裏面です。トーン回路後の0.33uFはSPRAGUEに交換です。
ここが違うものに交換されていてバランスが崩れ、或る時限界がきて表面の0.22uFが飛んだと思います。
以前も書いていますがこれら全体のバランスが重要です。

他のコンデンサー類はいろいろなものに交換されていますが概ね良品です。このため特に交換せずにこのまま再使用です。
電源回路も少し怪しい変更がされていますが最終的には一応何とか音が出せる電圧が出ていますのでこのままにします。


今回一番気になった配線ですが、あまり手を掛けるのも大変だしコストも掛かるのでこれも一応このままにして置きます。



音はやはりそれぞれの代品のコンデンサーの音ですが悪くはありません。まろやかなきれいな音が出ています。

















★本機の、その後の経緯を紹介します。(2018. 2. 23)


本機はこちらでレストア完了後オーナー様にお返ししました。
こちらでのレストアでは一応良い音にはなったと思います。ただ、コストの関係で電源回路の見直しは行っていません。

そのためか、恐らくまた不具合があったのかも知れません。また以前レストアされたところに再度修理に出されたようです。
こちらで交換したカップリングコンデンサー類をまた仕様の違う以前のものに交換されています。当然音は変わっています。
なぜ何度も違う物に交換されるのでしょうか?
もしかすると高齢で耳が遠いのかも。。。 痴呆?

その後この所有者の方は、また音が違うので嫌になってヤフオクに出されたようです。 (この記事の酷評も影響したのでしょうか?)
こちらではヤフオクを見て全ての状況がわかりました。


その後ある方が本機を落札されました。
今度は、この落札された方からこちらに電話がありました。
以前こちらでレストアしたことをご存じのようです。
こちらで交換したトーン回路の黄色の0.33uF SPRAGUEも気に入って頂いています。

この方は自作アンプを作ることができる方なので、時間を掛けて配線を直されるそうです。
電源系統のことや良い音を出すためのアドバイスもお伝えしました。

これでこの貴重な12000番台初期型も本来の姿に戻ることができると思い私も安心しています。






[ 追記 ]
本稿では、こちらの記載内容としては唯一、極めて酷評を掲載しています。

なぜここまで書くかと申しますと、本機の内部を見て余りのひどさに驚き、且つ憤りを感じました。
余りにもこのアンプがかわいそうです。

Marantzや他のビンテージアンプを愛するマニアの一人として、いくら所有者の勝手や状況に依って止むを得ない場合でもこれでは余りにも無頓着で傲慢な為され方です。

ビンテージアンプはそれぞれ今存在し機能を果たしていることそのものが奇跡です。
過去に何度も所有者の気分でゴミ扱いされて消えてしまう試練を乗り越え今に生きています。
これをまたその時のレストア屋の気分や能力で歪められてしまうことは絶対にあってはなりません。

現在の姿は所有者のものではなく、今後幾多の人の手に渡り長く受け継がれてゆくものなのです。
できるだけ本来の姿を残して行きたいものです。



[ 追記2 ]
私は2年前オールバンブルビー化レストアを始めた頃、東京神田のビンテージショップへお邪魔しました。
その会社の会長様とお話をしている時にちょうどかなり高齢の方が来られて、会長様に紹介頂いたこの方は長年ビンテージアンプの修理を手掛けたこの業界の権威の方だそうです。

会長さんがこの方に私の事をバンブルビーでレストアしている人だと紹介すると、そんなものは今の日本に有る訳がない!と一瞥されました。
恐らく、この若造が何を夢を見ているのか!、と見下されたのでしょう。
これまで限りない数のMarantz7やMcIntoshを代品(160P等)のコンデンサーでレストアして来られたのだと思います。

勿論、有ればバンブルビーでレストアしたかったでしょう。今の様にインターネットがある時代でもなく、秋葉原を探して無ければそれ以上努力もせず無いと決め付けて、無いからこれで我慢しろとユーザーの方々に代品を押し付けて来られたと思います。

こちらは外国からかなりの金額を払って取り寄せ、検査をして殆ど不良とわかったとき涙が出てくるくらい心が折れそうになって、それでも気を落とさず何度も取り寄せて大量の不良の中から何とか数個の良品を探し出しレストアに充てています。
この方はこういう苦労も知らないでしょう。


見ると、この方は高齢のためか手が震えて物を掴むのもおぼつかなく、呂律(ろれつ)が回らないので会話も聞き取り難い状態です。
これがレストアの権威の方なのかと唖然とし、今でもレストアをされているらしく、修理後の状態も想像できそうだと思いました。
本機はこのような方が携わったのではないかと思っています。

こう言う高齢の修理される方が全国にかなりいるようです。
なるべくビンテージアンプの品位を落とさないよう祈るしかありません。



高齢の方々には大変失礼な言い方かも知れません、ご無礼をお許しください。

最近では運転免許証も返納の時代です。
年を重ねるにつれて耳も聞こえなくなり手も振るえて来れば、ろくな事にならないのでアンプ修理は卒業されて、われわれ次の世代に任せて頂くと云うのはいかがでしょう。。。


こちらの工房では20代の若い技術者も育てています。

1台でも多くのビンテージアンプを形や音を崩さず後世に残すために。




Marantz7 12800番台修理 A.K 様 概要

【セブン再生工房】

2017.4.24

★こちらでは以前修理を依頼された内容を掲載しています。
 また、私からの批評を本稿最下段に記しています。ぜひご覧ください。


★レストア後です。

2017.5.6

レストア完了後の画像です。やはり0.22uF/400Vのコンデンサーが飛んでいました。
セラミックも交換です。
今回はコストの関係で通常レストアのため交換コンデンサーはブラックキャットにしました。
ついでにフォノイコのカソードバイパスコンも正規のSPRAGUEに交換しました。以前の物は耐圧が違うものが装着されていました。
配線関係も怪しい所は少し手直ししました。

裏面です。トーン回路の0.33も表面と同じ黄色の代品を無理矢理押し込んでいます。
しかもここにも半田ごての跡があります。

トーン回路の渡りの配線が交換されています。

上段の画像で入力セレクターの配線が交換されています。誤配線です。ボリュームからの空中線に半田こての痕があります。
下段の画像では、残った渡りの配線にはんだこての痕がいたるところについています。

★本機は突然左の音が出なくなって修理を依頼されました。

すぐに音だしを行いましたが、やはり左が出ません。
ブツブツと時折異音が出ます。
トーンを回すと高域はパチパチ、低域の左はドーンと大きな音が出ます。
恐らくトーン回路直前のカップリングコンデンサーが飛んでいます。


中を見てびっくり。
このカップリングコンデンサーは#7オリジナルに似合わない値の違う適当な安物を装着してあります。
セラミックも何だかそこいらに転がっている何でも良いと言う感じでわけのわからないものが付いています。
これらは全てトーン回路に影響します。
Marantz7のトーン回路は大変繊細で敏感です。こんな適当なものをつけられるとバランスを崩してどうなるかわからない状態になります。
随所に何でも良いから交換して音が出ればよい、そんな心積りが伺えます。

もっと驚いたのは配線がいたる所で交換されています。
オリジナルと同じ色に交換するならまだしも、全く違う配色です。
これでは配線色で機能が推測できません。

★所有者の方が言われるには、CDは以前「AUX」に繋いでいたが、少し前から音が出なくなったため「TV」に接続されていたようです。

これは、この配線の変更による誤配線の可能性があります。
これまでAUXで聴けたのは偶然の奇跡です。



★なぜここまでしなければならなかったのか、内部をじっくり見てわかりました。
残った配線には半田こての痕がいたるところについています。

恐らくこのレストアされた方は高齢で手先が思うところに行かなかったのでしょう。
そのため貴重な配線を焦がし、芯線が露出してショートする状態になったのだと推測されます。
交換された配線は多少の熱でも焦げない編みこみタイプの耐熱仕様です。

これでは折角のMarantz model 7オリジナル 12000番台の貴重な個体が台無しです。
幸いなのがクラロスタットとブロックコンデンサー、裏のRCA端子などが手付かずで致命傷にはならなかった事です。

一応高圧B電源にチューブラコンデンサーが追加されています。
電圧が低いため処置をされたようです。


★前にこのアンプをレストアをされた方はビンテージアンプのことを良く知らない方のようです。若しくは無頓着なのでしょうか。
技術者にとって当然Marantz7は昔から定番なので回路は読めます。しかしそこいらのアンプと同じような感覚でどうにか鳴るように成ればよいと何にでも交換してしまっています。
オリジナル状態をなるべく残そうと言う心配りは微塵もありません。

半田こてを持っても手先やこて先がどこに行くかわからない、しかしこれまで長年いろいろなアンプを看て来た誇りだけが前に出て自分の現状を省みない、これはそんな傲慢な高齢の方が携わった仕事です。


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画像の様に空中線が交換されています。基板上の配線も交換されています。
セラミックコンデンサーの代りに、キャラメル形のわけのわからない(マイカ)コンデンサーに交換されています。
ここは必ずセラミックでなければ#7の音にはなりません。

基板上の0.22uF/400Vのコンデンサーが0.3uFの黄色のフィルムコンデンサーに交換されています。
この値が大きくなれば高域が強調されます。
今回このコンデンサーの左チャンネルが飛んでいます。

左奥の茶色のヒータ渡り線にはんだごての痕がいくつも付いています。
なぜこんなところに半田ごてが触るのでしょうか!?