2019. 2. 1 初掲載
2019. 4. 11 レストア完了

★電源投入後15分経過の各部の電圧です。

高圧B4です。同じく低い値です。

高圧B3です。こちらも低い値です。

低圧のブロックコンデンサーです。
こちらも3ブロック中2ブロックで上の画像のようにLeaky表示でリークしています。ESR値も高い状態です。

追加されたピンク色の電解コンデンサー2個です。

★エージング試聴風景です。

とても良い音で鳴っています。

以前出ていたハムノイズも全く聞こえません。

ボリュームのひどいガリも全くありません。
どのつまみを回しても異音はありません。安定した状態です。


音質では特に中音がしっとりと良い音です。中高音はさすがのmodel 1, Audio Consoletteの音です。煌びやかで魅力的な調べを感じます。

低音も豊かです。



本機はmodel 1とAudio Consoletteなので前記のようにボリュームの仕様が違います。このため左右の音量をあわせるとボリュームの角度が違います。




やはり憧れのとても良いプリアンプです。






高圧B2です。252.9Vで良好です。こちらもレストア前はかなり高かったのが正常に戻りました。

高圧B3です。221.1Vを示し、少し低い値ですが正常値です。

高圧B1の電圧です。283.3Vを示し良好です。
レストア前はかなり高かったのですがレストアして本来の電圧に戻りました。

★ こちらはmodel 1です。

今回は大量の交換部品が出ました。
過去最高に近い量です。
何だかかなりお粗末な状態で鳴っていたようです。
セレンにはどれもダイオードがぶら下がっています。
2個束にしてあり合せのカップリングコンデンサーもあります。

ヒーターセレン直後の電圧です。26.75Vで充分な値です。

ヒーター電圧です。19.30Vと充分な値です。

高圧セレン直後の電圧です。若干低めの312.5Vを示しています。

こちらはヒーターセレン直後の電圧です。26.78Vで良い値です。

ヒーター電圧です。若干低く18.01Vを示しています。一応これでも正常値です。

★今度はAudio Consoletteの各部の電圧です。

こちらは高圧B1です。285.9Vを示しています。良好です。

B3も242.6Vを示し良い値です。

こちらのB2も264.4Vを示しよい値です。

高圧セレン直後の電圧です。
330.6Vを示し良好です。

団子積みの高圧セレン2個です。

★アンプ本体です。

これはAudio Consoletteの内部です。

こちらは分解清掃したmodel 1のA&Bメインボリュームです。

最初は全く音が聴けない位のひどいガリでしたが、分解清掃後は全くガリはありません。
左右ともにとても良い音で鳴っています。

このボリュームは変なボリュームでモノーラルアンプなのにダブルです。
しかも値はmodel 1が1MΩと1.5MΩ。Audeio Consoletteは0.5MΩと1MΩの組み合わせです。

何とも、呆れた代物です。
当然代品はどこを探してもありません。

当工房ではMarantz純正クラロスタットやMcIntosh-C20,C22純正のCTS等を分解清掃している実績があり、繊細なカーボン表面の取り扱いは熟知しています。

特にこのA&Bボリュームはどれも完全密閉式なので外部から接点復活剤の塗布もできません。

★各部の電圧測定です。


まずはmodel 1から

こちらも3本とも電解ブロックコンデンサーを新品に交換しました。

こちらも左右の音色を合わせるためにAudio Consoletteと同じ部品を使用しています。

電源の電解ブロックコンデンサーは3本とも正規仕様の新品に交換しました。

古いカップリングコンデンサーを新品に交換しました。主にオリジナルのGoodAllの現代では社名が変わったTRWに交換し、音にアクセントを持たせるために一部をWest-CAPとSPRAGUEに交換しています。

2台のmodel 4は完全なオリジナル状態に戻りました。

Audio Consoletteの電源です。こちらも高圧低圧ともセレンに交換しました。

model 1の電源です。正規の高圧セレン2個と低圧セレンに交換しました。

★レストア完了                                                                  2019. 4. 11

漸くレストアが完了しました。2か月超に及びました。

高圧セレンをたくさん使うので不足し入荷待ちでした。


★検査結果です。

まず最初に検査したBのmodel 1の状態ですが、アンプにとって非常に大事である電源は

・外部電源の高圧セレンはダイオードに交換されているため正常に整流しています。
 また低圧ヒーターセレンにも一応ダイオードが併設されているので何とか正常な状態です。

・しかし、本体の平滑用ブロックコンデンサーは全てオリジナル品で既に全部不良です。
 前のレストアで電解コンデンサーを追加され、この追加されたコンデンサーだけで持っているようなものです。
 しかし抵抗が不良になり脈流が電源に乗り、通常より高い値を示しています。
 このままでは危険です。

・後で音出しでもブーンと言うハムノイズが出ているので電源に大きなリプルが乗っている状態です。

・低圧の電圧も外部電源から供給される電圧は正常値ですが、本体の電解ブロックコンデンサーの不良からヒーター電圧は落ちています。


次にAのaudio consoletteです。

・こちらは外部電源の高圧側セレンがまだ付いている状態でダイオードを併設されています。
 しかし不良であるセレンから逆方向の波も漏れているので電圧が低くなっています。

・本体の電解ブロックコンデンサーは以前のレストアで全てマロリーに交換されているのでほぼ正常な状態ですが、
 外部電源から供給される電圧が低いので全体に高圧電圧は低い状態です。

・ヒーター電圧は正常値です。



★以上の検査結果から、できれば両方とも外部電源であるmodel 4のセレンは正規のものに交換されればMarantz model 1の品位を保ち、且つ良好な電圧を本体に供給できます。

本体も電源の電解コンデンサーをすべて正規仕様の新品に交換することにより、正常な状態を保つことができます。

カップリングコンデンサー類は左右で違う銘柄にその時その時で交換されています。
それぞれで殆ど良い状態のようですが、時間の経過とともに少し歪が乗ってくるようなので一部のコンデンサーが不良かも知れません。



★左のBのボリュームのガリがひどく、通常の試聴の妨げになります。
 恐らく片側のラインの音が出ないと言われるのはガリの部分で音が出ていない状態なのかも知れません。
 ボリュームを12時近くまで上げるとガリも少なく正常に聴けます。

 しかし、このボリュームを何とかしないと普通には聴けません。





★音全体では内部の状態を抜きにしても、やはりMarantz model 1の音です。
 非常に透明度の高いアコースティックな情感溢れる音です。


 こちらのイコライザーアンプEQC-1に良く似たレコードの音です。



B4です。同様に高い値です。

外部電源から直後の高圧電圧です。
330.4Vと良い値です。

高圧は1段目がleaky表示でリークしています。
これ以外は正常です。

こちらは低圧です。こちらもLeaky表示でリークしています。

★今度は右のAでaudio consoletteです。

★電源投入前の各ブロックコンデンサーの検査です。

まずは左のBでmodel1からです。

ヒーター電圧です。こちらも良い値です。

ヒーター用低圧入力電圧です。良い値です。

外部電源からの高圧電圧です。312.4Vを示し20V程低いようです。

高圧B2です。やはり少し低い表示です。

入力電圧が低いので高圧B1も270.3Vと規定より10V程低くなっています。

高圧セレンに取り付けられたダイオード2個です。

★電源投入前の各ブロックコンデンサーの検査です。

こちらの外部電源model 4には高圧のセレンが残っています。しかしよく見るとダイオードが並列で足されています。

低圧のヒーターセレンは撤去され、代わりにブリッジダイオードに交換されています。

内部裏面です。やはり電解ブロックコンデンサーは大丈夫なようで追加のコンデンサーは低圧のみです。

内部上面です。左のBとは違うコンデンサーでレストアされています。
恐らく白いGood-Allは純正のままです。かなり古いものです。
電解ブロックコンデンサーも3本とも汎用代品のマロリーに交換されています。

セレン直後が正常にも関わらずヒーター電圧は低く表示されます。
規定では#7と同じ19.8Vですが18.24Vしか上がりません。
恐らく電解ブロックコンデンサーのリークが原因です。

ヒーター用低圧でセレン直後の電圧です。
セレンにダイオードが併設されているので正常値を示します。

B3です。これも高いです。

1段目の高圧B1の電圧です。306.9Vを示しています。
ここは規定では280Vとなり、かなり高いようです。
恐らく抵抗の不良により減衰できていないようで、リプルが乗っています。

高圧B2です。B1が高いので順番に高くなっています。

高圧先頭のブロックコンデンサーです。
完全に抜けて容量がありません。
ESRも最大値を示し、完全に不良です。

高圧2段目の1ブロック目です。こちらも計測不能と表示しESRも最大値で不良です。

こちらも高圧2段目の3ブロック目です。完全に不良です。
この2ブロック目と3ブロックの間に電解コンデンサーを並列で繋いであります。
恐らくこの追加されたコンデンサーだけで整流を行っているようです。

高圧側はセレンを外してダイオードに交換されています。
低圧側もセレンに並列にダイオードを追加されています。

model 4となる電源部です。

裏面です。電源回路は前のレストアで電解コンデンサーを追加されています。

上面です。それなりにレストアされています。

音出し風景です。左右でA,B表示のラベルを付けて区別します。

こちらはmodel 1です。

こちらはmodel 1の前のaudio consoletteです。
極めて希少価値が高いものです。
調べると本機はテープレコーディング端子がある後期型で、かなりmodel 1と仕様は近いものです。

Marantz#1 修理レストア依頼機 N.Y様 概要

久しぶりのMarantz model 1です。
片方のライン出力が出ないと言うことで修理を依頼されました。