Marantz7kレストア依頼機 I.H 様 概要

2017.12.4

★今回はオールバンブルビーでは無く代品のカップリングコンデンサーを使ったレストアです。

いつものように抜けの良いGoldenBlackをライン回路に使い、今回はGoodAllと160Pをフォノイコに使いました。
裏の0.01uFは最終的にフォノイコ、ライン共に付いていた物を使用しています。

音的にはこの構成でもかなり良い音でした。しかしオールバンブルビーと比べるとやはり少し物足りない雰囲気です。
しかしボリュームを換えると劇的に変わります。

いつものオールバンブルビーの音です!  ピャーと言う感じの中高音やドドーンと言う驚ろおどろしい重低音が出ています。

やはりボリュームの良し悪しがかなり音に影響します。
クラロスタットで無くてもクラロの音は出せます。




★午後から3時間程エージングを行っています。

鳥肌が立つくらいMarantz7オリジナルのオールバンブルビー+クラロスタットの音です。 益々味が出てきます。。。

交換部品です。

★今回のレストアでは高圧B電源のダイオードは不良個所を直してそのまま使い、ボリュームをこちらから提案した東京コスモス製に交換を希望されています。

この後音の確認を行いながら音の良いコスモス製にメイン、バランス共交換します。

ボリュームを変える前の音はかなり良い音で、バンブルビーの様に音の輪郭が明瞭に聴こえます。
特に中高域がきれいで、やはりブロックコンデンサーの交換が効いているようです。

この後もう少しきらびやかさが欲しいのでボリューム交換後、裏の0.01uFの交換を検討しようと思っていました。

電源回路のブロックコンデンサーが全て変わっています。カーボン抵抗も一部交換しました。
ヒータ電圧も正規の値になりました。

横一列の青い0.01uFはなかなか良いものです。検査すると全て良品です。この為、今回は特に交換しません。
トーン回路の0.33uFも特に良品なので今回は交換しませんでしたが、低音に弾みをつけるために少しチューニングを施しました。

★レストア完了です:                                              2017.12.20

全体の音漏れは無くなったのですが、入力と出力端子の一部で接触不良が判明し、右画像の様にすべての端子に渡りを掛けて置きました。
これで接触不良は改善です。

Marantz7ではどれもよくある事です。

まず電源回路を修理し主なカップリングコンデンサーを交換しました。
フォノイコ初段はGood-All、最終段を160Pに交換です。
ラインは0.22uFを4本ともGoldenBlackに交換しました。
セラミックも正規の物に交換しました。
裏面の0.01uFは現状でなかなか良い物が付いています。これを交換しようか迷っています。
もう少し音を聴いてから検討します。
その他のコンデンサーは検査をしながら進めていますが概ね音に影響する所は大丈夫のようです。
高圧B電圧の低下に伴いダイオードを検査しブリッジ回路の1本を交換しました。
ブロックコンデンサーも3本とも新品に交換です。抵抗類も一部交換しました。
このため高圧B電圧は270Vまで上がり充分な値です。
全体の音漏れはブロックコンデンサーを全て交換したので無くなっています。

オリジナルではセラミックコンデンサーが装着されている所が本機ではオレンジドロップになっています。
恐らくこれで音はかなり変わっています。
最初の音出しでも、きれいな音かも知れませんがオリジナルのような繊細な音ではありません。

電源も拘りがあるようです。

★本機は特に問題は無いが、音が良くなるならレストアしてほしいとのご要望です。

本体はなかなかきれいでキットとしてはかなり丁寧に製作してあります。
外観を見る限りトーンのツマミを増しているのとバランスが右に傾いているためコンデンサー類が劣化しているようです。

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★ オーナー様からお聴きになった感想を頂きましたので紹介します。 2017.12.27



今日は、無事アンプも戻って来て音出ししました。

今までよりもずっといい音でこれがマランツ7なんだと知ることが出来ました。
今までは平面的な音鳴りでしたが、壁が取り払われた様な音場となりTADのホーンがアルテックの様な荒々しさとタンノイの様な滑らかさになりました。

上手く表現出来ませんが"ビャー"と"ピャー"が一緒になって出てくる感じです。
低音は良質な広がりになりました。MX110(c22)もありますが、マランツ7の圧勝です。

MX110もオーバーホールをして良くなったと思っていましたが、マランツ7は期待以上です。

今回は本当にありがとうございました。


ボリュームを東京コスモス製のメインボリュームとバランスボリュームに交換です。

以前から行っていたのですが、クラロスタットに近付けるためにこのボリュームに特殊な処置を施しています。
方法は企業秘密?です。





ボリュームを換えた後の音はシャープで切れのある感じが増しています。
クラロスタットと同じ抜けの良い音です。

やはりボリュームでこんなにも音が変わります。

2017.12.5掲載:
本日最初の音出しをしました。
音は特に問題は無いのですがかなりの音漏れがあります。
AUX入力の音が全てのチャンネルで聴こえます。
一緒にレコードが聞ける状態です。
本機も恐らく電源が異常です。

このため改めて電源の手作り基板を見ると、高圧B電源はダイオードのブリッジ回路になっています。
ここの正規はセレンの半波整流です。
本来ブリッジ回路の方がきれいな整流になりますがMarantz7は敢て半波整流です。これが7の音を生み出す基本なのです。

あとは検査してみないとわかりませんがブロックコンデンサーが幾つか交換になります。

★音そのものはきれいです。ただ、やはりMarantz7のときめくような、ダイナミックさは欠けています。
透明感と臨場感もありません。

最近の高級半導体アンプと変わらない感じです。

どちらかと言うとよくあるMarantz7オリジナル初期型をオールブラックビューティ(160P)でレストアしたような音です。
まろやかできれいな音ですが、バンブルビーのような臨場感や透明感、ダイナミックさに欠けて大人しい。。

★まずは検査して悪い所を直し、それ から音が変わりやすいところからコンデンサーを交換し音を聴いてみる。
それでもだめならボリュームも換えてみるのと言う進め方を提案しています。

あまりコストの掛からない方法から始めてみたいと思っています。







★まず電源回路の検査を行いました。
高圧B電圧は整流後275Vでここは330V必要です。また高圧1段目のB1は234Vで既定の280Vからかなり落ちています。
ヒータ回路は整流後23.4Vです。普通はセレン直後は25V以上出ています。
最終のヒータ電圧が14.9Vでこれも真空管ドライブの限界を下回っています。正常値は19.8Vです。

ブロックコンデンサーは高圧初段φ25は3ブロックともリークして不良です。
高圧2段目は3ブロック中2ブロックが正常で1ブロックは抜けてショートしています。
今回の高圧B電源はこの2段目の2ブロックだけで持っているようです。近いうちに異音などが発生する状態です。
恐らく整流器がブリッジ回路なので何とか聴けたのだろうと思います。
ここがMarantz7正規の半波整流なら、これだけブロックコンデンサーが不良であれば音が荒れるなどかなり聴いていて解ります。

また、低圧のブロックコンデンサーは3ブロックともリークしています。
これがヒータ電圧の異常低下を招き、音漏れの原因と考えます。

★結果として高圧用整流器の不良でダイオードの交換かセレンへの交換が必要です。
ブロックコンデンサーも3本とも交換になります。






★内部の配線がとても丁寧できれいです。

★後部もとてもきれいです。大事に使われていることが伺われます。