Marantz7レストア K.T 様 概要

2018. 5. 8 修理依頼

上段が問題の左の波形、下段は右の正常なサインカーブが出ています。

上段の半分写っていないのはカメラのシャッタースピードが合わないためです。(私はカメラは素人でニコンの一眼レフですがオートしか使えません)

波形ではB級アンプの片側の様に正常に真空管が動作していません。
これはバイアスがおかしいようです。

検査の通りブロックコンデンサーは3本とも不良なので交換しました。

低圧のヒータ電圧です。セレンはそのままなのでやはり少し低い値です。

しかしブロックコンデンサーは代品の新品なので音漏れ等は無くなりました。

最初は電圧低下でカソードバイパスコンが抜けたかと思いましたが計測すると正常でした。
しかし明らかにバイアス不良なのでいろいろ調べて行くと、原因は右画像の青い抵抗のはんだ浮きでした。
オーナー様がご自分で抵抗を換えられたのですが渡りのアースバーに完全にはんだ付けされていなかったので経年で浮いてしまったようです。
この抵抗が浮いたためにバイアスがかからず真空管がきちんと増幅できなかったようです。

今回場所を少し変えてきちんとハンダ付けしました。

このオーナー様はかなり抵抗に拘られるようで、この510Ωも3種類を組み合わせてなるべく近い値にされています。
この画像の上の方の黒い抵抗も高級品に交換されています。

一般にMarantz7オリジナルにはA&Bの抵抗が付いていますが、これは年数が経つと抵抗値がかなり変化して音に影響しています。

電源回路の修復後の高圧B1の電圧です。

きっちり280.0Vを示していますが、これはまぐれで時間の経過とともに少し下がります。
約15分程で274V位で落ち着いています。

★下記画像のテスターの値の様に電源電圧は各部とも良好な値になりました。
しかし、多少異音の音は変化した物のやはり左側からボボボボと異音が出ます。
この為低周波発振器とオシロで順番に探って行くと真空管初段後の波形が下記のように異常を示します。

内部は電源回路のブロックコンデンサーと高圧セレンを交換しました。

裏面です。こちらもヒータセレンと抵抗類以外の配線を修正しています。
オーナー様の要望により抵抗類はそのままのご依頼でしたが少し抵抗値が高い物があり一部交換しています。
元の抵抗は一緒にお返しするので気に入らなければ交換されると思います。

★異音の原因も判明し修復したので音出しです。

オーナー様の各部品へのこだわりもありかなり良い音です。
これはこれまで聴いたことのない感触です。バンブルビーや160Pとも違います。
特にレコードの低音が歯切れがよく爽やかです。RIAA偏差の0.0056uFがマイカコンに変更されパラに接続されている抵抗も高級品?に交換されています。これがみそかも知れません。
ただフォノでは中高域が少しきつい感じです。歪では無くビーンビンと鳴る音です。恐らく裏の0.01uFがマイカコンに依るものではないかと思います。

しかし全体的にはかなり良い音です。レコードでは思わずこちらのmodel 1仕様イコライザーアンプと聴き比べてみました。

透明感や中高域はmodel 1仕様の方が良く感じますが、やはり低音の歯切れの良さはこのMarantz7の方がいい感じです。
NFBのイコライジングコンデンサーは同じマイカコンですが、NFBをもう少し詰めてみる必要がありそうです。

★修理完了です。                                                                              2018. 5.14

今回はフォノイコから異音が出るので、まず電源回路を修復し各部の電圧低下を修正してから状況を見て検討することになりました。

問題のフォノイコに供給されるB3電圧です。画像の様に209.5Vと真空管ドライブの限界を下回っています。
正規電圧は245Vで最低でも220Vは必要です。

低圧ヒータ用ブロックコンデンサーです。3ブロック中2ブロックで画像の様にリークしています。
普通はこのリークに依ってひどい物は音漏れになります。

高圧2段目の3ブロック中2ブロックは正常ですが、画像の様に1ブロックは完全に抜けて計測不能を表示しESRも非常に高い値を示しています。

ブロックコンデンサー高圧の1段目です。3ブロック中1ブロックはチューブラコンに代用されて使用されていません。
残る2ブロックとも画像の様にLeaky表示でリークしています。

電源回路の抵抗類も交換されています。

裏面の小さなカップリングも大きなマイカコンデンサーに交換されています。幾つかの抵抗も交換されています。

本機は以前こちらでレストアを行ったものですが、それから所有者が代わり今度の所有者の方から最近フォノイコから異音が出るので見て欲しいとの依頼を頂きました。
以前の経歴を見ると費用の関係で電源関係はまだ何とか大丈夫との判断から手を入れていませんでした。
今回はいよいよこの電源が異常ではないかと考えています。

今回のオーナー様はご自分でレストアできる方で、いろいろ好みのコンデンサーや抵抗に交換されています。電源にもそれなりに手を加えてありますが、やはり正規仕様の部品で無いので電圧も上がらずこれ以上は無理との判断でこちらに依頼されました。

今回のフォノイコの異音はこの電圧低下が原因では無いかと考えています。また音漏れもあるようです。

こちらに届き早速音出しをすると、フォノイコではいきなり左からバババババッと大きな音が出てレコードを聴くまで行かない状態です。
一応ライン部はきれいな音が出ています。

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内部の殆どのコンデンサーはオーナー様が交換されました。抵抗類も拘りがあるようです。


★検査完了です。                                                                                  2018. 5. 9

ヒータ供給電圧です。正規電圧は19.8Vです。

ヒータセレン直後の電圧です。普通は25V位なので少し低いですがこの位であれば動作に支障は無いと思います。

各部の電圧測定です。
まずセレン直後の電圧です。280.3Vを示しています。通常は300V以上あります。


高圧B1の低下に伴ってこのB2もかなり落ちています。
ここも正規電圧は265Vです。

高圧B1で一番電圧の高いところですが画像の様に243.2Vとかなり低い値です。
正規の電圧は280Vです。