復刻Marantz7 レストア依頼機 S.A 様 概要
2018.9.3 初掲載
2018.9.6 検査完了
2018.9.14 レストア完了
★レストア後、音出し試聴検査ですが時間を掛けてエージングを行っていました。
しかし、どうも音が汚い感じがします。当然各部のカップリングコンデンサーは全て新品です。
これ以外に音を汚す原因があるのでしょう。
真空管をこちらの良品と交換してみましたが特に改善はみられません。
本機のボリュームはメキシコ製クラロスタットです。以前も検査で特性を測りましたが、あまり良くは無かったのでもしかするとこのボリュームがノイズを発生しているのかも知れません。
裏面も小さなカップリング4本はGoodAll-TRWに交換しました。
トーン回路のカップリングも黄色のSPRAGUEに交換です。
今回もたくさんの部品を交換しました。
特に電解ブロックコンデンサーは2本とも電解液が噴出し、もう少しで爆発する所でした。
白色のカップリングコンデンサーは一部で内部の腐食のため変形しています。
このボリュームからはギャングエラーも計測できます。
普通は最初の搾った状態からが多いのですが、このボリュームは12時近辺が最大です。
右のミリバルの針の赤と黒が左右の出力レベルです。かなり差があります。
ライン部のカップリングコンデンサーです。
熱による変形と色変が確認できます。
特にこの4本中一番下のものが完全に抜け切っています。
この不良が判った時点で直さないとフォノイコの検査まで進みません。
高圧B1の電圧です。電源投入後340V近く上がりますが5分後に充分安定しご覧のように273Vを表示しています。十分な値です。
低圧のブロックコンデンサーですが、3ブロック中2ブロックが画像のようにリークしています。(Leaky表示)
高圧2段目も3ブロック中1ブロックが計測不能、1ブロックがリークしています。
★ボリューム周りをいろいろ検査していました。
最終的には各部のアース浮きからノイズがボリュームに乗って来ていたようです。
上記画像のように背面裏の入力端子も念のため渡りを取っておきました。
音漏れも解消しました。
★ただ今エージングを行いながら試聴を行っています。
かなり良い音です。これならオリジナルと遜色の無い音と言えると思います。
Marantz7の煌びやかな音が出ています。
フォノイコもダイナミックな重低音、ときめくような中高音が再現できます。
とても良い音に仕上がりました。
久しぶりの復刻Marantz7です。全体にやはりきれいです。ウッドケースもきれいに磨いてあり大事に使われている様子が伺えます。
早速音だしを行うと、真空管が上がってくると同時にブーンと大音響のノイズが出ます。
思わず電源を切り、音出しができない状態でした。
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計測風景です。
上のオシロはボリューム左右の波形を出しています。
左右ともノイズが乗って安定しません。
下のオシロが上の画像の状態です。
内部上面です。全てのカップリングコンデンサーを新品に交換しました。
音に特に重要なライン部の0.22uFはいつもの様に音の抜けが良いGoldenBlackです。
その他のカップリングはGoodAll-TRWの新品です。
フォノイコのカソードバイパスコンもMarantz純正のSPRAGUEに4本とも交換しました。
RIAA偏差のコンデンサーも値のしっかりしたマイカコンデンサーに交換しました。
回すとギシギシ言っていたセレクター類に接点復活剤を塗布しました。
まずは電源回路の電解ブロックコンデンサーを交換しました。
これにより前の画像のように各部の電圧が検査できました。
ボリュームの出力レベルの検査風景です。
ボリュームには特製の文字盤を取り付けて角度を測ります。
このアンプのつまみの位置は12時を指し、この時の出力差をミリバルが示しています。
ボリュームの入力側と出力側の波形を観測しました。
上が低周波発振器から入力される1kHzの波形です。
下はボリューム直後の波形です。
上の波形に対して下の波形にはノイズが乗っていることがわかります。
特に2重波形のノコギリ波のように安定しません。
★一通りレストアは完了しました。 2018.9.8
つまみを上下に揺さぶるとこのロータリースイッチ本体もギシギシと変形し音漏れの音調が変わります。
組立ビスの緩みかも知れません。オリジナルより華奢にできています。
★以上のように電源が正常になったので漸く最初の音出しができます。
まずAUXからのCDでライン部の状態を見ます。
かなり音が歪んで蚊の鳴くような中高域のみが聞こえます。しかも右が殆ど出ません。
セレクターを回すとガサゴソというノイズと共に音漏れも出ます。このセレクターのつまみを揺さぶるとノイズの音調が変わります。
恐らくセレクターの接点の接触状態が悪いようです。
音漏れは今回は入力端子のアース浮きのようです。
トーンコントロールの低音を回すとドカーンと大音響のノイズが出ます。
恐らくカップリングコンデンサーがパンクしているようです。
各カップリングコンデンサーの漏れ電圧を測ると殆どがかなり漏れています。
特に右の0.22uFは完全に抜けているようで100V近い漏れ電圧があります。
これが真空管の増幅を妨げているため音が出なかったようです。
これまでは電源回路の不具合から電圧が低いためあまり問題にはならないのですが
今回電源が正常になり電圧が高くなるとこの様な漏れ電圧が大きく影響し真空管に良くないのでこれで電源投入は打ち切りです。
今後は、まず全てのカップリングコンデンサーを交換し各部が正規の状態になってからセレクターの音漏れの原因を探って行こうと思います。
ヒーター電圧です。19.17Vを示しこれも充分な値です。
高圧B3、フォノイコのプレート供給電圧です。
これも充分といえます。
低圧のダイオード直後の電圧で26.46Vを示しています。
この低圧のダイオードも良品で充分な値です。
高圧B2です。これも充分な値です。
★電源のブロックコンデンサーを交換しました。 2018.9.6
交換後の各電圧を掲載します。
高圧整流用ダイオード直後の電圧です。
ダイオード単体での検査で良品なのでご覧のように充分な電圧が出ています。
★以上のように電源回路は全く機能していません。これでは電源を入れることもできないので各電圧測定はできません。
上記の電解ブロックコンデンサーを3本とも交換し正常な状態になってから各回路の状態が検査できます。
また、これほど高圧側が一気に抜けてしまっているので整流用ダイオードの破損も考えられたのですが、計ってみるとダイオードは正常です。
このため単に電解ブロックコンデンサーの劣化と判断します。
★電源の検査からです。 2018.9.4
ほぼ電源が入らない状態なので電解ブロックコンデンサーを検査しました。
まず高圧1段目です。3ブロック中2ブロックが左画像のように計測不能です。
( C not measured 表示 )
つまり抜け切っていてコンデンサーの役目を成していません。
ESRも異常に高い値です。
最初に梱包を開けたときのトーンのつまみの状態です。
いつも最初の状態を見てこれまでオーナー様が聴いていた状態を観察しています。
今回もこれはかなり変な位置なので気になったので画像に残しました。
普通オリジナルはこんなに高域を上げることはありません。
コンデンサー類が劣化すると、特にバンブルビーの場合容量が膨れて高域が強調されます。また低域が弱くなります。
今回は復刻なので使用されるコンデンサーの特性上高域が貧弱なことが伺えます。また、低域が出ていないのはセラミックとトーン中のカップリングの容量不足が推測できます。しかも右が特に弱くカップリングが完全に抜けているようです。
内部は殆どメンテされていません。復刻7も最初の状態を維持するのはいよいよ限界のようです。
背面のレベル調整用ボリュームは左右ともほぼMAXです。
一般にボリュームは最初と最後はあまり音が良くないので、
いつも私は中間あたりにセットしています。
このボリュームをMAXにすると前面パネルのメインボリュームを絞ることになり、ギャングエラーが高くなります。
また、最集段カソードフォロア管にも最大の信号が入力されることになり信号の
許容範囲が少なく、大音量が入った場合ひずみの原因にもなります。