Marantz7修理依頼 12000番台 概要

★主に電源のブロックコンデンサーを3本とも交換しました。
これによりPhono1,2の音漏れは無くなりました。

しかし、全体に電圧は10V位しか上昇していません。
トランス後の電圧は逆に少し下がって261.8Vです。ブロックコンデンサーが新しくなったため負荷が大きくなったのでしょうか?
電源トランスからの供給電圧が上がらない限り電源は全て正規の値には上がらないようです。

取りあえず真空管駆動の最低線250V以上は出ているので正常に動作します。

★音で気になったBumbleBeeの劣化ですが、特に不良になりやすい0.22uF/400Vは2本とも交換しました。
これでまたきれいなオールバンブルビーの音が甦りました。

★電圧もセレン後308V、プレート電圧の高い所で278Vあります。(規定280V) 良好です。
トランス後はまだ低めですが、これだけプレート電圧が上がっているので何とか大丈夫のようです。

昨日のリストア後の2時間と本日午前中エージングで鳴らしていたのですが、どうもレコードの音が悪く気になったので再検査すると表の0.1uFと0.47uFが1本ずつ、裏面の0.01uFは2本ともリークしていました。

これ等のバンブルビーを交換し3時間程エージングを繰り返して問題は無いようです。


今回もいろいろありましたが漸く以前のオールバンブルビー本来の音が甦りました。

先日修理の時に交換した新品のブロックコンデンサーが2本とも破壊されました。

青いセレンが今回不良となっていたものです。
まだ新しいようですが恐らく3年程前にどこかでリストアされたときに交換したものです。
この手の復刻セレンは不良率が高く最近こちらでは初期不良の少ない茶色の復刻セレンを使っています。

この事故でフォノイコのバンブルビーも影響が出ました。
再検査し4本交換しました。

高圧セレン整流器を交換しました。


★ 再修理です。                                                        2018. 1. 3  完了


★本機は一度修理完了後オーナー様にお返ししました。
しかし音の確認のため1時間程聴いていると突然ボボボボボッと大音響で異音が発生しました。
急いで電源を切り再投入しても異音は収まらず、フォノイコではブーンと唸り出します。

すぐに送って頂き、こちらでも1時間半程で同様の症状が出ます。

時間が経つと突然出てくるのは温まってからと判断できるのでセレンかブロックコンデンサーと推測しました。

取りあえずこの状態でB電圧を計ると245Vです。先日の修理完了時の255Vから落ちています。
この修理の掲載内容でも、ブロックコンデンサーを全て交換しても電圧が上がらないと言う内容を記しています。
この時はセレン後が281.3Vと低い値を指摘していますがトランスから後が268.3Vと低かったので
セレンから出てくる電圧も低いと思い、この高圧セレンは大丈夫と判断しました。

しかし、やはり高圧レンがダメだったかも知れません。
温度上昇で逆方向も導通が大きくなり、ある閾値を超えたときブロックコンデンサーが導通不良を起こし異音が発生した可能性があります。

一応本機の過去の経歴からこの高圧セレンはこちらでは交換していません。
買う前に以前の修理の方が復刻セレンに交換されているようです。

こちらから本機を売却する時点では電圧等がまだ正常値だったので、オリジナル状態を保つためにも特に交換はしていませんでした。

それにしてもトランス後のAC電圧が低いのが気になります。
普通はAC290V以上でセレン後はDC310V位出ています。(ACからDCに変換されると実効値が上がります)
これを抵抗と電解コンデンサーを3段通過させて平滑し、280Vまで落としてカソードフォロア管のプレート電圧としています。
なのでこのプレート電圧が今回突然245Vまで落ちて交換したフロックコンデンサーの初段がリークした可能性があります。



★検査の結果、やはり高圧の電解ブロックコンデンサーが2本ともリークし特に次段φ35は3ブロックとも抜けて静電容量は無くこれが平滑機能を無くし電源の交流を信号ラインに通して大音量の異音発生につながった思います。

この高圧ブロックコンデンサーの破壊は高圧セレンの不良が原因でした。
セレンの導通を計ると順方向5MΩ、逆方向13MΩあります。順方向の抵抗値が上がり逆方向にもかなりの導通があります。
これは整流機能が無く交流のマイナスの電圧も通してブロックコンデンサーに供給していたことになります。
性があります。

今回の交換部品です。

劣化が進んでいたBumbleBee 0.22/400Vを2本交換しました。
Marantz7でよくRCA端子のアース浮きがありますが、今回チェックすると特に浮いている箇所は見当たりません。

左画像は電源トランス後のAC電圧です。 268.3Vとかなり低めです。 右はセレン後で281.3Vです。これもかなり低めですが入力が低いのでこの高圧セレンは大丈夫のようです。

ブロックコンデンサーの検査です。左から高圧B電源φ25、中央も高圧φ35。 右が低圧ヒータ用φ35です。
高圧の先頭のφ25は3ブロック中2ブロックがLeaky表示でリークしています。
次の高圧φ35は3ブロック中2ブロックがリーク、画像中央の様にnot measured表示は珍しく完全に抜け切っています。ESRもかなり高い状態です。
右のヒーター用も3ブロック中2ブロックが画像の様にLeaky表示です。


今回の音漏れは低圧ヒーター用ブロックコンデンサーのリークが原因と思います。
電圧低下は高圧B電源全体のブロックコンデンサーの不良です。

勿論、売却時はどれも良品で正規の電圧を維持していました。やはり徐々に劣化が進み或る時突然事が起こります。


症状では突然片側が音が出なくなり真空管を交換したら復帰したと言われていますので、やはりこれだけ電源電圧が下がると真空管に依っては耐え切れなくなるものも出てくるのでしょう。
電源電圧の低下は真空管にとっては極めて酷な状態です。

本機はまだ高圧で240V位ですが、中には200Vを切る物もあります。
こうなると当然異音やノイズが出始めます。恐らくその内真空管が全滅の事態になる可能性も出てきます。

どれも貴重なNOS管です。
何とか長持ちさせたいものです。

本機は約1年半前に当工房でオールバンブルビーにレストアし売却したものです。
先週突然片側の音が極小となり、オーナー様は真空管を交換されて回復したそうですが、その後Phono1,2から音漏れが出るようになったので修理を依頼されました。

早速音出しをしたところAUX等は大丈夫ですがPhono1,2からはかすかに音漏れが確認できました。

音質そのものは変わらずバンブルビーの良い音です。

電源のブロックコンデンサーは3本とも交換しました。

★ 修理完了です。                                                          2018. 1.19

ヒーター用セレン後です。正規の電圧です。                ↑ヒータ電圧もかなり落ちています。正規電圧は19.8Vです。

↑V3,V6用です。正規電圧は280Vです。                  ↑V4,V5用。正規電圧は265Vです。                    ↑V1,V2用です。これも正規電圧は245Vです。 

画像は売却当時の内部です。完全良品のオリジナル状態です。

★ 検査完了です。                                                          2018. 1.17

まず電源の各部の電圧を測定しました。

やはりセレンから後が低いので全体に低下しています。

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