無く、NFBも掛けない完全無帰還アンプです。これはWE91Aアンプよりクリアな音になります。カンノ製のトランス類も実に良くできていますし、特にカンノさんの拘りはバイアス調整でしょう。WE300Bの「旨み」を最大限に引き出そうとしています。しかも、ただ今聴いている球は復刻の新しいものですが、それでもこれだけの音です。やはりアンプの良さが際立ちます。 こちらの目指すアンプです。

★しかし、普通に聴くには極めて良い音ですが、少し音量を上げると「暴れる君」になります。こちらのいつも聴くスピーカーはTANNOY Monitor RED 15ですが、それ程能率が良いわけではないのでやはり多少のパワーは必要です。
特に抑揚の激しいクラシックで顕著にでます。交響曲などでの盛り上がり場面が、騒がしいのです。
勿論、能率の良いスピーカーなら全く問題ありません。(このオーナー様は能率の良いスピーカーを使われて、このアンプを大変気に入られています。納得! WE300Bシングルを聴かれる方は大体そうですね)


以前からWE91AアンプよりWE124Aアンプの方が私は好きな音だと言ってきました。やはりパワーなのかも知れません。

WE300Bシングルでは出力は8W位でしょうか。普通に聴いている音量では充分なのでしょうが大型スピーカーでは普通の音でも燃費?は悪いので結構パワーは食います。

同じ音量でもMarantz 9やMcIntosh MC275(最近の修理機)では弾むような、心の底から湧き出る悦び??、のような低音が出ます。300Bシングルでは決して出ていないわけでは無いですが、何とかこちらが助けてあげたくなるような低音です。(無帰還アンプなのでダンピングファクターも低い)

この点124Aアンプは全音域でのびのびと良い音を聴かせくれます。こちらのMKe-124Aアンプと300Bシングルを比べても、普通に聴く音量では音質は大差なく、300Bは少しゆったり感が出てどちらもとてもクリヤな音です。MarantzやMcIntoshとはかなり感じが違います。

しかし、少し音量を上げると途端に差が出ます。300Bシングルは騒がしいのです。MKe-124Aは澄んだ良い音が大きく力強く出てきます。


★上の、WE91AアンプよりWE124Aアンプの方が私は好きだと言った状況をここで改めて振り返りました。その時聴いたスピーカーはハーツフィールドでした。当然JBLなので能率は低いわけです。しかし、今思うとWE91AアンプやWE124Aアンプの回路図ではどちらも初段、位相反転段とも普通にカップリングコンデンサーで繋いでいます。恐らくメンテのとき、これ等は余り音の良いものを使われなかったのでしょう。このこともあって以前聴いたWE91Aアンプ('50年代オールド球)はパッとしない音だった可能性もあります。

ウエスタンアンプもその時のメンテ次第で音は変ります。当然これまで何度かメンテしなければ音は出ない筈ですから、今では本来の音はなかなか聴けなくなっているのかも知れません。
これまでウエスタンを得意とされているショップで使用される部品を見ても、私の感覚ではどうかな?と思うものを使用されています。

(ウエスタンのアンプの中はどれもグタグタです。中にはカラフルな違和感満載の部品も見掛けます。また、オリジナル状態は大切と称して当然交換すべき消耗部品をそのままにしてある物も多いようです)

今回聴いているカンノアンプはWE91アンプと違い全段トランス結合です。当工房のMKe-124AアンプもWE124Aアンプとは違いWE350B(KT66)の完全プッシュプルです。回路の途中で足したり分けたりしません。
またこの後開発するMKe-86アンプはWE300Bの完全プッシュプル及び全段トランス結合です。特に出力管前はWE86アンプとは違いWプッシュプルの段間トランスになります。(段間トランス開発中)
カンノアンプ同様に位相の変わるカップリングコンデンサーを廃し、プッシュプルとしては位相反転管を廃した究極の澄み切った音を目指しています。



★私が言うクリヤとかピュアという表現は、オーケストラの各楽器の音像が聴き分けられる度合いです。
カンノWE300BシングルやMKe-124AはMarantzやMcIntoshのどのアンプよりもはっきり区別でき、澄んだ音です。しかし、力強さとか押し出しの強さなどではマランツやマッキンの方が良いかもしれません。
(今のトランジスターアンプは(かなり高額なものでも)曇ったドンシャリとでも言いましょうか、、、失礼)

普通は私が良い音と感じるクリヤさは皆さんそれほど気にする機会は無いかもしれません。なので、何を言ってんだ?と思われるかもしれませんね。。。
このあたりは「私の事」の芳子さんの下り?と「本当の良い音とは?」の稿で少し記しています。


★しかし、直熱管(WE300B)はいいですね。上にゆったり感と書きましたが傍熱管(WE350B他)と比べてほのかな感じが漂います。最近聴いている、昔のWE7Aアンプに使われたWE216Aも直熱管です。フィラメントから直接電子を出すため(放熱面積の関係で)パワーは出ないけど、味がでます?? ♪

(トランジスターアンプを聴かれている方は、このあたり何を言っているのか理解できないでしょうね。失礼。)

ガラス管の根元にも数字が印字されています。(ゲッターの所) 胴体にマジックで記入されているのは元の所有者が真空管試験機でチェックした値です。4本とも良さそうです。300Bは1万時間以上持つそうなので、私より長生きするでしょう♪ (笑)

WE300B R/N 8139 4本揃いです。

ロット番号 8139 ベルマークです。プリントもゴシック体です。1975年製の特徴のようです。

詳しくは -> こちら

上のマイカはおむすび型でサイドマイカはふくらんだ短冊です。

構成は Marantz7 S/N 10300番台グリーン + カンノWE300Bシングル -> TANNOY Monitor RED 15 です。

WE 300B アンプについて

★開発中のMKe-86Aアンプ用に手配しました。いつも気が早く球から手配です。。。

昨日まで聴いていいたカンノ・アンプには最近発売された復刻300Bがついていました。今回オリジナル球に換えるとやはり感じは違ってきます。
(オーナー様の所ではオリジナル球で聴かれていますが、今回修理に際して万一を考慮して復刻球を付けて出されました。御尤も)

復刻球は低音がかなり出ます。よく図太い低音と言われる方がいますがその通りです。勿論中高音も奇麗で繊細で素晴らしい球です。さすがのWE300Bです。恐らく1年も聴いているとエージングが効いてオリジナル球に近い良い音になると思います。

今回手に入れたオリジナル球は最初の立上りは荒く感じて、こんなものかと思いましたが30分位経つと真面に聴けるようになります。しかし低音は余り出ません。
1時間程すると普通に低音も出てくるようになります。何と、時間の経過で音が変るのです。それよりも、この圧倒的な臨場感!余韻!
すごいと思います!! 以前聴いたトンネルの中で聴いているような臨場感が自分の部屋で再び聴けたのです!

こんな良い音を昔の人達は普通に聴いていたのですね。 羨ましいと同時に妬ましくもあります。

上に書いているように余り音量は上げられませんが、あばれる君が出ないギリギリのところで聴くと、かなり力強く低音も出て何と言っても中高音の凛とした輝きと全体の余韻はTANNOY REDの良さを強烈に印象付けます。

ネットには300Bはピアノとバイオリンが命と言われる方もいましたが、その通りです。もうレコードが止められません。。。




次のMKe-86アンプ(全段トランス結合300B完全プッシュプル)が楽しみです。あばれる君よ、さらば♪




カンノ製WE300Bシングルアンプです。

全段トランス結合で完全無帰還です!
球も直熱管です。これ以上の贅沢はありません。

WE91Aアンプと比べても決して劣ることは無く、寧ろ全段トランス結合で無帰還はWE91Aアンプよりクリアな音になります。
(WE91Aアンプは当時ウエスタンが開発したNFBを掛けてカップリングコンデンサーで繋いでいます)


★WE300Bについて。                       2021. 12. 22

昨日ヤフオクにてWE300B オリジナル 1975年製 ロットNo.8139 ベルマークを4本クワッドで手に入れました。

早速、本日カンノ・シングルアンプで試聴です。